今回の記事では、赤ちゃん、ママやパパ両方の立場から「怒る」ことについて考えてみます。赤ちゃんが怒る理由や対処法について、また、ママやパパが赤ちゃんを怒るときに気をつけるべきことや正しい叱り方について、実際の体験談も合わせてお伝えします。
個人差はありますが生後6カ月くらいから赤ちゃんの情緒が分化し「怒る」という感情が出てくるようです。
厚生労働省の資料によると、欲求が満たされたり妨げられたときに起こるさまざまな感情を情緒とし、情緒は体に現れる反応や表情から観察できるとしています。
生まれてまもない新生児は漠然とした安心感や不快感があるだけですが、6カ月ごろになると不快感が「怒り」「嫌忌」「恐れ」に分化すると記載されています。
赤ちゃんが大きな声で泣いたり、体を反らしてぐずるなどの行動をとるときは、怒っているのかもしれません。
赤ちゃんが怒るときは、いくつかの理由があるようです。
眠気を感じていても眠れないとき、赤ちゃんは自分でどうすることもできず、怒るようなそぶりをすることがあります。
ぐずぐずと泣いたり大声で体を反らして泣いたり、体をバタバタさせる赤ちゃんもいます。赤ちゃんによって個人差があるので、眠いとき特有のしぐさを普段からママパパが把握しておくと安心ではないでしょうか。
赤ちゃんを取り巻く環境が急に変化すると、不安を感じて怒ることがあるようです。部屋から屋外に出たときや、逆に屋外から部屋に入ったときに不安を感じて泣いたり、機嫌が悪くなることがあります。
7、8カ月で「人見知り」が始まる時期になると、初めて会う人に警戒心を持ち、不安になって怒るように泣くこともあります。
熱がある、どこかが痛いなど体に不調を感じるときに、怒る赤ちゃんもいます。赤ちゃんは「痛い」と言葉で伝えることができないので、怒ったように泣いたりぐずったりして一生懸命伝えようとします。
いつもと怒り方や泣き方がちがうと感じたら、すぐに赤ちゃんの体の異変を確認してあげてください。
それでは、実際に赤ちゃんが怒っているときにどう対処したらいいのでしょうか。
空腹を感じていたり、おむつが汚れていることでうまく眠れないのかもしれません。また、暑い・寒いなど気温が原因かもしれません。
ミルクを与える、おむつを替える、赤ちゃんの体温を確認し衣類や布団で調整するなどを試してみると、赤ちゃんが怒っているのがおさまることがあります。
赤ちゃんの不安を取り除いてあげるには、ママやパパが抱っこしてあげるとよいでしょう。それでも怒っている感情がおさまらない赤ちゃんもいますが、時間をかけて少しずつ情緒が落ち着くことがほとんどです。
抱っこのほかにも、ママパパが穏やかな声で話しかける、背中やおなかを優しくとんとんするなど、普段から「これをすれば落ち着く」という方法がわかっていると安心だと思います。
赤ちゃんが不調を感じているのが体のどの部分なのか、確認しましょう。不調の原因が判明したら、必要に応じて病院で受診することをすすめます。
赤ちゃんが怒ったときのママたちの体験談をお伝えします。
今度は、怒るのが赤ちゃん側ではなく、ママやパパが怒る場合について考えてみます。赤ちゃんの月齢や年齢が進むにつれて、赤ちゃんを怒る場面が増えてくるのではないでしょうか。
怒るときはできるだけ感情的にならないように注意しましょう。
赤ちゃんはママの感情や声色、雰囲気を敏感に感じ取ります。大声で怒鳴られると赤ちゃんはびっくりしたり恐怖心を抱いてしまうかもしれません。
危険が及ぶなどとっさの時は仕方ないですが、それ以外で怒るときはできるだけ穏やかに「なぜ怒るのか」というママの気持ちを伝えるようにしましょう。
赤ちゃんに対してどのように怒るのがよいのか、想定される場面ごとに考えてみました。
【かんしゃく】
赤ちゃんが不安になったり不快なことがあると、かんしゃくを起こすことがあります。大声で泣いたり体を思い切りそらしたり、暴れたり顔を真っ赤にすることもあるでしょう。赤ちゃんを落ち着かせたいと考えて、つい「泣かないで!」と怒ってしまうママもいるかもしれませんが、時間が経てばかんしゃくは落ち着きます。
