ChatGPTのある時代に歴史の年号の暗記は必要なのか…池上彰が説く「知識」と「教養」の絶対的な違い
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いくら知識があっても、教養がなければ評価されない
質問を投げかければ即座に答えが返ってくるChatGPTなどの生成AIが注目を集めている。知識が瞬時に手に入る時代に、生成AIとはどう付き合うべきなのか。『池上彰のこれからの小学生に必要な教養』(主婦の友社)を上梓したジャーナリストの池上彰さんに聞いた――。
ChatGPTは「私をあまり信用するな」と答える
α世代は生まれた時から身近にスマホやタブレットがあり、デジタルで情報にアクセスすることが当たり前になっています。AIの発達によって、情報をより容易に入手できるChatGPTなども登場しています。デジタル機能を使いこなすことは、これからの時代に必須のスキルでしょう。
私は複数の大学で教えていますが、同僚の先生から面白い話を聞きました。
ある授業で、ChatGPTを使った調べ物の課題を出したそうです。「○○についてChatGPTを使って答えを導き出せ」というもので、どんな質問をすればいいかは一切指導しませんでした。学生が自分で質問を考えてChatGPTで調べなさいね、ということです。するとどうでしょう。学生が提出してきた答えが全部違ったというのです。
ChatGPTを使えば確かに情報を得ることができます。しかし、いい情報・正しい情報を手に入れられるかどうかは、それを使う人間の質問力に関わってきます。的確な質問には的確な答えが示されるでしょうし、漠然とした質問には漠然としか答えてくれません。
先日、「私たちはAIとどう付き合ったらいいでしょうか?」とChatGPTに聞いてみたら、「AIにあまり頼らないことです」と出てきました。まるでジョークのような回答ですが、ChatGPTを信用しすぎると時には笑い話ではすまないことも起こります。