5万円以下のランドセルはそもそも眼中にない…加熱する「ラン活」を支える"孫消費"の実態
プレゼント、遊園地、食事代で年間20万円を使う人も
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いまのシニア層は何にお金を使っているのか。ハルメク 生きかた上手研究所の梅津順江所長は「LINEなどで孫と直接連絡を取り合えるようになり、孫と祖父母だけの時間や消費が生まれやすい環境になった」という――。 ※本稿は、梅津順江『消費の主役は60代 シニア市場最前線』(同文舘出版)の一部を再編集したものです。
60代女性のお金の使い道、第1位
「少子化社会で孫が減っているので、孫市場に期待できない」と諦めてはいけません。生きかた上手研究所の調査(※)によると、60代女性が年間に消費する金額順で1位は「孫に使う費用」で10万9813円でした。
全体のボリュームは少ないですが、孫と祖父母で営まれる「子抜き消費」、「週末消費(お疲れ回復&集いもてなし消費)」、「ラン活」に象徴される「余韻消費」など、新たな消費も誕生しています。
「お年玉・お盆玉」、「誕生日や入学・卒業祝い」などのイベントだけでなく、会うたびに「お小遣い」、「食事代」、「交通費」を祖父母が出すケースも少なくありません。遠方にいる祖父母は「季節のフルーツ」なども送っています。「習い事の月謝」、「本や教材」、「発表会」など、教育熱心な様子もうかがえました。
※2023年調査、該当者ベースで平均額を算出
「孫がいる人」自体は減っている
「お宮参り、お年玉、誕生日、東京への交通費」、「お年玉、誕生日、七五三、こどもの日、ひな祭り、会う時にいつも本や図鑑を渡す」、「誕生日、クリスマスのプレゼント、一緒に過ごす際の遊園地、交通費、食事代など。計20万円ほど」、「お年玉、誕生日プレゼント、節句飾り、食事代、産直店からの季節のフルーツや野菜、出産祝いなど」、「グランピングの費用、絵本」、「お年玉、誕生日プレゼント、果物、習い事の月謝、外食」……。
孫のために、こんなにもたくさんの場面で日常的にお金を使っていました。60代女性が記述した内容を読むと、年間約11万円を孫に消費している実情が納得できます。
生きかた上手研究所は、2023年3月17〜20日、55〜85歳の女性452人に「孫に関する意識と実態調査」を行ないました。この調査は、2018年にも実施したので、5年ぶりの調査ということになります。2018年は「孫あり」と回答した人は全体で62.7%、2023年は52.9%と、約10ポイント低下しています。
なお、60代は2018年が60.2%、2023年が52.8%でした。5年で少子化が進行したことがうかがえます。