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【小児科医監修】泣く、物を投げるなど1歳の癇癪の対応方法
原因や症状、受診はした方がよいの?
Profile
クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。
子どもが泣く、奇声をあげて叫ぶ、物を投げるなどの癇癪(かんしゃく)を起こしたときどのような対応したらよいのか困っているママは多いのではないでしょうか。1歳の子どもが癇癪を起こす原因や症状、受診した方がよいケースを解説します。また癇癪がひどいときの対応法もご紹介します。
1歳の子どもが癇癪(かんしゃく)を起こす原因
1歳で癇癪を起こすには以下のような原因が考えられます。
自我の芽生え
1歳ごろになると自我が芽生えてくるため、子どもに「こうしたい」という思いはあるけれど、言葉ではまだ上手く伝えることができないため、泣いたり、叫んだり、物を投げることで自分の思いを表現する場合があります。
またやりたいことはしっかりあり、やり方が分かっている場合でも、身体機能が十分に発達していないのでイメージしていることが思うようにできずに大声で泣いたり、暴れたりします。
疲れや空腹
眠いときや抱っこしてほしいけどしてもらえない、疲れているときにも癇癪を起しやすいです。
お腹がすいてイライラしていることが原因で癇癪を起していることもあります。
赤ちゃん返り
きょうだいができたときにひどい癇癪を起こすケースがあります。
今まで、ママやパパが自分だけに向いていたけれど、赤ちゃんのお世話が中心になったり、ママやパパが自分だけのものではなくなる寂しさや嫉妬、危機感などが癇癪として表れることがあります。
癇癪はいつからいつまで?
癇癪は早ければ、1歳くらいから始まる子がいます。
一般的には2~4歳ごろが多いようですが、癇癪が始まる年齢には個人差があります。
イヤイヤ期との違い
イヤイヤ期と癇癪の違いが気になる人がいるかもしれませんが、イヤイヤ期は自我の芽生えで、自己主張が強く出ている状態です。
一方で癇癪は、「こうしたい」という思いや、やりたいことが上手く言葉や行動にできずに子ども自身もパニック状態を指します。
癇癪を起こしたときに多い行動
- 泣く、叫ぶ
- 物を投げる
- 床にひっくり返って暴れる
- 噛みつく
- 地団駄を踏む
- 頭突き
以上のような行動が見られるときは癇癪を起こしていると考えられます。
癇癪が起きた場合の対応法
子どもが癇癪を起こして、奇声をあげて泣いたり、床にひっくり返って暴れるとどうしたらよいか困ってしまうママもいるでしょう。
癇癪を起したときの対応法をご紹介します。
子どもの気持ちを受け止める
子どもが癇癪を起こして、話しかけても聞いてくれず、何をしてもおさまらないときも無視せず子どもの気持ちを受け止めることが大事です。
癇癪を起したときにママやパパに無視されると悲しくなり、自己表現するのをやめてしまい、自我の形成を妨げる可能性があります。
子どもの気持ちを代弁する
1歳くらいの子どもは自分の思いがあっても気持ちを言葉にして伝えることはまだまだ難しいです。
やりたい思いが上手く伝えられずに癇癪を起しているときには、「~したかったんだね」「~はいやだよね」など子どもの思いをママやパパが声に出して代弁してあげることが大切です。
「自分でやろうとしたんだね」「~できたね」など子どもがやろうと挑戦した気持ちを認めて言葉を返してあげると癇癪が落ち着くかもしれません。
抱きしめる
子どもが泣き叫んだり、暴れたりしているとイライラしたり、怒りたくなるかもしれませんが、子ども自身も自分の気持ちをコントロールできずに癇癪を起している場合が多いです。怒鳴らずに抱きしめてあげましょう。
抱きしめられると、気持ちが安心して徐々に落ち着いてくるかもしれません。子どもが落ち着いてから嫌だったことをゆっくり聞きましょう。
公共の場で癇癪を起こしたときはまず落ち着かせる
外出先や電車などで癇癪を起こすとママやパパも困るでしょう。
公共の場で子どもが癇癪を起したときは、他の人とぶつかったりしないようにまずは危険がないように端に移動して、周りに人がいるところで泣いたり、暴れたりすると迷惑がかかることを伝えます。
癇癪で受診した方がいいケース
癇癪がひどいと発達障害を疑ったり、病院で診てもらった方がよいか心配になる人もいるかもしれません。
癇癪で受診するときの目安をご紹介します。
癇癪に自傷行為が加わる
激しく泣いたり、叫んだり、暴れることにかんしてはそのまま様子をみて、きちんとかかわっていけば大丈夫ですが、癇癪に加えて自傷行為や他傷行為がみられるときは早めに受診することをおすすめします。
年齢が上がっても頻繁に癇癪を起こす
1歳ごろは、感情の表現を癇癪として表すことがありますが、年齢が上がっても頻回に癇癪を起すようならば、発達障害などが、関係している可能性も考えられます。
自分で気持ちをコントロールすることができないことが原因で癇癪を引き起こしているかもしれないので、1度受診してみるとよいでしょう。
さまざまな対応法を知り、1歳の癇癪と上手く付き合おう
癇癪はイヤイヤ期と違い、子ども自身も自分でどうしたらわからずに泣いたり、叫んだり、叩く、暴れることで自分の気持ちをぶつけている状態です。
自我の芽生えや赤ちゃん返り、疲れなど成長や環境によって原因もさまざまありますが、癇癪は子どもが成長している証拠です。
泣いて暴れたり、物を投げるなどの行動にママやパパはどうしたらよいか分からず、イライラして怒りたくなってしまうかもしれませんが、怒ってしまうと癇癪がより激しくなったり逆効果です。
子どもが癇癪を起したときは、子どもの想いを受け止めて、大人が代弁することが大切です。どうしようもないときは抱きしめて、子どもが安心して落ち着いて話ができる環境を作りましょう。
子どもの癇癪は成長の通り道なので、なるべくたくさんの対応法を知り、上手に付き合うことが大事です。