早くも「万博リング」の押し付け合いが始まった…「保存も地獄、再利用も地獄」のどうしようもない建造物の実情

早くも「万博リング」の押し付け合いが始まった…「保存も地獄、再利用も地獄」のどうしようもない建造物の実情

ギネスにもなった「344億円リング」が辿る末路

大阪・関西万博の象徴とされる「大屋根リング」の閉幕後の扱いについて意見が分かれている。森林ジャーナリストの田中淳夫さんは「開幕期間限定の仮設で造られたものなので、保存するにはさまざまな補強が必要となる。解体して再利用するにしても、移設するにしても、巨額のお金がかかることは間違いない」という――。

万博閉幕後の「大屋根リング」のゆくえ

開幕2カ月が経とうとしている大阪・関西万博。(良くも悪くも)何かと話題だが、とくに注目されているのは「大屋根リング」(以下リング)だろう。

万博来訪者に行ったアンケートでは、「一番印象に残ったもの」という項目で、ダントツで多かったのがリングだった。私も会場に入ってすぐ目の前にそびえる巨大建築物にはド迫力を感じた。

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筆者撮影 スカイウォーク上には花壇や芝生広場が設けられている。

意外と紹介されていないが、リング上のスカイウォーク(遊歩道)は二重になっており、その周辺には花壇や芝生広場が設けられている。スカイウォーク上からは、各国のパビリオンだけでなく大阪湾を航行する船舶、明石海峡大橋、そして大阪や神戸の街並みから六甲山や生駒山まで一望できる。なかなかの絶景ポイントなのだ。

だからリングが魅力的なのは事実だが、同時にさまざまな問題が噴出し、批判を招く存在でもある。とくに現在議論されているのは、万博閉幕後の扱いだ。予定通り解体するのか。それとも残すのか。

そこで、“引退後”のリングの扱いに関する動きを紹介したい。

当初は「閉幕後に解体」の予定だった

まずリングの概要を説明しておこう。直径は675メートル(外径)、幅約30メートルで外周約2025メートル、高さ12~20メートル。建築面積が約6万1000平方メートルで、使用された木材(主に集成材やCLT〈直交集成板〉)は約2万7000立方メートルだ。世界最大の木造建築物としてギネス世界記録に認定されている。建設には、約344億円が費やされた。

大前提として、万博会場は10月13日の会期終了後に更地にして返す契約になっている。つまりパビリオンもリングも解体して撤去される予定だった。巨額な建設費をかけたにもかかわらず、たった半年で解体されるとわかると批判の声は建築中から高まった。万博のレガシーにならないうえに、ギネス認定も消える可能性があるからだ。

そこで大阪府は、経済界や国と協議して閉幕後のリングのあり方を検討し直しており、その結果は「6月23日に正式決定する」としている。

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https://kidsna.com/magazine/article/entertainment-column-250609-82158347

2025.06.12

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