【小児科医監修】赤ちゃんのうんちが下痢で赤い!原因や病院受診の目安

赤い下痢で考えられる病気やホームケアなど

【小児科医監修】赤ちゃんのうんちが下痢で赤い!原因や病院受診の目安

赤ちゃんのうんちが普段より下痢気味だと心配になりますよね。赤ちゃんが下痢をする原因や、下痢で病院を受診する目安、ホームケアについて解説します。また、白、赤、黒など注意が必要な色のうんちや、色が薄い下痢、粘液状の下痢、赤い下痢のときに考えられる病気、病院に行く際の注意点もあわせてご紹介します。

赤ちゃんの下痢の原因

寝る赤ちゃん
iStock.com/S_Kazeo

赤ちゃんは、月齢が低ければ低いほど、消化機能がまだ十分に発達していないため、うんちが柔らかかったり、下痢気味なものです。しかし、うんちの色やにおいによっては危険な場合があります。また、離乳食の始まった赤ちゃんが普段より下痢の回数が増えたり、うんちが水っぽくなったときには注意が必要です。

赤ちゃんの下痢にはどのような原因があるのでしょうか。


ウイルスや細菌の感染

赤ちゃんの下痢は、ウイルスや細菌に感染し、胃腸炎が原因になっていることが多いです。胃腸炎などの感染症にかかると、腸の働きが悪くなり、消化吸収の機能が低下して、吸収されずに下痢を起こしやすくなります。


風邪をひいたときなどに抗生物質が処方されることがあります。抗生物質は、悪い菌だけでなく腸内に必要な菌まで退治してしまい下痢になることがあります。


食べ物

赤ちゃんの消化機能は未熟なため、冷たい飲み物や食べ物のせいで下痢を引き起こすことがあります。また食べ物の成分が下痢の原因になっている可能性もあります。

食物繊維や糖分が多く含まれる物や、乳製品をたくさん食べたとき、消化機能が急に活発になったり、まれに、食べ物に含まれるたんぱく質などへのアレルギー反応として下痢をすることがあります。

病院を受診する目安

赤ちゃんが下痢をしたとき、家で様子をみてもよいのか、すぐに病院を受診した方がよいのか迷うこともあるでしょう。赤ちゃんの下痢でどのような症状のときに病院を受診したらよいか、目安をご紹介します。


0~3カ月

月齢が低いときの赤ちゃんのうんちは下痢気味なものです。しかし感染症の下痢は重症化しやすいため、嘔吐や発熱、うんちのにおいがいつもと違うなど下痢以外にも気になる症状があるときは早めに受診するようにしましょう。


4カ月以上

下痢の量や回数が多くても、水分が摂れていたら慌てて受診しなくてもよいでしょう。脱水症状のような症状がみられたり、赤い便や、白っぽいうんちは病気にかかっている可能性があるので早急な受診が必要です。

月齢に関係なく、「水分が摂れない」「口や唇の中が乾燥している」「おしっこの回数が普段よりだいぶ少ない」「ぐったりしている」「嘔吐を繰り返す」場合は、診療時間外でもすぐに受診しましょう。

家での対処法

赤ちゃんが下痢のときは、家庭ではどのようなことに気をつけて対処したらよいのでしょうか。


水分補給

水分補給をする赤ちゃん
iStock.com/kuppa_rock

下痢のときは、脱水症の危険性があるので、こまめな水分補給が大切です。

冷たい飲み物を1度にたくさんとると赤ちゃんの胃腸に負担がかかることがあります。常温や温かい飲み物を少しずつ与えるとよいでしょう。


消化のよい食べ物

食欲があるならば、赤ちゃんの様子をみながら、おかゆやうどん、野菜スープなど消化のよい食べ物を少しずつ与えるとよいでしょう。

下痢のときには、乳製品に含まれる乳糖を上手く分解できないことがあるため、牛乳やヨーグルトなどの乳製品は控えたほうがよいかもしれません。下痢が長引くときはミルクも変えたほうが良いかもしれません、小児科で相談してみてください。


お尻のケア

下痢の便は、お尻への刺激が強く、何度も下痢をすると、オムツかぶれを起こすこともあります。赤ちゃんの下痢が続くときは、シャワーでお尻を流したり、濡れタオルでお尻を拭いて清潔にすることが大切です。

ワセリンや保湿剤でお尻を乾燥させないように、ケアするなどの配慮も忘れないようにしましょう。症状が悪化するときは小児科や皮膚科で相談して薬をもらいましょう。

赤ちゃんの下痢の色

赤ちゃんが下痢をしていても必ずしも病気にかかっているわけではありません。赤ちゃんの下痢の色に注目することが大切です。


安全な色

赤ちゃんのうんちは、通常、黄色や緑、茶色です。

また、生まれたばかりの赤ちゃんは、羊水がうんちといっしょに出てきて、うんちの色が濃かったり、濃い緑色のときがありますが、徐々に通常の色へと変化していくので様子をみるようにしましょう。


危険な色

白、黒、赤色のうんちは、要注意です。

白色の下痢は、肝臓から出る胆汁がうんちに混ざらないで発生することが多いです。感染症に感染している可能性もあります。母子手帳にある色のスケールなどを参考に、白い便がつづくときは受診するようにしましょう。

