「敬う気持ち」と「お金ほしい」が入り交じっている…仏教国タイで人々が僧侶に投げかける「奇妙な質問」の真相
「僧侶になって何年?」「何人きょうだい?」
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スウェーデン出身でタイで僧侶となったビョルン・ナッティコ・リンデブラッドさんは、巡礼中にタイの人々から「奇妙な質問」を受けることがよくあった。その質問は、すべてが「数に関する質問」だった。一体なぜなのか。ビョルンさんの著書『私が間違っているかもしれない』(サンマーク出版)から一部を紹介する――。
タイの生活を締めくくる「500キロの巡礼」
私は、7年ぶりにヨーロッパに帰ることにした。イングランド南部に、森林派の僧院があるという噂を聞いていた。そこには、とても賢い導師がいるという。そして、尼僧も!
私は昔からイギリスびいきだったので、イギリスの僧院で生活するのは自然な選択のように思えた。スウェーデンに住む家族と物理的な距離が近くなるのも、当然ながら悪くない。
隠者としての1年間の生活を終えた私は、ヨーロッパに戻る前に最後の巡礼をすることにした。
それはタイでの滞在を締めくくるための、有意義で思い出深い旅になると思えた。今までのすべてに感謝し、導師や仲間に別れの言葉を告げるため、長年生活したあの僧院まで、500キロ近くの道のりを歩いて帰る。
声をかけてくるドライバーとのやりとり
とはいえ、この歩き旅は簡単なものではなかった。一切の所有物を背負って、500キロを歩く。しかも、履いているのはプラスチック製のサンダルだ。お金もまったくない。道中で寛大な人から施しを受けられると信じるしかない。
おそらくあなたが頭に思い浮かべているのとは違い、私は緑豊かな森や美しいジャングルを歩いたわけではない。現在では、タイでも森の多くが伐採されて開発されている。目にする光景もとても似通っていて、方角がわかりにくい。
だから道中のほとんどを、道路沿いに歩いた。歩いていると、よく車が私の隣で止まり、ドライバーとこんなやりとりをした。