だからトヨタは豊田自動織機の上場廃止を考えている…日本の老舗企業が続々と非上場化しているワケ

だからトヨタは豊田自動織機の上場廃止を考えている…日本の老舗企業が続々と非上場化しているワケ

20年前に「上場イコール正解ではない」と見抜いていた経営者もいた

1926年に創業したトヨタグループの原点であり、現在は自動車部品などを製造する豊田自動織機が非上場化を検討中と複数のメディアが報じた。経営史学者の菊地浩之さんは「2024年から目立ち始めた上場廃止の動きは、戦前からの企業の歴史を振り返ると、新しい局面といえる」という――。

自社株を「増量中」のトヨタグループの名門企業

2025年4月26日、トヨタグループの源流である豊田自動織機が非上場化を検討していると報じられた。そもそもトヨタ自動車は豊田自動織機製作所自動車部を分離してできた会社である。

一説にはトヨタ自動車・豊田章男会長を含めた創業者一族の豊田とよだ家が非上場化を提案、主導しているとも伝わっている。このニュースによって豊田自動織機の株価も1万3000円弱から1万6000円台へと急上昇した。

5月7日には豊田自動織機が「自己株式の取得状況に関するお知らせ」というニュースリリースを公表。

それによると会社法に基づき、4月中に自己株式を80万1700株取得したという(途中経過)。取得総額は97億3442万1500円。

4月30日現在で、取得した株式の総数(累計)は987万6623株で、取得価額の総額は1187億8609万970円。取得できる上限は1000万株で、それに近づきつつある。ただ、それでも発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合は3.22%に過ぎないという。

発表の翌日、5月8日の株価は1万7600円まで上がった。豊田自動織機の時価総額は5.63兆円。その株式の24.2%をトヨタ自動車が保有している。

大正製薬、永谷園も…老舗企業の「非上場化」が増えている

創業者一族が非上場化を主導するという流れは、なんか既視感が……。そう、セブン&アイ・ホールディングスのMBO(マネジメント・バイ・アウト)断念のニュースを思い起こさせる。2024年には大正製薬、永谷園など94社が東京証券取引所(東証)で上場廃止となったという。いったい何が起こっているのだろうか。

株式会社には上場企業と非上場企業がある。戦後の日本で大企業といえば、そのほとんどが上場企業で、非上場企業は稀だった。非上場企業としてパッと思い浮かぶのは、サントリー、竹中工務店、YKKくらい。ただし、マスコミの出版社・新聞社は非上場会社が多い。日本生命保険、住友生命保険、明治安田生命保険なども非上場企業だが、そもそもこれらは株式会社ではない(相互会社という保険会社特有の組織である)。

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2025.05.16

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