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【小児科医監修】胃腸炎やインフルエンザなど感染症は何日休む?幼稚園の出席停止期間
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インフルエンザや溶連菌、ロタウイルスなどの胃腸炎。子どもが感染症にかかったら幼稚園は何日休むことになるのでしょうか。学校保健法で幼稚園でも出席停止期間が定められています。りんご病やおたふく風邪などもあわせ、それぞれの病気の完治の目安といつから幼稚園に登園できるかを解説します。
幼稚園を出席停止になる感染症とは?
幼稚園では、インフルエンザや溶連菌など感染力の強い感染症は、学校保健法によって休みをとらなければならない出席停止期間が定められています。
保育園では違う病気が指定されていたり、明記されていない病気もあります。施設によっては、出席停止期間が終わっても万全を期するために長めに休みをとるように促されることもあります。登園停止になる主な感染症と、感染症別に、潜伏期間や幼稚園を何日休むことになるのか、詳しく見ていきましょう。
溶連菌感染症
溶連菌という細菌に感染して起こる病気です。主に初夏から秋に発生します。
症状
・のどの赤みや強い痛み
・38℃~39℃程度の急な発熱
・発疹
のどの痛みと発熱から始まることが多く、手足やお腹、背中に発疹が出ることもあります。
舌に赤いブツブツ(いちご舌)がでると溶連菌感染の可能性が高いです。
潜伏期間
2~5日程度
完治の目安
症状がおさまって2~3週間後に尿の中に血液が混じっていないか検査をすることもあります。腎炎を合併することがあるためです。
溶連菌感染症は、医療機関からの処方薬が必要な病気です。溶連菌の抗菌薬は、5日~2週間程度処方されることが多いようです。数日で症状は軽くなるようですが、熱が下がっても菌が体内に残っていると再発することがあり、完治しないと合併症を引き起こす可能性もあるので注意が必要です。症状が落ち着いても、医師の指示に従って最後まで薬を飲むことが大切です。
登園停止期間
学校保健法では、溶連菌の幼稚園の出席停止期間は、「抗菌薬を内服後24~48時間経過」とあります。いつからになるかというと、服薬後、1~2日休むということです。
感染性胃腸炎
大腸菌などの細菌や、ノロウイルスやロタウイルスなどの病原体による感染症の総称です。主にウイルス感染による胃腸炎が多いようです。
症状
・嘔吐、下痢
・発熱
菌によっては血便が出るものもあります。
ロタウイルス胃腸炎は、38℃以上の高熱が出て、腹部の不快感や、水のような下痢や嘔吐を繰り返すことが特徴で子どもに多いです。合併症で、けいれんを引き起こすこともあります。
潜伏期間
原因ウイルスによって潜伏期間は変わってきますが、感染性胃腸炎のウイルスの潜伏期間は、1~3日がほとんどです。
完治の目安
原因ウイルスや症状によって完治までの期間は異なりますが、嘔吐や下痢、発熱などの症状がなくなり、食事がとれるようになることが完治の目安です。
ロタウイルスは、10~100個程度のウイルスでも体内に入ると感染する感染性胃腸炎のなかでも感染力の強い病気なので、完治をしてから登園することが大切です。
登園停止期間
胃腸炎にかかったあとは、いつから登園可能になるのでしょうか。学校保健法では、嘔吐や下痢、発熱など、「主な症状がほぼなくなり、医師が登園可能と認めるまでと」とあります。幼児では、普通便になってからが登園目安です。
インフルエンザ感染症
インフルエンザウイルスに感染して起こり、毎年、秋から春にかけて流行ります。インフルエンザウイルスはA型、B型と複数の種類があり、ウイルスの型によって症状が多少変わってきます。
インフルエンザにはワクチンがあるため、流行する前に予防接種を受けるのもよいでしょう。
症状
・高熱
・関節痛
・倦怠感、食欲不振
・のどの痛み
・鼻水
・咳
感染したインフルエンザの型にもよりますが、突然高熱が出て、3~4日続き、関節痛や倦怠感がでるのが特徴です。ほかにも鼻水、咳、頭痛、といった、重い風邪のような症状が出ます。
潜伏期間
1~4日程度
完治の目安
インフルエンザウイルスが完全になくなり、完治したという判断は難しいですが、1週間程度で、熱が下がり、鼻水や咳の症状が落ち着いて完治することが多いようです。
抗インフルエンザウイルス薬の内服薬を飲み切ることや、吸入薬を正しく服用することも完治のポイントです。
登園停止期間
インフルエンザ感染症の登園停止期間は、学校保健法によると、「発症したあと5日経過し、かつ解熱後2日経過(乳幼児にあたっては3日経過していること)」と日数が定められています。
発症に関しては、発熱が始まった日を0日目と数え、解熱に関しては解熱した日が0日、その翌日が1日目と数えます。この出席停止期間の数え方がわかりにくいため、幼稚園を何日休むことになるのか、登園許可についてたびたび誤解がうまれます。医師や園に登園可能日についてよく確認するようにしましょう。
マイコプラズマ肺炎
肺炎マイコプラズマという細菌に感染して起こる呼吸器の感染症です。
症状
・咳
