フランスの幸せのお菓子“ガレット・デ・ロワ”がテーマの絵本が刊行
誰かを思う気持ちが連鎖する、ガレット・デ・ロワをめぐるやさしい物語
「世界文化社」から、絵本「王さまのお菓子」が発売。
「ガレット・デ・ロワ」は、日本語で「王さまのお菓子」という意味を持つフランスの伝統的なお菓子。毎年1月になると、フランスのケーキ屋さんやパン屋さんにはこのパイがたくさん並び、お気に入りのお店のパイで新年を祝う。
また、パイの中には「フェーヴ」と呼ばれる小さな陶器の置き物が。引き当てた人は紙でできた王冠をかぶり、1年間の幸せが約束されるという、ちょっとしたお楽しみにもなっている。
この作品の主人公は、そんな「ガレット・デ・ロワ」の中の、小さな陶器の女の子。幸せのお菓子を題材にした、小さな奇跡の物語だ。
ミリーは、とうきでできた おにんぎょうです。
豆つぶほどの大きさで、フェーヴとよばれています。
「さあ、いっておいで。きみは だれを しあわせにするんだろうねえ」
パティシエのブランさんに そういわれたミリーは、アーモンドクリームがたっぷりつまった パイのなかへ。
ミリーが中に入ったパイが買われていった家には、男の子の兄弟と、お母さんが病気のために預けられている女の子がいました――。
誰かを幸せにする役目を担うミリーと、誰が王さまになるか期待に胸をふくらませる子どもたち。
フェーヴがもたらす幸せをめぐって、それぞれがお互いを思いやる様子が、石井睦美氏の抒情豊かな文章と、くらはしれい氏の異国情緒溢れる絵で紡がれる。
また本の帯は、頭のサイズに合わせて切り、テープで止めると王冠になる特別仕様。本を読んだあとは、王さまや女王さまになって楽しむことができる。
「ガレット・デ・ロワ」を題材にした、甘くやさしい絵本。ぜひ、子どもといっしょに読んでみては。
王さまのお菓子
文/石井睦美
絵/くらはしれい
世界文化社刊 1,650円(税込)
問い合わせ先/世界⽂化社