「ビールvs.レモンサワー」どっちが血糖値を上げるか…糖尿病内科医が計測してわかった意外な結果
実験で証明されたハイボールの圧倒的なヘルシーさ
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暑い季節にはビールで乾杯したくなるものだが、最近はハイボールに切り替える人も多い。飲食物摂取後の血糖値を測っている医師の山村聡さんは「ハイボールは血糖値のピークが起こらず、評判どおり優秀だが、糖質のあるビールがNGなわけではない」という――。 ※本稿は山村聡『糖尿病専門ドクターが検証! 血糖値を下げる食事法について、実際に試してみた』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
蒸留酒のハイボールvs.醸造酒の日本酒、血糖値が上がるのは?
蒸留酒と醸造酒では、どちらが血糖値を引き上げるのでしょうか。
「醸造酒」は穀類や果実などを発酵させてつくるお酒、「蒸留酒」はその醸造酒を蒸留して造ったお酒になります。
醸造酒には、ビール、ワイン、日本酒などがあり、蒸留酒には、ウイスキー、焼酎、ブランデーなどがあります。
ハイボールと日本酒で検証してみました。なお、ハイボールは、ウイスキーを炭酸水で割ったカクテルの一種。蒸留酒の代表として登場です。
まずは、ハイボールです。
初期値が101mg/dLで、その後の血糖が上がることはほとんどなく、血糖値はほぼ横ばいという結果になりました。
一方、醸造酒の代表の日本酒は、初期値が107mg/dLで、飲むと血糖値がスルスルと上昇し、ピークは162mg/dLになりました。上昇幅は55mg/dLです。
ご存じのかたも多いでしょうが、蒸留酒は製造の際、蒸留というプロセスを経ているため、できあがったアルコール中には糖質が一切入っていません。糖質が含まれていないのですから、血糖値も上がりようがありません。
蒸留酒には糖質がほぼないのでハイボールの圧勝だが…
一方、日本酒は米からできており、炭水化物(=糖質)を含むため、グラフ(図表1)を見ていただけばわかるように、血糖値を上昇させてしまいます。ハイボールか、日本酒かという対決であれば、血糖値の上昇に関しては、ハイボールの圧勝ということになります。
なお、みなさんの中には、醸造酒が血糖値を大きく上げてしまうようなイメージをお持ちのかたも多いでしょう。
しかし、実際のところは、醸造酒に含まれる糖質量は、ほかの糖質量多めの食品に比べると、それほど多くありません。このため、醸造酒を飲むと多少血糖値が上昇するものの、思ったほど大きくは上がらないのです。