黒色の粘液っぽい下痢は、肛門の近くではなく、体の中での出血している場合があります。消化管の出血が原因かもしれません。黒くてねばねばした粘液状のうんちは、受診が必要です。

赤色の下痢は、出血を伴っていることが多いので注意が必要です。細菌性の腸炎にかかっている可能性があります。特に赤色の下痢について詳しく見ていきましょう。

こちらの記事も読まれています

赤ちゃんの便の色が赤いときに考えられるトラブルや病気について

赤ちゃんの便が赤色のときにはどのような病気が考えられるでしょうか。


細菌性胃腸炎

うんちに赤い血が混じっているほかに、発熱や吐き気、下痢の症状がある場合は細菌性胃腸炎に感染しているかもしれません。うんちに血液や膿が混じっていて、腐ったようなにおいがするときは要注意です。


腸重積

2歳くらいまでにかかることが多く、腸と腸が重なってねじれる病気です。腸が重なった部分の血管が破れて出血すると、イチゴジャムのような赤い粘液を含んだうんちが出ます。くりかえす強い腹痛や嘔吐も伴うことが多く、悪化すると手術しないと治らなくなりますので、イチゴジャムのような便がでたら受診するようにしましょう。

赤いウンチが出たときの受診は?

赤いうんちや下痢は、うんちのなかに腸内で出た血が混ざっている可能性が高いです。小児科でまずは相談をするようにしましょう。夜間に発熱や嘔吐を伴うときは救急で相談しましょう。明らかにぐったりしている様子の際は救急車を呼んでも良いでしょう。

判断が難しいときは、小児救急電話相談「♯8000」に電話をして意見を聞くのもよいですが、赤ちゃんのうんちが赤いときは一刻も早い受診が重要です。

病院へ行くときの注意点

赤ちゃんの下痢で病院を受診するときの持ちものや、注意点をご紹介します。


持ち物

赤ちゃんの下痢で受診するときには、うんちのついたオムツやうんちの実物を少量持参するとよいでしょう。持参するのが難しいときは、携帯でうんちの写真を撮って病院に持って行くと診断がスムーズです。


医師に伝えること

・下痢の回数や量
・うんちの色がいつごろから赤色か
・赤ちゃんの機嫌
・赤ちゃんの食欲
・発熱や嘔吐など下痢以外の症状はあるか
・抗菌薬の有無
・体重の変動
・食べたもの


以上をメモしたり、把握して、便や赤ちゃんの様子をなるべく詳しく伝えられるようにしておくと、赤ちゃんの下痢の原因がつきとめやすく、受診するときに役立つでしょう。

赤色の便は早めの受診を

iStock.com/KEN226

赤ちゃんのうんちの色がいつもと違ったり、下痢をしていると何か病気にかかっているのではないかと心配になりますよね。

赤ちゃんのときは、大人と違ってやうんちが柔らかく、下痢気味だったり、さまざまな色の便がでることも多いです。黄色や緑、茶色のうんちは心配ないですが、イチゴジャムに似たうんちや、白色のうんち、赤色、黒色の粘着質のうんちは重い病気にかかっている可能性があるため、早めの受診が必要です。

病院へ行くときのポイントを把握して、子どもの下痢の状態を、しっかり伝えられるようにしましょう。

赤ちゃんが下痢をしているときは脱水症状を起こしやすいので、水分補給など正しいホームケアが大切です。


監修:金髙太一(おひさまクリニック 院長)

Profile

金髙太一(おひさまクリニック)

金髙太一(おひさまクリニック)

おひさまクリニック院長。小児科専門医、地域総合小児医療認定医。小児の感染症、アレルギー、免疫・膠原病を中心に東京、横浜の病院で研修・診療の経験を積み、2015年に東京の十条にておひさまクリニック(小児科、耳鼻咽喉科)を開院。 子どもたちが健やかに成長していくためのサポートをしたいと思っております。また、3児の父でもあるので、子どもに関することでしたら、お気軽にご相談ください。

トラブルカテゴリの記事

ショート動画

教育を親の自己満足にしてはいけない。教育虐待になりうるハイパーペアレンティングの恐ろしさとは

教育熱心はどこまで?

この連載を見る

不安定な社会情勢やSNSなどを通じて得る過剰な教育情報によって、子どもの教育に奔走し、過干渉な子育てをする親が増加しています。行き過ぎた「教育熱心」が及ぼす危険性とは?そして子どもを疲弊させないために、親がどうあるべきか、各専門家に取材しました。
てぃ先生が見守る!卒園生たちの”チャレンジダンスプロジェクト”

入園当初にコロナ禍となりリアルイベントが少なかった園児たちが、卒園を迎えるシーズンとなりました。園児たちのかけがえのない思い出を作りたいという想いから、”チャレンジダンスプロジェクト”が始動。子どもたちが「卒園ダンス」に取り組む様子から、てぃ先生に子どもの成長を促進するコミュニケーションを教えていただきます。コナミスポーツクラブの全面協力のもと、ダンス未経験の園児たちが一生懸命取り組み、イベント当日を目指す様子を密着取材しました。