だから「愛子天皇」しかない…専門家が「間違いなく待望論が盛り上がる」と予想する愛子さまの"公式訪問先"
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「女性・女系天皇」について国会論議になっていない現状は何を招くか。『日本人にとって皇室とは何か』(プレジデント社)を上梓した宗教学者の島田裕巳さんは「事態が変わらないなかで、愛子内親王は今年11月のラオスだけではなく、他の国々も次々と公式訪問するようになるであろう」という――。
「愛子天皇」を後押しするメディアの動き
愛子内親王の初の外国訪問が決まった。11月にラオスを訪問することとなったのである。
戦後、日本とラオスが外交関係を結んだのは1955年のことで、今年は70周年にあたる。愛子内親王はラオス政府の招待を受け、訪問した際には、トンルン国家主席を表敬訪問するほか、外交関係樹立70周年の記念式典などに臨むことが予定されている。
愛子内親王は大学卒業後、さまざまな公務をこなし、5月には、能登半島地震の被災地、石川県も訪れている。被災地の訪問は、今や皇族の重要な役割になっているが、ラオスを訪問することで、愛子内親王について海外からの報道も増加することが予想される。
その愛子内親王が天皇に即位することを後押しするような動きも出てきた。それが、読売新聞が5月15日に行った提言である。国会で安定的な皇位継承と皇族数の確保についての議論が進むなかでの提言であり、新聞の紙面では第1面ほか全部で4面が費やされていた。読売新聞はどちらかと言えば政権よりの報道を行い、保守的と思われてきただけに、それは驚きをもって迎えられた。
読売新聞のもっともな危機意識
読売新聞の第1面に載った提言は4項目にわたっている。①皇統の存続を最優先に、②象徴天皇制維持すべき、③女性宮家の創設を、④その夫や子も皇族に、ということである。
ただ、より重要なのは、同日に社説で「男系男子にこだわり続ければ、象徴天皇制の存続は危うくなる。女性天皇や、女系天皇の可能性を排除すべきではないだろう」と指摘していることである。
愛子内親王が誕生し、悠仁親王が生まれるまでの間の時期には、自民党の政治家でさえ、女性天皇を認める見解を発表していた。そうした動きは、悠仁親王の誕生で一気にしぼんでいったが、皇位の安定的な継承について根本的な解決策があるというわけではない。
果たして悠仁親王は結婚できるのか。結婚したとしても、その家に男の子が生まれるのか。即位する時代になれば、皇族数は今よりはるかに減少し、天皇とその家族しかいない事態も考えられる。将来を考えれば、不安は大きい。読売新聞が、そうした提言を行ったのも、そこに強い危機意識を持っているからにほかならない。