やっぱり矢沢永吉はビッグだった…「なんで下北沢じゃダメなんですか?」無礼な質問をした司会への「切り返し」
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深い人間関係を築くにはどうすればいいのか。フリーアナウンサーの古舘伊知郎さんは、「多くのビッグスターとの対談経験から学んだことは、通常の準備を超え、相手の懐に深く踏み込む勇気が重要である。リスクを恐れず、本気で聞きたい質問を投じることで、打ち解けられる可能性が高まる」という――。 ※本稿は、古舘伊知郎『伝えるための準備学』(ひろのぶと)の一部を再編集したものです。
MCとして、時代を代表する歌手、俳優、作家に接した
1987年から2005年までの18年間、僕は「おしゃれ30・30」、その後続番組「おしゃれカンケイ」というテレビのトーク番組でMCを務めた。どちらも、毎回、異なるゲストを迎えて仕事やプライベートについてトークしていただくという番組だ。時代を代表する歌手、俳優、作家……本当に多くの方々に接した。
また、この2番組と重なる1985〜1990年は、「夜のヒットスタジオDELUXE」(のちに「夜のヒットスタジオSUPER」に改変)、通称「夜ヒット」の司会進行も務めた。こちらは歌番組だから、出演者はアイドルから大御所まで人気歌手&バンドばかりだ。
目の前にいる相手と話すトーク番組や歌番組は、当然ながら、顔の見えない視聴者に向かって状況を刻一刻伝えるスポーツ実況とはまったく違う。
ケガのリスクをおかしてでも一歩深く踏み込む
近年、僕は自身のYouTubeチャンネルなどでさまざまな方と対談している。そこで、グッと一歩踏み込んで興味深い話を引き出すことが時折できているとしたら、その技術は間違いなく、ありとあらゆるゲストと渡り合った「おしゃれ30・30」「おしゃれカンケイ」「夜ヒット」で培われたものだ。
まさにテレビ最盛期の頃のこと。いずれも出演者の顔ぶれは毎回すごかった。僕からすれば肉眼で見上げるスフィンクスみたいなビッグスターばかりだが、いざ相対するとなれば、とにかく徹底した準備から入る。
しかし基礎的な準備に沿って、いかにも優等生なトークをしてもおもしろくない。せっかくの機会だ。ひょっとしたら相手の機嫌を損ねるかもしれないギリギリのところを、あえて攻めてみたい。せめて「おまえ、おもしろいな」くらいのことは言わせたい。そんな心構えだった。いやらしく欲深い僕は、ケガのリスクをおかしてでも相手に一歩深く踏み込むつもりで臨んでいたのだ。