・発熱
・全身倦怠感
・頭痛
マイコプラズマ肺炎に感染すると、発熱や頭痛などの全身症状があらわれてから乾いた咳がでます。咳が徐々に強くなり、長引くのが特徴です。中耳炎や発疹を伴う場合もあります。
潜伏期間
2~3週程度
完治の目安
マイコプラズマ肺炎は咳がおさまると完治したと考えられます。
登園停止期間
マイコプラズマ肺炎の登園停止期間は、何日休む、と明確には定められていません。しかし、施設や自治体によって、「発熱や激しい咳が治まっていること」が登園の目安になっていることが多いようです。感染の恐れがないと医師の診断がおりてから登園するようにしましょう。
伝染性紅斑(りんご病)
りんご病は、ヒトパルボウイルスB19ウイルスが原因で起こる感染症です。
症状
・発熱
・頭痛や倦怠感
・筋肉痛や関節痛
以上のような症状があらわれたあと、頬に赤い発疹が現れるのが特徴です。頬の赤み身は、1~2週間程度続きます。発疹はかゆみを伴う場合もあります。子どもでは発疹以外の症状が出ないことが多いですが、大人がかかると関節痛でつらいことが多いです。
潜伏期間
4~14日程度
完治の目安
りんご病の完治は、発疹が消えるまでです。1度感染すると、免疫ができるため再度かかることはありません。
登園停止期間
りんご病も学校保健法によると「全身の状態がよいこと」が登園の目安になります。りんご病は発症時には感染力はほぼなくなっているため、発疹が残っていても全身の状態がよければ登園が可能です。
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
ムンプスウイルスが原因で起こります。流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)には、予防接種があり予防や重症化を防ぐことができます。
症状
・発熱
・耳の下から頬、あごの腫れ
耳下腺の腫れが特徴であり、腫れは両側であったり、片側だけの場合もあります。
潜伏期間
16~18日程度
完治の目安
おたふくかぜは、腫れが完全にひいているかが完治の目安になります。
腫れが残っているうちは、ウイルスが残っていてほかの人にうつしてしまう可能性があるので注意しましょう。大体1~2週間で治る子が多いようです。
登園停止期間
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の登園停止期間は、学校保健法で「耳下腺炎、顎下腺、舌下線の腫れがあらわれてから5日経過し、かつ全身状態が良好になるまで」と出席停止期間が決められています。
発症3日前から、耳下腺が腫れて4日間は特に感染しやすい期間なので注意が必要です。
幼稚園と感染症にまつわる体験談
幼稚園での感染症による登園停止。幼稚園教諭とママの立場からの体験談をご紹介します。
幼稚園教諭
私が幼稚園教諭として勤務していたときに毎年あったのが、インフルエンザの出席停止期間の「解熱後3日経過、発症後5日経過」を、発熱を10日目と数えてしまうケースです。
一方で、インフルエンザや溶連菌のように出席停止期間がはっきりと定められている病気は、登園許可日の判断がつきやすいですが、何日休むとはっきり決められていない病気だと、いつから登園させて良いか悩んだり、症状が治まってきて、子どもが元気だからと完治する前に登園させてしまうママがいます。
登園停止期間をきちんと理解し、子どもが完全に回復してからの登園でないと、朝は元気に登園できても、途中で体調を崩して早退するというケースが多々ありました。感染を広めないためだったり、子どもの病気からの回復のために設定されている登園停止期間なので、その日の子どもの様子で判断するのではなく、医師の診断や出席停止期間を守ってほしいなと思っていました。
保護者
年中のとき、12月にインフルエンザにかかってしまい、3日間幼稚園を休みました。解熱して3日目に再受診をしたときに登園許可書をもらえたのと、翌週にクリスマスのお遊戯会があり練習に参加させたかったため、翌日から幼稚園に登園しました。
ところが担任の先生から「発症してから今日で5日目ですよ。法律で定められた丸5日間を経過していないので、本日まで自宅で安静にしていてください」と言われ、家に帰宅することに。最初は「許可書ももらっているのに登園できないなんて」と思ってしまいましたが、うちの子のせいでクラスにインフルエンザウイルスが蔓延したら肩身の狭い思いをさせたかもしれないので、きちんとお休みして良かったです。おかげで子どもも体調が本調子になってから登園できたので、それ以降冬休みまで元気に登園できました。
出席停止期間はしっかり休むことが大事
溶連菌、インフルエンザなど子どもがかかりやすく重症化しやすい感染性の病気は、感染力が強く、園での感染拡大を防ぐためにも学校保健法で出席停止期間が決められています。
登園許可はいつからとはっきり定められておらず、症状や医師の判断によって登園許可が出るロタウイルス胃腸炎やなどもありますが、集団感染を防ぐために幼稚園によって何日休むか登園停止期間を設けている場合もあるので確認が必要です。
早く完治させるために、登園停止期間はしっかり休みをとることが大切です。