子どもの目がいつもより腫れぼったい、いつもと状態が違うと感じたときはものもらいかもしれません。ものもらいの特徴的な症状と治療法、うつるのかについて解説します。また、子どもがものもらいになったら何科を受診するべきか、幼稚園や学校は休んだ方がよいのか、家での対処法についてもご紹介します。
ものもらいになると以下のような症状がみられます。
【麦粒腫】
・腫れ
・赤み
・痛み
【霰粒腫】
・腫れ
・しこり
・異物感
霰粒腫は通常、赤みや痛みが伴わないことが多いといわれていますが、症状が進むと、痛みや赤みが出る場合があります。
ものもらいになったときには症状やものもらいの大きさによって治し方が変わってきます。
通常ものもらいは、抗菌薬の点眼で治療するのが一般的です。まずは、点眼薬で様子をみるケースが多く、2~3週間で治ることが多いです。
赤く腫れる麦粒腫(ばくりゅうしゅ)は、点眼薬と併用して目のなかに入っても大丈夫な軟膏が処方される場合があります。
症状によって抗生剤や抗炎症の内服薬が処方されますが、通常は4~5日程度で症状が治ることがほとんどです。
痛みや腫れが引いてもしこりが残っている場合は、しこりがある部分にステロイド薬を注射で打つことがあります。
注射はすぐに効果が出るわけではなく、よくなるまでに2週間程度かかります。
ものもらいの症状が悪化して化膿している場合は、切開して膿を取り出す場合があります。霰粒腫が長引く場合も手術治療になることがあります。
目薬や飲み薬の治療でよくならないときや、子どもの視力に影響が出る場合、注射をしても治らないときには、手術になる可能性がありますが、最近は手術になる人は多くないようです。
ものもらいにならないようにどのようなことに気をつけたらよいのでしょうか。家庭での対処法をご紹介します。
汚れたハンカチやタオルで目の周りを拭いたり、目がかゆいときや眠いときに汚い手で無意識に目をこすると雑菌が目の中に入ってものもらいになりやすくなります。
ハンカチやタオルは常に清潔に保ち、子どもが外遊びや運動をしたあとは手や顔を洗う習慣をつけましょう。
睡眠不足や疲れ気味のとき、風邪を引いたときなど身体の免疫力が落ちているときにものもらいはできやすくなります。十分な睡眠をとって、免疫力を高めることが大事です。
まぶたが温まらないと、涙の蒸発を防ぐ油を分泌しているまぶたのふちのマイボーム腺に脂肪がつまりやすくなり、ものもらいになります。
40度前後のお湯に10分程度浸かって身体とまぶたを温めるようにしましょう。
辛い食べ物は目の粘膜を刺激してものもらいを悪化させることがあります。
刺激の強い食べ物を避け、皮膚や粘膜を保つビタミンが豊富に含まれた緑黄色野菜や果物を積極的に摂るとよいです。
ものもらいには、主に麦粒腫(ばくりゅうしゅ)と霰粒腫(さんりゅうしゅ)の2種類があり、種類によって症状が少し変わってきます。
しかし、ものもらい自体は人に感染する心配はほとんどありません。
子どもの年齢が低いときは、汚い手で目をかいたり、こすることがものもらいの原因となる可能性も多いため、ママやパパが手洗いの声かけをしたり、タオルやハンカチは清潔なものを持たせるなど意識することが大切です。
目の周りを清潔に保ち、バランスのとれた食事や十分な睡眠で免疫力をつけておくことも、ものもらいを防ぐ方法の1つです。
子どもは目の違和感を言葉で訴えるのは難しいかもしれないので、子どもの様子をよく観察するようにしてください。
目をしきりに触る、かゆがる、赤く腫れるなど、いつもと違う行動や異常な症状が見られたときには、早めに小児科、または眼科を受診し、悪化させないように心がけてください。
金髙太一(おひさまクリニック)
おひさまクリニック院長。小児科専門医、地域総合小児医療認定医。小児の感染症、アレルギー、免疫・膠原病を中心に東京、横浜の病院で研修・診療の経験を積み、2015年に東京の十条にておひさまクリニック(小児科、耳鼻咽喉科)を開院。
子どもたちが健やかに成長していくためのサポートをしたいと思っております。また、3児の父でもあるので、子どもに関することでしたら、お気軽にご相談ください。
2019年09月25日
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