日本アニメの代表はジブリから『鬼滅の刃』へ…「鬼と戦う15歳の少年」に世界中の若者が心を震わせる理由
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劇場版『鬼滅の刃』が記録的ヒットとなっている。イギリス在住で著述家の谷本真由美さんは「最近のハリウッドの作品には、炭治郎のように視聴者である若者の苦しい状況を反映し共感を与えられるようなキャラクターが出てこない」という――。 ※本稿は、谷本真由美『世界のニュースを日本人は何も知らない7』(ワニブックス【PLUS】新書)の一部を再編集したものです。
「日本映画史上1位」を塗り替えた
日本では海外でのアニメ人気が知られるようになりましたが、コロナ後はその人気がさらに加熱しています。
驚くことに、なんとここ最近はハリウッドの特撮映画をしのぐような人気ぶりで、以前はマイナーな存在だった日本のアニメがメジャー化してきているのです。
たとえばその代表が日本でも大人気の「鬼滅の刃」です。
日本では2020年10月に公開された『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』(Kimetsu noYaiba:MugenTrain)は、映画興行データサイトのザ・ナンバーズ(TheNumbers)によれば、なんと世界興収が約5.07億ドル(当時のレートで約517億円)と大ヒットを記録しました。これは日本映画史上1位でした。
この内訳はアメリカで4990万ドル、欧州ではフランスで608万ドル、イギリスとアイルランドで191万ドル、ドイツで42万ドル、オランダで28.6万ドルです。
マーベルとディズニーの本場でも健闘
アメリカの老舗エンターテインメント業界誌「ヴァラエティ」(Variety)と映画興行収入データベースサイト「ボックスオフィス・モジョ」(Box Office Mojo)によれば、米国の公開初週はアクション映画の「モータルコンバット」に肉薄し、外国語映画として異例の大規模オープニングで、週末2位、パンデミック期の象徴的ヒットだったのです。
通常年の北米興収規模では、マーベル・シネマティック・ユニバース/ディズニーのトップ作品は、アメリカだけで3~5億ドル、世界で7~10億ドル超の売上なので、「鬼滅の刃」の北米での米国約4990万ドルは一見小さく見えますが、単品の作品としては実はかなりの数字です。
マーベル・シネマティック・ユニバース/ディズニーはフランチャイズでさまざまな作品があり、シリーズ作もあるので、全体の市場規模では及びませんが、ひとつの「映画作品」として、イベント上映や初週末の局地的な上映では大きなインパクトがあったわけです。





























