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2017年01月18日

お医者さんは聴診器で何を聞いているの?下着は新品じゃないと恥ずかしい?

病院に行くと、聴診器を当てて診察してもらいます。でも、聴診器で一体、お医者さんはどんな音を聞いているの?病気を正しく診断してもらえるように私たちが気をつけられることはある?聴診器のいろんな疑問に、お医者さんがお答えします。

箕島みな

著者:箕島みな

内科医として約10年間地方の病院・診療所に勤務した後、現在は総合診療医として非常勤勤務しながら、二人の子どもの育児中

聴診器とは

聴診器は、患者さんの身体に当てる部分(チェストピース)の音を拾い、ゴム管を通して耳に伝える器具です。「お医者さんの道具」というイメージですが、仕組みは「糸電話」に似た、とてもシンプルなものです。

聴診器でどんな音を聞いているの?

では実際に患者さんを診察する時、お医者さんはどんな音を聞いているのでしょうか?

1. 心音

まずは、心臓の音です。お子様の健康診断では、この「心音」に特に注意します。

心臓の音は、通常「トントン、トントン」という音でリズムを打っているのですが、心臓に病気があると「トンドー、トンドー」等と音が変わったり(=心雑音)、「トントン、トントントントン」とリズムが狂ったりします(=不整脈)。

小児では、心臓の壁に穴が空いている病気などが隠れていることがあるので、健康診断ではこの音を慎重に聞いています。もしも心臓の音に異常が見つかれば、専門医を受診して頂き、心エコー・心電図など、さらに詳しい検査をします。

心音を聞く時には、心臓に複数ある弁の音にそれぞれ注意するため、心臓の近くで聴診器の位置を少しずつ動かしながら聞きます。お医者さんが胸の中央〜左側で、少しずつ聴診器の場所を変えて音を聞いていたら、「心臓をていねいに診察しているんだなー」と思ってくださいね。

2. 呼吸音

次に大切なのが、呼吸の音、肺の音です。肺は、空気を吸い込む、細かいストローでできたスポンジのような臓器です。

普通は「スースー」と(ストローで空気を吸うような)澄んだ音がします。しかし、そこに「肺炎」「気管支炎」など、炎症が起きると、痰など分泌物が増えて、「ズーズー」「ゴロゴロ」と(まるでストローで残り少ない飲み物をすすっている時のように)、音が濁ってきます。

また、「喘息」など、気管支が狭くなる病気では、「ヒューヒュー」と、笛のような音がすることもあります。(喘息がひどくなると、聴診器がなくても「ヒューヒュー」という音が聞こえて来ます)

肺の音を聞くときは、左右差に注意し、場所を変えながら右・左を交互に聞いていきます。例えば、右下に肺炎があるときは、右下だけ「ゴロゴロ」と音が変わるからです。

3. その他の音

その他に、お腹に聴診器を当てて、腸が動く音を聞いたり(お腹が空いたときの「グルグル……」の音が聞こえます)、首に当てて血管の雑音を聞いたりすることもあります。

診察の時、患者さんが気をつけること

基本的には、緊張せず、医師の指示通りに普通に呼吸して頂いていれば大丈夫です。

ただ、聴診器を当てている時におしゃべりすると、聞こうとする音が聞こえなくなりますし、聴診器を着けているときは医師にはおしゃべりの声ははっきり聞こえませんので、聞き返してしまい二度手間になります。ですので、聴診器の診察の時は(お子さんもお母さんも)おしゃべりしないことを気をつけていただくと、診察がうまくいきます。

赤ちゃんが泣いてしまった!

赤ちゃんが泣いてしまっても、泣く合間、短く呼吸する間に聴診はできます。でも、できれば泣かない方がいいですよね。あらかじめ「モシモシしようね」と声をかけたり、聴診器を温めておいたり……、医者の腕の見せ所でもあります。お母さんには温かく見守っていただけたら、と思います。

深呼吸した方がいいの?

浅い呼吸だと、呼吸音が聞きづらいこともありますが、あまり長く深すぎる深呼吸だと、かえって左右差などが聞きづらくなる場合がありますので、診察する医師の指示に従ってください。

私は「浅すぎない普通の呼吸」が一番診察しやすいですが、もっとよく聞きたい時には、患者さんに「もう少し大きく呼吸してください」などと具体的にお願いしています。

服をめくるのが恥ずかしい?

「身体を見られるのが恥ずかしい」「下着を見られるのが恥ずかしい」というお声を聞くことがありますが(お気持ちはとってもわかります!)、医師は一日に何十人もの診察をしていますし、診察(病気があるかないか)に集中していますので、身体や下着のことは全く気にしていませんし、覚えてもいません。

「診察があるから、新品の下着で……」と気を使っていただくこともあるようなのですが、普段通りで結構です。どうぞ、安心して診察室にお越し下さい。

「聴診器を壁に当てたら、隣の部屋の会話をスパイできる?!」

以前、新聞記者をしている友人に、こう聞かれたことがありました。試したことはなかったのですが、せっかくなので、この機会にやってみました(!)。

すると、「壁に耳をくっつける」のと同じ位には、向こう側の部屋の小さな音が聞こえました。

ただし、聴診器は、「とても小さな音」(例えば心臓の音)を増幅して聞き取る器具なので、もしもその壁を誰かが側で「カツン!」と叩いたら、聴診器をしている耳には増幅されて「爆音」として聞こえ、びっくりして飛び上ってしまうかもしれません。また、雑音も大きく聞こえるので、実用的かどうかの保証はできません。

お医者さんは聴診器でいろんな音を聞いています

お医者さんは聴診器で、心臓・呼吸の音などを聞いています。普通にしていただければ音が聞こえますが、聴診の間は少しだけ、おしゃべりをお休みしてくださいね。あとは緊張せず、リラックスしていてくださったらそれで十分です。

著者:箕島みな

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