プログラミングを学んでもムダに…最新データでわかった「AIに奪われた仕事」「最大の犠牲者」とは【2025年5月BEST】
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AIの登場以降、アメリカのプログラマーの労働人口が4分の1以上消えたことが統計で明らかになった。「AIに仕事を奪われる」との懸念が現実味を帯びてきたが、同じ業界でも職種によって明暗が分かれている――。
プログラマー数は「インターネット普及以前」の水準に減少
アメリカのプログラマー数が、1980年以降で最低水準まで減少している。過去45年間でアメリカ全体の労働力が約75%も増えたのに対し、プログラマーは大幅に減少した。生成AIに職業を奪われるとの懸念がここ数年で声高に叫ばれていたが、懸念が現実になっていることが数字として示された。プログラマ以外の職種へも波及しそうだ。
米ワシントンポスト紙が3月14日に報じたところによると、コンピュータープログラマーの雇用数は過去2年間で27.5%も減少したという。この減少割合は同職種の歴史上最も深刻なものだ。アメリカ労働統計局の調査では、420以上の職種中、最も大きな打撃を受けた10職種に入っている。
米フォーチュン誌も、同じ傾向を指摘している。「今のプログラマー数はパックマンが登場した時代、つまり現在のようなインターネットが存在する前の水準まで戻ってしまった」と述べている。1980年には30万人を超えていたプログラマー数は、2000年代初頭のドットコムブームで70万人以上まで増えた。しかし今では、その半分ほどにまで減ってしまっている。
Googleのコードの4分の1はAIが書いている
急速な減少の背景に、AIの台頭がある。ここ数年、コード生成AIの性能が飛躍的に向上し、これまで人間のプログラマーが担ってきた基本的なコーディング作業の多くが自動化されるようになった。こうした技術革新の波は、大手IT企業から個人開発者まで、ソフトウェア開発の現場全体に大きな変化をもたらしている。[なお、厳密にはコーディングとはプログラミング行程全般のうちコード(プログラム)を書く作業を指し、これとは別に後工程としてテストやバグ修正などがある。]
グーグルのスンダー・ピチャイCEOは2024年第3四半期の決算説明会で、「現在、グーグルで新たに導入されるコードの4分の1以上をAIが生み出し、エンジニアがそれを確認して実装している」と明らかにした。米フォーブス誌はこの発言を取りあげ、トップクラスの企業でもAI活用が本格化している証左だとしている。
ピチャイ氏は「社内のコーディング工程にもAIを取り入れたことで、効率と生産性が高まっている」と述べ、AIの導入によってエンジニアの作業が効率化されており、開発のペースが速まったと強調した。
AIを活用したコーディングはグーグルだけの取り組みではない。プログラマー向け質問サイトのスタックオーバーフローが2024年に行った調査では、回答者の76%以上が「今年中に開発プロセスでAIツールを使っているか、使う予定がある」と回答し、62%がすでに日常的に活用していると答えた。