【産婦人科医監修】出産後の会陰切開の抜糸について

【産婦人科医監修】出産後の会陰切開の抜糸について

抜糸する、しない?痛みや腫れなど

2018.11.24

Profile

杉山太朗

杉山太朗

田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

出産で会陰切開をした場合、抜糸をする場合としない場合があります。会陰切開の抜糸は必要なのでしょうか。抜糸をするタイミングや抜糸にかかる時間、抜糸後の痛みや腫れについて医学博士、産婦人科医師である田園調布オリーブレディースクリニック院長の杉山太朗先生監修のもとお伝えします。また抜糸しないときの流れも併せて説明します。

会陰切開とは

会陰切開は、お産のときに赤ちゃんの頭の通り道を広げるために、肛門と腟口の間にある会陰を切開することです。

会陰部分が充分に伸びて、出産時に赤ちゃんが自然に通れるのであれば会陰切開は行われませんが、会陰が充分に伸びていないときには会陰切開をした方が、赤ちゃんの通り道が広くなり、出産がスムーズに進みます。赤ちゃんの頭が大きく、出産時に腟や会陰部分が大きな傷になるときや、出産時間が長引いて赤ちゃんやママの身体に影響を及ぼす可能性があるときに会陰切開が行われます。

出産時の状況によって会陰切開をする人もいれば会陰切開せずに出産する人もいます。

会陰切開の抜糸は必要か

はさみ
Tootles/Shutterstock.com

会陰切開のときに縫い合わせる糸は、絹糸か身体に吸収されて溶ける糸のどちらが使われます。最近は、身体にそのまま吸収される溶ける糸が使われることが多いようです。自然と溶ける糸を使用した場合は、抜糸は必要ありませんが、絹糸を使用した場合は抜糸が必要です。

抜糸について

会陰切開の抜糸はどのタイミングで行われるのでしょうか。抜糸ににかかる時間や、抜糸後の痛み、腫れについて詳しく見てみましょう。


抜糸をするタイミング

会陰切開をしたあと、傷口は3日程度で回復することが多いようです。痛みがあまりなかったという人だと1~2日程度で痛みが治まり、痛みが強い人でも3~5日程度で痛みのピークはすぎたという人がほとんどです。

痛みがほぼ落ち着いてきて医師が会陰部分を確認し、問題がなければ抜糸になります。経腟分娩後の退院はだいたい産後4日目ぐらいになり、退院の前に抜糸を行う人が多いようです。


時間

会陰切開を縫い合わせた部分はだいたい2~3㎝くらいなので、抜糸にかかる時間は5~10分程度が一般的です。しかし、切開した部分が大きければ縫う部分も多くなるため、抜糸の時間も長くなり、切開部分の大きさで違いが出てきます。


抜糸後の痛み

初めて出産する妊婦さんは、抜糸後の痛みはどのくらいなのか不安になる人も多いでしょう。抜糸後の痛みは個人差があり、太い毛をピンセットで抜いたような痛みや細い針を何本か刺したまま歩いている感じ、歩くのがつらいくらいジンジン痛むなどと表現をしている人がいて、痛みの感じ方は妊婦さんによってさまざまなようです。

抜糸後の痛みは、痛みがあまり出ない人だと1~2日程度で治まり、切開部分が大きく痛みを感じやすい人だと3~5日程度で治まることがほとんどのようです。抜糸をすると、縫い合わせて突っ張りを感じていた部分がなくなり痛みから解放されたという人もいます。


腫れ

抜糸後の腫れはあまり腫れずに痛みも多少しか感じなかったという人もいれば、みみずばれのように腫れて寝ていないと痛むという人もいて、腫れ方や腫れの度合いもそれぞれで違いがあるようです。

2週間くらい腫れる人もいるようですが、時間が経つと自然に治まる場合が多いので少し様子をみてよいでしょう。

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抜糸をしないのときの流れ

会陰切開後の縫い合わせる糸に溶ける糸を使用した場合は、抜糸なしで糸は1カ月程度で自然に身体に吸収されてなくなります。もしくは途中で結び目が緩んできて自然に糸が取れます。1カ月健診で糸が溶けているかを確認し、溶けていなくても経過に特に異常がなければそのまま様子をみます。2カ月までにはほとんどの人が溶けるようです。

糸が溶ける前に痛みがある場合

溶ける糸で縫い合わせた場合でも、糸が自然に溶ける前に違和感を感じたり、突っ張り感や痛みを感じるときには医師と相談して糸が完全に糸が溶ける前に抜糸するケースがあります。どうしても痛みに耐えられないときには痛み止めを出してもらえる場合もあります。違和感や痛みなどが強い場合は我慢せず、早めに医師に相談しましょう。

会陰切開と抜糸についての知識をつけて出産に臨もう

産まれたての赤ちゃん
javi_indy/Shutterstock.com

会陰切開は初産だとほとんどのママが経験するようですが、出産時の状況によっては会陰切開をしない場合もあります。会陰切開の抜糸についても、溶ける糸を使用し、糸が自然にそのまま溶ければ抜糸をする必要はありませんが、絹糸を使用した場合や、溶ける糸でも自然と糸が溶ける前に痛みや違和感を感じたら医師と相談をして抜糸をすることもあります。痛みや違和感を感じたときには抜糸をしてしまった方が痛みが続かず楽になる場合もあります。

会陰切開や抜糸について、何も知らない状態だと不安が大きくなるママもいると思います。会陰切開後の抜糸の痛みや腫れには個人差があるので、痛みや腫れについて一様にはいえませんが、会陰切開と抜糸についての知識をつけておくと心の準備をして出産や出産後の抜糸に臨めるでしょう。


監修:杉山 太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

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杉山太朗

杉山太朗

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

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