やけど(熱傷)にはレベルがあります。子どもやママがやけどをしたときの、やけどのレベルの見分け方や受診の目安、処置、看護方法や市販薬の選び方などについて皮膚科医、桐谷麻美子先生の監修のもと解説します。
やけどは正式名称で熱傷、通称で火傷とあらわします。
子どものいる家庭では、バーベキューや花火など子どもと一緒に火を扱う機会あるでしょう。また直接火を使わなくても、ノートパソコンの放熱やカイロ、消臭剤や漂白剤などの強アルカリ化学物質なども、やけどの原因になることがあります。子どもの前で火を使うときや、熱や発火などによる、やけどが起こりうる生活用品の管理をしっかり行い、子どものやけどに注意しましょう。
また育児中のママは子どもと火を扱うレジャー中や、急いで家事をこなしているときなど、自分がやけどを負う機会も少なくありません。やけどについて知識をつけましょう。
やけどには、症状によってレベルがあります。
やけど部分が赤くなりますが、水ぶくれはなく、適切な処置を行うことで家庭で完治させることができます。
「浅達性II度熱傷」と「深達性II度熱傷」に分けられます。
浅達性II度熱傷は、やけど部分が赤くなり、水ぶくれができます。痛みを伴いますが、治療行うことで1~2週間で治り、痕は残らないことが多いです。
深達性II度熱傷は、やけど部分が赤や紫、白色になり、水ぶくれができます。ほとんどの場合痛みはありませんが、治るまでに2~3週間かかり、痕が残ることが多いようです。
III度熱傷になると、やけど部分が黒色や褐色、または白色になります。皮膚が壊死した状態になるので、水ぶくれや痛みはありません。
Ⅱ度熱傷以上は、医師にきちんとみてもらい、治療する必要があります。III度熱傷になると、自然治癒するには時間がかかります。冷却、洗浄、軟膏治療など専門の治療が必要になります。
やけどをしたときに家庭でできる処置方法をご紹介します。子どもだけでなく、ママやパパがやけどをしたときの処置としても使えます。
やけどをしたときには、すぐに流水で15分以上冷やすことが大切です。
手足のやけどには、水道水を出し続けたまま冷やします。顔や頭、胴体など、冷やし続けられない場所のやけどには、氷水などで冷やしたタオルを患部に当てて冷やします。また目や口周辺など冷やしにくい部位のやけどには、保冷剤を包んだタオルで冷やすとよいでしょう。
衣類を着た状態でやけどをした場合は、無理に脱がせると皮膚がはがれてしまうかもしれません。洋服の上から冷却を始めるようにしてください。やけどが広範囲の場合には、浴槽に水をはって冷やしたり、タオルを水に浸して全身を包むようにして冷やすとよいでしょう。
やけど の患部に直接氷や保冷剤を当てると、氷が皮膚にくっついてしまう可能性があります。無理にはがそうとすると、患部を傷つけ細菌が入り込んで悪化する場合があるので、氷や保冷剤を、直接患部に当てないようにしましょう。
また、急激に冷やし過ぎると凍傷を起こしたり、やけどの傷をかえって深くしてしまうことがあるので注意が必要です。
冷やしたあと、炎症を和らげようと、消毒や軟膏を塗って応急処置をするママもいるかもしれません。しかし、自己判断で消毒や軟膏を塗ると、病院で受診したときに、本来のやけどの状態が分からなくなってしまいます。消毒液が傷口を悪化させてしまう可能性もあるので、やけどの直後には消毒や軟膏は塗らないようにしましょう。
水ぶくれができたり、やけどの程度がⅡ度以上の場合は、医療機関での受診をしましょう。子どもは、大人よりも皮膚が薄いため、やけどの影響が深く残る場合があります。やけどをなるべくきれいに早く治すために病院で正しい処置と治療をしてもらうことが大切です。
水ぶくれの有無をしっかり見極めて、やけどが水ぶくれになっている場合は、皮膚科を受診しましょう。
やけどを処置したあと、なるべくきれいに治すための看護方法をご紹介します。子どものやけどを、なるべく早くきれいに治すためにもママやパパが知っておきましょう。
水ぶくれの中には、やけどを治すための分泌液が入っています。水ぶくれをつぶしてしまうと細菌にも感染しやすくなるため、子どもにも水ぶくれはつぶさないように話しましょう。
やけどの水ぶくれの対処は下記の記事を参考にしてください。
やけどのあとに紫外線をたくさん浴びると、やけどのあとがずっと黒ずんでしまう可能性があります。やけどをしたあとは紫外線対策を心がけましょう。
やけどのあと、すぐに病院で受診ができなかったり、症状が赤くなる程度のときには、応急処置で市販薬を使ってもよいでしょう。
子どものやけどに合う市販薬を選ぶポイントを紹介します。
抗生物質を含んだ軟膏は、やけどが化膿するのを防ぎ、感染予防ができます。
やけどのレベルが軽い場合のみ、「ハイドロコロイド」という特殊素材のばんそうこうを使うという手もあります。
場合によっては症状を悪化させてしまう可能性があるので、市販薬を使うときには必ず医師に相談してから使うようにしましょう。
手持ち花火やバーベキューなど季節的なイベントや、日常でも電気ポットやヘアアイロンを触ったり、子どもがやけどをするシーンはたくさんあります。また、子どものお世話や家事に追われて、思わぬところでママやパパがやけどをすることもあるでしょう。
やけどの程度や症状別で看護の仕方が変わってきます。やけどの程度の見分け方や市販薬の使用、塗り薬にはステロイド入りの物を使用してもよいのか、また、湿潤法などの処置方法は、正しいのか迷うこともあるでしょう。特に浅い傷に見えても子どもの肌はやけどによるダメージをのこしやすいので迷うときは自己判断せず、病院に相談して治療することが大切です。
子どもがやけどをしたり、急いでいるときに自分がやけどをしてしまうと焦ってしまうものなので、冷水で冷やす時間や、やけど直後の処置方法には普段から知識を付けておくことが大切です。正しい判断と応急処置で、やけどの完治までの期間を早めましょう。
桐谷麻美子(まみこ皮ふ科クリニック)
まみこ皮ふ科クリニック院長。平成5年宮崎医科大(現宮崎大学医学部)卒。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。
患者様の皮膚の悩みが改善できるよう、向き合いながら、その方にあった最善の治療を行っている。地元で安心できる、かかりつけ皮膚科医を目指し、あたたかい診察を行なっている。
2018年08月11日
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