こちらの記事も読まれています
幼児期にぜひやっておきたい「リビング学習」の準備
Profile
教育研究家/家庭教師集団「名門指導会」代表
教育研究家/家庭教師集団「名門指導会」代表
教育研究家。家庭教師集団「名門指導会」代表。中学受験ポータルサイト『かしこい塾の使い方』主任相談員。日本初の「塾ソムリエ」として、塾の活用法や塾選びなどの受験ノウハウを世に送る。テレビ、新聞、教育雑誌などで活躍中。おもな著書に『いちばん得する中学受験』(すばる舎)、『中学受験基本のキ!』(日経BP社)、『頭のいい子の育て方』(アスコム)、「中学受験は親が9割」シリーズ(青春出版社)など、20冊を超える著書がある。
近年、受験の世界などで定着しつつある「リビング学習」。子どもが幼児期だからこそやっておきたいリビング学習の習慣づけについて、40年中学受験に関わる西村則康先生にうかがいました。
リビング学習のすすめ
私は家庭教師としていろいろなご家庭にお邪魔し、お子さんの受験学習のお手伝いをしているのですが、子ども部屋や勉強部屋ではなく、リビングやダイニングテーブルで勉強の指導をしています。
また、家庭教師の私との学習だけでなく、勉強はリビング、ダイニングテーブルで、と親御さんにもお願いしています。
これにはいくつかの理由がありますが、お子さんが勉強している様子をお父さん、お母さんに見ていただきたいというのが理由の1つです。
これは、横についてつきっきりで勉強を教えてくださいということではなく、もちろんお子さんがちゃんと勉強しているか監視しましょう、ということでもありません。
ご家族の目の届くところで勉強させることは、いくつもよいところがあるのです。
リビング学習のメリット
リビングやダイニングテーブルで勉強させる、いわゆる「リビング学習」がずいぶん広まりました。
この「リビング学習」には、次のようなメリットがあります。
①お子さんの学習理解度がわかる
つきっきりで教えていなくても、目の届く範囲でお子さんが勉強をしていると、「はかどっているな」「なんだかうまく進んでいないみたいだ」といったことを知ることができます。
お子さんにわからない問題やちょっと聞きたいことがあるときも、お父さん、お母さんがすぐそこにいると声をかけやすいですね。
②安心して、学習に集中できる
お子さんにとっても、お父さん、お母さんがすぐそばにいる安心感は大きく、学習に集中できます。逆に適度な緊張感を感じて勉強できるという効果もありますね。
料理などの生活音で集中できないのではと考える方がいるかもしれませんが、シーンとした勉強部屋ではかえって集中しにくいものです。
周りの音がある状態は、集中力をつけるちょうどよい環境なのです。
③空間的にも有利
家族の生活空間は限られています。お子さん一人ひとりに専用の部屋を用意できるとは限らないし、子ども部屋が「相部屋」の場合は、人数分の勉強机はそれだけで空間を占拠します。
「子ども部屋=子どもたちの寝室」
と割り切り、勉強や遊びは家族のいるオープンスペースで、考えると、空間を有効に使えて家族のコミュニケーションも密になります。
まずは、リビング学習の「準備」
幼児期で大切なことは「リビングで勉強することは楽しい」という気持ちをお子さんにもたせてあげること。
もちろん最初は「お勉強」でなくてもいいのです。お子さんが興味のあること、やりたいことをリビングでお父さん、お母さんといっしょにやる、そんな時間がとても大切です。
キッズスペースをリビングに作っているご家庭もあると思います。お子さんがまだ小さいうちは、リビングに専用の小さな机を置いてお絵かきなどから始めるのもいいですね。
小学校に上がるくらいまでには、ひと通りのひらがなと数字、簡単な計算くらいをできる状態にしておきたいと考えるご家庭も多いのですが、焦って「お勉強」をあまり早くから始める必要はありません。
徐々に体も大きくなってきたら、少しずつダイニングテーブルに勉強場所を移しましょう。最終的には、簡単なドリルくらいをやらせられればじゅうぶんです。
リビング学習を定着させるために
リビング学習を定着させるために、幼児期からご家庭でできることについて考えてみました。小学校以降の学習習慣にも関わることになるので、ぜひ参考にしてみてください。
まずは遊びから
積み木やぬいぐるみなど、子どものお気に入りのおもちゃを使って机の上で遊ぶことから始めましょう。ポイントは「親子で楽しく遊ぶ」だけです。
学習のことは意識せずに、とにかく「リビングやダイニングの机のまわりに楽しいことがある」という雰囲気づくりが、リビング学習の習慣づけへの第一歩です。
本やお絵かき帳をリビングに
次のステップでは、机の近くに子どもが好きな絵本や、お絵かきセットを置いておきましょう。自然に机に向かう習慣をつけるのが目的です。
絵本は、最初は大人が読んであげるといいでしょう。そのうち自分から机に座って絵本を読むようになればよいですね。これは、小学校入学後の音読にもつながります。
クレヨンとお絵かき帳のセットも置いておくと、遊びのひとつとして自然と机に向かう習慣につながります。子どもが自発的に、描く(書く)という作業が楽しいと実感することが大切です。
さらなる習慣づけのためには
5、6歳になったら、簡単なドリルのようなものに挑戦してもよいかもしれません。最近はさまざまな種類のものが販売されていて、ひらがなや数字をただ練習するだけでなく、楽しく遊びながら取り組めるものもあります。
親子でいっしょに書店に行って選ぶのもよいですね。
大人が丸をつけてあげたり、ごほうびのシールやおやつがあると、子どもは喜ぶのではないでしょうか。ポイントは、親子でいっしょに取り組むことです。
幼児期からの準備が未来につながる
幼児期〜小学校低学年で身につけた「親の目の届く範囲での学習」という習慣は、確実に小学校高学年、そしてチャレンジするのであれば中学受験の勉強にも大きくプラスになります。
親子でコミュニケーションをとりながら進めていくリビング学習、ぜひお子さんが小さいうちから準備を進めてみてくださいね。
執筆:西村則康
Profile
西村則康
教育研究家。家庭教師集団「名門指導会」代表。中学受験ポータルサイト『かしこい塾の使い方』主任相談員。日本初の「塾ソムリエ」として、塾の活用法や塾選びなどの受験ノウハウを世に送る。テレビ、新聞、教育雑誌などで活躍中。おもな著書に『いちばん得する中学受験』(すばる舎)、『中学受験基本のキ!』(日経BP社)、『頭のいい子の育て方』(アスコム)、「中学受験は親が9割」シリーズ(青春出版社)など、20冊を超える著書がある。