子どもの急な発熱やのどの痛み、もしかしたら「溶連菌感染症」かもしれません。実際に自分の子どもがかかった経験がなければ、詳しい症状などを知らない人も多いのではないでしょうか。「猩紅熱(しょうこうねつ)」ともよばれる、溶連菌感染症の原因と症状、特に流行しやすい時期、検査方法、注意したい合併症、治療方法や家庭でできる対応、登園目安や予防法などを医師に伺いました。
子どもが「のどが痛い」「唾が飲み込めない」と訴えていたら、それは溶連菌に感染したサインかもしれません。原因、流行しやすい時期、主な症状についてみていきましょう。
溶連菌感染症は、A群β溶血性連鎖球菌という細菌が原因で引きおこされる病気です。扁桃腺や鼻、喉の粘膜に菌が付着することで発症します。
専門家によると
とのことです。
また、大人に比べて免疫力が低い子どもは発症しやすいのですが、
ともいわれています。
もし、潜伏期間中の友だちと接触した場合は、うつる可能性もあるので子どもの様子を注意してみてあげましょう。
溶連菌感染症にかかると、症状として主にのどの赤みや、強い痛みが現れます。
症状をうまく伝えることは子どもには難しいものですが、ご飯の飲み込みが悪い、大好きな飲み物もあまり飲みたがらないなど場合は、溶連菌感染症の発症のサインかもしれません。
また溶連菌感染症では、38~39℃くらいの発熱がでることもあります。
喉の痛みが現れてから1~2日後に手足やおなか、背中あたりにかゆみを伴う1~2mmほどの赤い発疹が現れるのも、溶連菌感染症の大きな特徴のひとつです。
また、イチゴ舌とよばれる、舌にイチゴのような赤いブツブツが生じるケースもあります。さらに発疹が現れてから数日後に手足の皮がむける場合があります。
風邪と異なり、咳や鼻水などの症状がない場合があるのも、溶連菌の特徴です。症状は、数日~数週間で自然と消失します。
溶連菌感染症に感染しているかどうかは、検査でチェックします。どんな検査方法があるのでしょうか。
のどの粘膜を綿棒などでこすり取り、専用の液が入った容器に入れて診断するキットです。現在、溶連菌感染症の最も一般的な検査方法といわれています。
5分ほどで結果がわかるのがメリットですが、正確さが80%とやや低いのが難点です。
迅速診断キットと同じように綿棒などで、のどにいる菌を採取します。その菌の数を人工的に増やして、菌の種類を判断する検査方法です。
検査結果の精度は極めて高いのですが、検査結果が出るまでに数日~1週間かかります。
血液を採取して溶連菌感染症の抗体があるかを確認する検査方法です。溶連菌以外の菌に感染しているかどうか確認できるのがメリットですが、結果が出るまで1週間ほどかかります。
上記の検査方法がありますが、所見で溶連菌感染症ではないと判断した場合、検査をしない病院もあります。気になる場合は、検査できるかどうか医師に相談してみましょう。
溶連菌感染症にかかった場合に気をつけたいのが、腎炎です。
腎炎とは、腎臓の細い血管が塊状になった糸球体という部分にトラブルが起き、血尿やタンパク尿、全身のむくみなどがみられる病気です。腎炎の疑いがある場合には、溶連菌感染症が治ってから2~3週間後に尿検査を行います。
ただし、子どもの年齢や体調、医師の考えによっては腎炎の検査をしないこともあります。
その他、発熱や頭痛、関節痛をともなうリウマチ熱が合併症としてあらわれることもあります。
溶連菌感染症と診断された場合は、抗菌薬が処方されます。
おおむね7~10日間分、処方されますので、医師の指示にしたがってきちんと飲みきることが肝心です。
「熱が下がった」「のどの痛みがなくなった」と自己判断して服用を途中でやめてしまうと、再発する可能性があります。
保育園や幼稚園などへは、学校保健安全法にしたがい「医師の判断により感染のおそれがなくなるまで」登園ができません。
抗生剤を投与し始めて24時間ほど経つと、感染力が減少します。その時間が経過し、全身症状が快方に向かえば、登園可能と言われています。
体力のない小さな子どもであれば、ごはんが食べられるようになった、元気に動けるようになったなどを目安に入れ、登園を再開させるのがよいでしょう。
治癒後、登園を再開するためには「登園許可書」が必要です。保育園や幼稚園から用紙を取り寄せ、医師の診断を受けて保護者が記入して提出することになります。
溶連菌感染症の代表的な症状は発熱、のどの痛みと赤み、発疹、イチゴ舌などです。子どもに感染の疑いがあるときは、医師に相談して検査を依頼しましょう。
溶連菌感染症と診断を受けたら、薬の服用など適切な対応を行うことが肝心です。
うがい手洗いを徹底し、毎日の生活や食事を整えることが、溶連菌への感染予防対策につながります。
眞々田容子(クローバーこどもクリニック)
台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。
症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。
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2021年03月31日
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