こちらの記事も読まれています
医師が解説「ヘルパンギーナ」とは?症状や治療法、日常やるべき予防法を聞く
Profile
内科医
内科医
内科医として約10年間地方の病院・診療所に勤務した後、現在は総合診療医として非常勤勤務しながら、二人の子どもの育児中。
「ヘルパンギーナ」とは、どのような病気なのでしょうか?症状や治療法、潜伏期間、予防法などについて、現役のお医者さんに聞いてみました。また、注意すべき合併症についてもお伝えします。
執筆:箕島みな
ヘルパンギーナって、どんな病気?
かかりやすい時期・年齢
ヘルパンギーナは、初夏〜夏にかけて流行します。
5歳以下、特に1歳代の感染が最も多いです。
大人では少ないのですが、感染することもあります。潜伏期間は、2~4日間です。
初期症状
ヘルパンギーナの初期症状としては、突然の発熱に続いて、のどの痛みが出てきます。
具体的な症状
のどの奥(軟口蓋〜口蓋弓とよばれる部分)に、周囲に赤みのある水ぶくれ(直径1~5mm程度)ができます。水ぶくれはやがて破れ、痛みが強くなります。
ヘルパンギーナによる発熱で「熱性けいれん」を起こしたり、のどの痛みのせいで食事・水分を摂りにくくなることがあり、そのために脱水症となることがありますが、ほとんどは後遺症を残さず、数日で軽快します。
痛みが強いときには、無理して固形物を食べる必要はありませんので、好きな飲み物を少しずつでも摂るようにしましょう。
もちろん、嘔吐下痢のときにご紹介した経口補水液をご家庭で作っていただければ理想的です。
家でゆっくり休んでいただければ治りますが、心配でしたら小児科を受診されることもあるでしょう。受診の際には、症状の経過を書いたメモを持参されると、診断に役立ちます。
注意すべき合併症
ヘルパンギーナは、まれに髄膜炎・心筋炎を合併することがあります。
「頭痛」や「息切れ」を感じたら要注意です!
髄膜炎・・・頭痛や嘔吐、首の痛み(首を曲げると痛い)が出ることがあります。
心筋炎・・・息切れ、疲れやすい、浮腫(むくみ)、動悸(ドキドキする)、食欲不振などの症状があります。
これらは命に関わる合併症なので、入院治療が必要となります。お母さんが「普通の風邪と違うみたい、おかしいな」と思ったら、速やかに、かかりつけの医療機関に相談してください。
夜間で判断に迷うような場合は、小児救急#8000に電話で相談することもできます。
ヘルパンギーナの予防方法
「咳エチケット」と「手洗い」
ヘルパンギーナの主な原因であるエンテロウイルスの「エンテロ」とは「腸」という意味で、
ウイルスは腸で増殖します。
そのため、ウイルスは便から排出されます。さらに、
咳やくしゃみで飛び散る飛沫によっても感染します。
トイレの後やおむつ交換の後、食事の前にはしっかりと手洗いをし、一般的な「咳エチケット」として、うがいやマスクを心がけましょう。
またウイルスは、症状があるときが一番感染力が強いですが、病気が軽快してからも2~4週間は便から排出され続けると言われていますので、病気が治った後も気をつけたいものです。
妊婦さんは要注意
妊婦さんがヘルパンギーナに感染しても軽症で済むことがほとんどですが、出産間近の妊婦さんが感染すると、産まれてくる子が感染し、重症化することがあります。
ヘルパンギーナの流行時期には、妊婦さんは感染しないよう、
手洗いやうがい・マスクの着用などで予防
を心がけてくださると良いですね。また、ヘルパンギーナと診断されている子どもとの無用な接触は避けると良いでしょう。
しっかりと水分を摂り、予防することが大事
ヘルパンギーナは「夏風邪」として夏季に流行します。
万が一かかった場合、のどの痛みが強い場合は、飲めるものを少しずつ飲んで、
脱水にならないよう注意しましょう。
まれに髄膜炎・心筋炎という重い合併症になることがあるので、頭痛や嘔吐、息切れなどの気になる症状があれば、速やかにかかりつけの医療機関に相談してくださいね。
「咳エチケット」と「手洗い」が予防の基本です。
参考サイト
執筆:箕島みな
内科医として約10年間地方の病院・診療所に勤務した後、現在は総合診療医として非常勤勤務しながら、二人の子どもの育児中。