「最悪の日中関係」でも上海スシローは14時間待ち…習近平の反日工作に従う余裕すらない中国人の寂しい懐事情
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台湾を巡る高市早苗首相の国会答弁を機に、日中関係に緊張感が増している。大和総研主席研究員の斎藤尚登さんは「2012年の尖閣問題の際は、中国では日本車や日本製品を破壊する反日運動が起きたが、今回は起きていない。できない背景には中国人の寂しい懐事情がある」という――。

中国経済が苦しむ「内巻」
「内巻ネイジュアン」という中国のネットスラングがある。もともとは英語のInvolution(内巻うちまき)の訳語だったが、現在では、破滅的な(価格)競争によって産業全体が疲弊し、参加者全員が負け組に転落することを表す。
中国経済はいま、この「内巻(破滅的競争)」の是正が喫緊の課題だ。
中国に進出している日本企業は、日本の長年のデフレで生き残った経験から、中国のデフレ下でも製品・サービスの差別化に成功しているところがある一方で、中国企業は大規模な価格競争に巻き込まれ、補助金などで食いつなぐのがやっとの状態となっている。
販売台数は好調なのに赤字な中国EV業界
「内巻」の代表例がEV(電気自動車)などNEV(新エネルギー車)だ。
2024年夏場以降、中国政府は自動車買い替えの補助金を2倍にするなど、消費刺激策を講じた。
具体的には、省エネ性能など一定の基準を満たすガソリン車への買い替えに1台当たり1万5000元(1元=22円で計算すると約33万円。従来の補助金は7000元)の、NEVへの買い替えには同様に2万元(約44万円。従来は1万元)の補助金を財政から購入者に支払う。これが奏功し、2025年1月~10月の自動車販売台数は前年同期比12.4%増(以下、変化率は前年比、前年同期比、前年同月比)と好調だった。
一方で、同期間の自動車販売金額は0.2%減と対照的な動きとなった。この差こそが、熾烈な価格競争によるものだ。中国国家統計局によると、自動車業界の売上高利益率は2017年~18年の7%~8%から大きく低下し、2024年は4.3%、2025年1月~10月は4.4%と低空飛行が続き、赤字となる企業も少なくない。





























