「気晴らしにスマホ」は逆効果…医学部教授が警鐘「休んでいるのに疲れがとれない人が大抵している悪習慣」
脱却の決め手「セロ活」とは
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心身を蝕むスマホ依存への懸念が高まっている。医師で脳生理学者の有田秀穂さんは「スマホなどのデジタル機器を使い続けることで脳が機能不全に陥り、パニック症状や強迫観念が強まって、やがてはうつ症状を引き起こす」という――。 ※本稿は、有田秀穂『スマホ中毒からの心のモヤモヤをなくす小さな習慣』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
休んでも疲れが取れない原因は「脳疲労」にあった
最近、「ちょっと体調がよくないな」と感じることはありませんか。
例えば、
・何となくやる気が出ない
・イライラする
・家事が手につかない
・ささいなことで、ついキレてしまう
・寝付きがよくない
・気分が落ち込みがち
・ボーっとしてしまって、目の焦点が合わない
・仕事に行きたくない
・悲観的になる
・動作や話し方が遅くなる
このような、病気ではなさそうだけれど、どうも調子がよくないという状態は、「脳疲労」が原因のことが少なくありません。
「脳疲労」は「頭の疲労」と「心の疲労」に分けることができます。ここではまず、「頭の疲労」について紹介していきます。
「頭の疲労」を回復させる右脳の働かせ方
頭といってもいろいろな部位と働きがあります。パソコンで長い時間作業をするときや、情報量が多すぎて混乱してしまうときなどに、頭の疲れを感じる方もいるかもしれません。
頭が疲れると、仕事などの効率が低下し、集中力が落ちて、やる気がなくなります。このときに疲労するのは、主に大脳皮質の認知機能。脳の部位としては、大脳皮質(左脳)のほぼ真ん中にある言語中枢とその周囲。ここに視覚を通して文字情報が入力されると、その意味を理解し、記憶情報に照合して、認知的判断が下され、直ちに反応が出力されます。
この一連の反応をテキパキとこなすために、大脳皮質の先端部(前頭前野)のワーキングメモリーが働きます。
集中力の脳です。
この認知的作業が長時間繰り返されると、やがて集中力が落ちて、やる気がなくなってしまうのです。これが「頭の疲労」です。
この認知機能の疲労を回復させるには、目をつぶって休息すればよいわけですが、認知機能をつかさどる以外の脳、例えば右脳を働かせることで、回復させることもできます。外に出て散歩をしてもよいですし、軽く運動するのも効果的です。使われる脳が違いますから、認知機能は回復します。
また、誰かと談笑するのも有効です。この場合、ポイントは笑いにあります。言語中枢は左脳にありますが、右脳では笑いや自然音などが処理されます。たわいもない会話などで盛り上がると、認知機能の回復に有効です。
例えば太鼓のリズムや小鳥のさえずり、小川のせせらぎ、寄せては返す波の音などの気持ちのよいリズム音は右脳を活性化させて頭の疲れを解消します。いうまでもないことですが、むずかしい議論は左脳を休ませることにはならないので避けること。
皮膚に心地よい触刺激をするのも、「頭の疲労」に効きます。マッサージや、子どもとの触れ合い、ペットとのグルーミングなども、「頭の疲労」すなわち、認知機能の回復に有効です。