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【産婦人科医監修】妊娠中の体重管理はいつから?食事メニューやコツ
急激な体重増加の影響と体重管理の必要性
Profile
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
妊娠すると、太りすぎないようにと思いつつ、体重増加してしまう妊婦さんが多いようです。急激な体重増加の影響と体重管理の必要性について医学博士の産婦人科医、田園調布オリーブレディースクリニック院長の杉山太朗先生のもと解説します。また、食事メニューや運動など体重管理のコツをご紹介します。
妊娠時の体重管理はいつから必要?
妊娠すると、ホルモンの関係で脂肪がつきやすくなったり、食べ過ぎなどでほとんどの妊婦さんは体重が増えるでしょう。
つわりは一般的に妊娠5カ月頃に落ち着いてくるようで、つわりが終わると食欲が戻り、体重が一気に増加しやすいといわれています。ただ、食べつわりのある妊婦さんは、妊娠4カ月頃から体重が増えることがあります。
妊婦さんの身体やお腹のなかの赤ちゃんの成長のためにも、急激な体重増加は望ましくないので妊婦さんが意識をして、体調管理をすることが重要です。
妊娠時に太り過ぎると、どのような影響があるのでしょうか。
妊娠中の体重管理の必要性
妊娠中に体重管理をした方がよい主な理由について、ご紹介します。
分娩時のトラブルを減らす
太りすぎると、産道にも脂肪がつきます。産道に脂肪がつくと赤ちゃんが産道を通りにくくなり、お産に時間がかかり、赤ちゃんになんらかのトラブルが起こる可能性が高くなります。
また「微弱陣痛」といい陣痛が続く時間が短かったり、陣痛が弱くて陣痛と陣痛の間隔が長くなり、出産に時間がかかる場合があります。出産時間が長くなると、ママも赤ちゃんもそれだけ体力を使うことになり、大変です。
妊娠中の病気予防
妊娠中、急激に体重が増加すると妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病を引き起こすことがあります。このような病気になると、お腹のなかの赤ちゃんに栄養が十分に行き渡らなくなったり、赤ちゃんが低体重児として生まれてくる可能性も出てきます。
妊娠高血圧症候群は、胎盤の働きが弱まり、赤ちゃんの発育が遅れることがあります。妊娠糖尿病は、早産のリスクが高まったり、赤ちゃんが将来糖尿病や肥満、高血圧になる可能性が高くなるといわれています。
腰痛防止
妊娠するとホルモンの関係で、骨盤付近のじん帯が緩み、そこに体重が加わると腰痛を感じやすくなります。急激な体重増加は、腰痛を悪化させる原因になります。
産後の体力と体型回復
体重が一気に増えると、産後の体重を戻すのも大変です。太りすぎは、少し動いただけでも身体が疲れやすくなり体力も落ちます。
産後に脂肪がなかなかとれずに体型が戻らないと、ホルモンバランスが崩れたり、生理や排卵が不順になる可能性があることから、2人目の出産に影響してくるかもしれません。2人目を考えている人は、早めに体型を戻した方がいいでしょう。
適切な体重増加は、ママと生まれてくる赤ちゃんの健康を守るうえでもとても大切なことなのです。
妊娠中の体重増加の目安
妊娠中にどのくらいまで体重が増えてもよいのかはBMIを計算します。
BMIとは国際基準の肥満判定のことで、『妊娠前の体重(kg)÷身長(m)×身長(m)=BMI』で計算することができます。
・BMIが18.5以下の人は痩せ気味 妊娠中の体重増加の目安は、9~12㎏程度
・BMIが18.5以下~25の人は標準 妊娠中の体重増加の目安は、7~12㎏程度
・BMIが25以上の人は肥満気味 医師との相談が必要になります。
BMI数値を計算して、適切な体重増加の目安を知っておくことが大切です。
妊娠中の体重管理のコツ
妊娠中、体重が増えすぎないようにするためにどのような工夫をしたらよいでしょうか。上手に管理するコツについてお教えします。
栄養バランスの整った食事
食事のメニューは和食中心の食事にし、塩分や糖分、糖質を摂り過ぎないように注意しましょう。
普段より、野菜を多めにとったりバランスのよい食事のメニューを心がけることが大切です。
調理法を工夫し体重管理しやすいメニューに
野菜やお肉を食べるときは、油を使うより茹でると脂肪分が少なくなります。
また、麺をこんにゃく春雨に変えるなど低カロリーのものに代替するとカロリーが抑えられます。
同じ食材でも調理方法や選ぶ食材を工夫することが体重管理に効果的です。
食事量と回数を調整する
つわりが落ち着くと今まで食べられなかった分、食べられることがうれしかったり、おいしく感じて食欲が止まらないときもあるでしょう。そのようなときには、1回の食事量を減らして食事の回数を増やすこともよい方法です。食事回数が増えることで、心理的な満足感が得られ、1度に食べる量を減らすと、血糖値が一気に上がるのを抑えられます。
作った食事を小分けにして冷凍保存しておくと、食べたくなったときに電子レンジで温めてすぐに食べることができます。
運動を取り入れる
妊娠するとお腹が大きくなり、動きづらくなるため運動量が自然と減ります。運動量が減ると、筋肉量も落ちて脂肪がつきやすくなるのでより太りやすい身体になってしまいます。
医師から「安静」の指示が無い限り、ウォーキングやストレッチ、体操など妊婦さんでもできる運動を取り入れてみてください。安定期に入ったらマタニティスイミングやマタニティヨガなどの運動もよいでしょう。
ママと赤ちゃんのために体重管理が必要
妊娠すると、ほとんどの妊婦さんが体重増加しますが、体重が一気に増加すると、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの病気になったり、腰痛の悪化、出産や次のお産が大変になる可能性があるため、妊娠中の体重管理が重要です。
妊娠したら、いつから体重管理が必要かと気になるママもいると思いますが、つわりがおさまり食欲が戻ってくるといわれている妊娠5カ月くらいからは特に体重管理が必要です。
妊娠中の自分の体重増加の目安を知り、食事のメニューや食事の量や回数を工夫して、適度な運動を取り入れることが急激な体重増加を防ぐコツです。
監修:杉山 太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
Profile
杉山太朗
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。