「ダラダラ話す上司」の"左隣"が一番おトク…「こいつ、デキる」と思わせる人が「会議の席取り」を超重視する理由
就職面接で大量に発生する「副キャプテン」との共通点
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特別優秀なわけではないのに、なぜか「デキる」と思われる人がいる。なぜなのか。静岡産業大学経営学部の岩本武範教授は「複数人でコミュニケーションをとるときに、なぜか好かれる“おいしいポジション”がある。そこにハマるために重要なのが、席取りだ」という――。 ※本稿は、岩本武範『なぜ4人以上の場になると途端に会話が苦手になるのか』(サンマーク出版)の一部を抜粋・再編集したものです。
集団の中では「2番手」を目指す
複数コミュニケーションの場では、話さないと「つまらない」と思われ、反対に話しすぎると調和を乱しかねない。
「話せない」をなんとかしたいと思うかもしれませんが、同時に「話しすぎてがんばりを察知され、どこか下に見られる」のも避けたいところ。
出しゃばりすぎず、控えめすぎず、なぜか「また話したい」と思ってもらえる。
そんなポジションが理想といえます。
拙著『なぜ4人以上の場になると途端に会話が苦手になるのか』では、4人の場で、発言が多い順に1番手、2番手、3番手、4番手とした場合、その理想のポジションはずばり、「2番手」、というお話をしました。
ここで目指す「2番手」以外の、「1番手」「3番手」「4番手」とはどういう人なのか、具体的な戦略をお伝えする前に、4人のコミュニケーションにはどういう人がいるのか、心理学的な視点も絡めて把握していきましょう。
私がこれまでやってきたグループインタビューを例に出すとこんな感じです。
まずは、もっともよく話す「1番手」。
この属性の人たちは声のボリュームが大きく、話すスピードも速い人が多いのが特徴です。自分が話すことに夢中になっていて、相手の話を理解することが若干苦手。
まわりの反応に関係なく、ひたすら話しつづけるので、グループインタビュー中は「わかりました。じゃあ……」と、こちらが話を途中で区切らないと進行できないほど。グループインタビューが終わってからも話しつづけている強者つわものもいます。
まわりの人の反応はというと、愛想笑いや苦笑いで対応することが多く、そこには、「この人に深入りするのはちょっと……」という空気が漂うことも。
続いて、あまり口数が多くない「3番手」「4番手」。
このポジションの人たちは、一度きりの場であればまわりからの印象はそんなに悪くありません。とはいえ、2番手のように、「感じがいい」とか「話しやすい」などと思われることが少ないのも事実。
悲しいかな、よくも悪くもあまり記憶に残らない存在といえます。
「あいづち」は脳を疲弊させる
では、「3番手」と「4番手」は何が違うのか。
「3番手」は、よく話す人や声の大きな人に引っ張られる傾向があります。これは話せる人に憧れがあるから。
この3番手は、「口数は少ないけれど、思いはすごく強い」という人が多いのが特徴で、本当はしゃべりたいし、自分のことを認めてもらいたい。でも、その術を知らない。だから、饒舌じょうぜつに話しているように見える1番手に憧れを抱きやすいのです。
その結果、1番手の発言に過度にうなずいたり、賛同したりするような発言が多くなります。悪く聞こえてしまうかもですが、1番手に迎合するような存在といえます。
しかしながら、心の底から1番手に賛同しているわけではありません。3番手の人も、自分勝手に話されては彼らのことをずっとよくは思えませんし、グループインタビューが進むにつれて「早く帰りたい」「なんだか強引だな、この人」と思っているのが顔に出てきたりして、表情がこわばってくるのです。
口数がもっとも少ない「4番手」は、ときには、いたかどうかも記憶に残りにくいレベル。
実際、グループインタビューに来ていただいても、「何をおっしゃってたっけ?」と、録音した音声をもう一度聞き直すことが多々あります。
誰の意見に対しても「うん、うん」とうなずき、発言している人にとにかく合わせがち。これは、3番手が1番手に気に入られるためにするのとは異なり、単に自分の意見が言えないためのことが多いようです。
この「同意していないのにするあいづち」は脳にとって大きなストレス。後半はスタミナ切れになってリアクションが薄くなり、脳へのストレスが引き金となってダンマリしがちなのも彼らの特徴といえるでしょう。