【小児科医監修】子どもの目がおかしい!子どものものもらいの症状と治療

うつるかどうかと再受診の目安

【小児科医監修】子どもの目がおかしい!子どものものもらいの症状と治療

子どもの目がいつもより腫れぼったい、いつもと状態が違うと感じたときはものもらいかもしれません。ものもらいの特徴的な症状と治療法、うつるのかについて解説します。また、子どもがものもらいになったら何科を受診するべきか、幼稚園や学校は休んだ方がよいのか、家での対処法についてもご紹介します。

ものもらいの特徴

ものもらいには麦粒腫(ばくりゅうしゅ)霰粒腫(さんりゅうしゅ)と主に2種類あります。

黄色ブドウ球菌などに感染して起こる麦粒腫(ばくりゅうしゅ)は赤い腫れができます。



まぶたにあるマイボーム腺に肉芽腫という塊ができる霰粒腫(さんりゅうしゅ)は白いしこりが特徴です。

子どものものもらいの症状

ものもらいになると以下のような症状がみられます。

【麦粒腫】
・腫れ
・赤み
・痛み

【霰粒腫】
・腫れ
・しこり
・異物感

霰粒腫は通常、赤みや痛みが伴わないことが多いといわれていますが、症状が進むと、痛みや赤みが出る場合があります。

ものもらいの原因と、うつるかどうか

ものもらいは、マイボーム腺のつまりが原因で発症するトラブルです。

また、感染しやすい病気ではありませんが、麦粒腫は細菌感染なので感染する可能性があり、兄弟でうつる例もあります。

人にうつることは少ないため、ものもらいになっても幼稚園や保育園、学校の登園禁止の規定はありません。もし、ものもらいが原因で幼稚園や保育園を休んだ場合でも、登園許可証を提出する必要はありません。

ものもらいができたときにプールは入ってもよい?

ものもらいのときのプール
chakkraphong jinthawet/Shutterstock.com

ものもらいはうつる病気ではありませんが、プールにはさまざまな菌が含まれているので、プールに入ることでものもらいの症状が悪化する場合があります。

また、プールは思っている以上に子どもの体力を消耗するため、ものもらいの治りを長引かせる可能性があるため、ものもらいが治るまでは控えた方がよいでしょう。

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治療法

ものもらいになったときには症状やものもらいの大きさによって治し方が変わってきます。


点眼

通常ものもらいは、抗菌薬の点眼で治療するのが一般的です。まずは、点眼薬で様子をみるケースが多く、2~3週間で治ることが多いです。


内服薬

赤く腫れる麦粒腫(ばくりゅうしゅ)は、点眼薬と併用して目のなかに入っても大丈夫な軟膏が処方される場合があります。

症状によって抗生剤や抗炎症の内服薬が処方されますが、通常は4~5日程度で症状が治ることがほとんどです。


注射

痛みや腫れが引いてもしこりが残っている場合は、しこりがある部分にステロイド薬を注射で打つことがあります。

注射はすぐに効果が出るわけではなく、よくなるまでに2週間程度かかります。


手術

ものもらいの症状が悪化して化膿している場合は、切開して膿を取り出す場合があります。霰粒腫が長引く場合も手術治療になることがあります。

目薬や飲み薬の治療でよくならないときや、子どもの視力に影響が出る場合、注射をしても治らないときには、手術になる可能性がありますが、最近は手術になる人は多くないようです。

家での対処法

ものもらいにならないようにどのようなことに気をつけたらよいのでしょうか。家庭での対処法をご紹介します。


目の周りを清潔にする

汚れたハンカチやタオルで目の周りを拭いたり、目がかゆいときや眠いときに汚い手で無意識に目をこすると雑菌が目の中に入ってものもらいになりやすくなります。

ハンカチやタオルは常に清潔に保ち、子どもが外遊びや運動をしたあとは手や顔を洗う習慣をつけましょう。


十分な睡眠をとる

十分な睡眠
MISS TREECHADA YOKSAN/Shutterstock.com

睡眠不足や疲れ気味のとき、風邪を引いたときなど身体の免疫力が落ちているときにものもらいはできやすくなります。十分な睡眠をとって、免疫力を高めることが大事です。


湯船に浸かる

まぶたが温まらないと、涙の蒸発を防ぐ油を分泌しているまぶたのふちのマイボーム腺に脂肪がつまりやすくなり、ものもらいになります。

40度前後のお湯に10分程度浸かって身体とまぶたを温めるようにしましょう。


食べ物に配慮する

辛い食べ物は目の粘膜を刺激してものもらいを悪化させることがあります。
刺激の強い食べ物を避け、皮膚や粘膜を保つビタミンが豊富に含まれた緑黄色野菜や果物を積極的に摂るとよいです。

子どものものもらいは眼科?それとも小児科?

子どもの目がいつもと違う様子でものもらいかもしれないと思ったときには、小児科と眼科どちらを受診するべきか悩む人もいるでしょう。

他にも症状がある場合や、症状が軽い場合は小児科で相談しましょう。小児科は子どもの病気全般の専門家です。

目の腫れや赤みなど症状が悪化したり、長引く場合には眼科を受診するとよいでしょう。また、症状によっては小児科から眼科を紹介してくれるケースもあります。

悪化した場合の再受診の目安

麦粒腫(ばくりゅうしゅ)は抗生物質の入った目薬を使ったり、内服薬を使用すると1週間程度で治ることがほとんどです。ものもらいの腫れがひどいときや症状が長引くときには再受診しましょう。

霰粒腫(さんりゅうしゅ)は、しこりがそれほど大きくないときには自然に治ることがあります。ただし、しこりが大きくなると病院を受診してしっかり治療する必要があります。

目を清潔に保つことでものもらいを防ごう

手洗いする女の子
ucchie79/Shutterstock.com

ものもらいには、主に麦粒腫(ばくりゅうしゅ)と霰粒腫(さんりゅうしゅ)の2種類があり、種類によって症状が少し変わってきます。

しかし、ものもらい自体は人に感染する心配はほとんどありません。

子どもの年齢が低いときは、汚い手で目をかいたり、こすることがものもらいの原因となる可能性も多いため、ママやパパが手洗いの声かけをしたり、タオルやハンカチは清潔なものを持たせるなど意識することが大切です。

目の周りを清潔に保ち、バランスのとれた食事や十分な睡眠で免疫力をつけておくことも、ものもらいを防ぐ方法の1つです。

子どもは目の違和感を言葉で訴えるのは難しいかもしれないので、子どもの様子をよく観察するようにしてください。

目をしきりに触る、かゆがる、赤く腫れるなど、いつもと違う行動や異常な症状が見られたときには、早めに小児科、または眼科を受診し、悪化させないように心がけてください。


監修:金髙太一(おひさまクリニック 院長)

Profile

金髙太一(おひさまクリニック)

金髙太一(おひさまクリニック)

おひさまクリニック院長。小児科専門医、地域総合小児医療認定医。小児の感染症、アレルギー、免疫・膠原病を中心に東京、横浜の病院で研修・診療の経験を積み、2015年に東京の十条にておひさまクリニック(小児科、耳鼻咽喉科)を開院。 子どもたちが健やかに成長していくためのサポートをしたいと思っております。また、3児の父でもあるので、子どもに関することでしたら、お気軽にご相談ください。

2019年09月25日

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