まずはママが赤ちゃんのかんしゃくの原因を確認して「嫌だったよね」「心配だったよね」と気持ちを受け止めましょう。そして、かんしゃくがおさまったあとに「えらかったね」「がんばったね」と優しく声をあけてあげるといいでしょう。
もちろん、ママもいつも穏やかでいられるわけではないので、赤ちゃんが大声で泣くとつい「静かにしなさい」と怒ってしまうこともあるかもしれません。そういうときは「怒ってごめんね」とすぐに伝えることでママ自身も落ち着くでしょう。
どうしても怒ってしまうときは、ママが疲れている証拠かもしれません。家族にお願いして少し赤ちゃんから離れたり休息をとるといいのかもしれません。
【いたずら】
赤ちゃんの月齢が進み、行動範囲が広がるといたずらをすることがあります。赤ちゃんは遊んでいるつもりかもしれませんが、ママを困らせることもあるでしょう。
テッシュを箱からぜんぶ出したり、障子に穴を開けるなど赤ちゃんはママが予想しないようないたずらをしてしまうこともあります。そのときは「○○だからそれはだめだよ」とだめな理由を伝えてあげてください。
【遊び食べ】
離乳食が始まると遊び食べをしたり、食べ物を投げたりする赤ちゃんもいるようです。とっさのことでもし「だめ!」と強く伝えてしまっても、そのあとできるだけ冷静に、遊びながら食べるのはよくないこと、食べ物を粗末にしてはいけないことを赤ちゃんに伝えましょう。
ママも大変なので根気が必要かもしれませんが、遊び食べなどは一時的なことのようです。もしくは、食事のタイミングや場所を変えてみると、遊び食べをやめるきっかけになるかもしれません。
【危ないとき】
高いところに登ろうとしたりコンセントをいじるなど、赤ちゃんが危ないことをしたときには、「危ない!」と強めに伝えてもいいかもしれません。
ただ怒鳴るのではなく、赤ちゃんの目を見て、それはしてはいけないということを真剣に伝えましょう。
赤ちゃんは、してはいけない場面を覚えておけるほど記憶力が発達していません、そのため、繰り返し教えていく必要があります。わかりやすい言葉で伝えるようにしましょう。
危ないことに関しては、ママが予防することもできます。赤ちゃんが登りそうなものは置かないようにしたり、コンセントにはカバーをつけるなど工夫して怒る機会を減らしてみるのもいいかもしれません。
ママがいくら真剣に怒っても、赤ちゃんに伝わっていないと感じることもあるようです。そんなときはどうしたらいいのでしょうか。
ママが怒っても赤ちゃんが喜んだりニコニコしているなら、遊んでもらったり注目されることがうれしいのかもしれません。赤ちゃんは、怒られたというより遊んでもらっていると勘違いすることもあるようです。
いたずらなどに対して過度に感応するより、その行為をさらりと受け流す方が効果的なこともあります。「それをされたらいやな気もちになるよ」とひとことだけ伝えてすぐ目を逸らすなどの方法を試してみてもいいかもしれません。
感情的になってはいけない、優しく伝えようと意識するあまり、赤ちゃんにママの真剣さが伝わらないこともあるようです。目で真剣さを伝えるために、声色は穏やかでも赤ちゃんの目をまっすぐに見て怒るようにしましょう。
また、少し低めの声で真顔で伝える、正面に座って話すなど、いつもと伝え方を変えてみるのもいいかもしれません。
最後に、ママたちが赤ちゃんに怒ったときに体験談をご紹介します。できるだけ感情的に怒らないほうがいいとわかっていても、なかなか理想通りにはいかないようです。
赤ちゃんとママやパパの両方の立場から「怒る」ことについて考えてみましたが、赤ちゃんが怒るのは一時的なことが多いようです。怒る原因を理解することができたら少し安心するのではないでしょうか。
ママやパパが怒るときは、できるだけ感情的にならずに「どうして怒るのか」を一度考えてから赤ちゃんに伝えるのがいいようです。赤ちゃんに危険が及ぶときは真剣に怒るなどメリハリをつけて、基本的には暖かく穏やかに赤ちゃんを見守ってあげられたらいいですね。
2021年11月10日
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