こちらの記事も読まれています
【小児科医監修】秋に子どもがかかりやすい病気。RSウイルス、気管支喘息など流行りの病気とは
Profile
クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。
夏から秋の変わり目は寒暖差や空気の乾燥などから体調を崩しやすい季節でもあります。今回は、秋に子どもがかかることが多い流行りの病気や流行りやすい感染症の症状と潜伏期間、病気にかからないようにするための予防法をご紹介します。
秋の感染症や体調トラブルの原因
夏から秋にうつる季節の変わり目は、気温が急に下がり寒暖差や空気の乾燥から体調を崩す子どもが少なくありません。また、夏の疲れがたまっていて流行りの病気のウイルスに感染したり、病気にかかりやすい状態になっているでしょう。
秋に子どもがかかることが多い病気や症状、潜伏期間を解説します。
乳幼児に多い呼吸器の病気「RSウイルス感染症」
RSウイルス感染症の症状として、発熱、鼻水、咳、喘鳴などが知られています。
感染者のほとんどが2歳ごろまでの乳幼児で、生後6か月以下の赤ちゃん、低出生体重児、心疾患や肺疾患がある子どもは肺炎や気管支炎など重症化することがあります。また中耳炎などの合併症を引き起こすことも珍しくありません。
主な症状と潜伏期間などを調べてみました。
症状
・発熱
・鼻水、咳
・喘鳴や呼吸困難、陥没呼吸
潜伏期間
4~5日
アレルギー症状が起こるゼイゼイ咳の「気管支喘息」
ダニの死骸、ハウスダスト、カビなどアレルゲンが原因ではげしい咳を繰り返し、悪化すると呼吸困難などにつながることもある気管支喘息。
症状として連続する咳や痰のほかにも、ヒューヒューゼイゼイ、といった呼吸音(喘鳴)があることで知られています。気温や気圧の変化が激しく、高温多湿な夏に増殖したダニが、秋に死骸になり吸い込むことで気管支喘息にかかります。
気管支喘息では以下のような症状がみられます。
症状
・はげしい咳
・ヒューヒューゼイゼイと聞こえる呼吸音
潜伏期間
気管支喘息はアレルギー物質(アレルゲン)に反応するため潜伏期間はなく、ダニの死骸やカビ、ハウスダスト、花粉、動物の毛などに反応して起こります。
下痢、嘔吐が続く「ロタウイルス胃腸炎」
ロタウイルス胃腸炎とは、感染力が非常に強いロタウイルスに感染することで発症します。水のような下痢や嘔吐を繰り返し、乳幼児は脱水症になってしまうことも多い病気です。
就学前の子どもがかかりやすく再感染することもありますが、2度目の感染は重症化することは少ないようです。
またロタウイルスは、ほかの胃腸炎とは異なり、任意ワクチンの接種で重症化を防ぐことができます。
主な症状と潜伏期間などを調べてみました。
症状
・嘔吐
・水のような下痢
・39℃以上の発熱
潜伏期間
1~3日
ロタウイルスと症状が似ている「ノロウイルス胃腸炎」
ノロウイルス胃腸炎では、はげしい吐き気や嘔吐、下痢、などロタウイルス感染症と似たような症状がみられます。一方、発熱に関しては高熱が出ることも少なく、なかには感染しても風邪のような症状で回復に向かうケースもあります。
ノロウイルスの症状と潜伏期間は以下のようです。
症状
・吐き気
・嘔吐
・腹痛
・下痢(白っぽい色)
・37℃から38℃程度の発熱
潜伏期間
1日~2日
高熱と関節痛が特徴の「インフルエンザ」
インフルエンザは、突然38℃を超える高熱が出て発熱が3日以上続き、関節痛を伴います。
インフルエンザウイルスは感染力がとても強いです。
文部科学省の学校保健安全法によると、インフルエンザに発症したあと5日を経過し、解熱後2日(幼児は3日)は保育園や幼稚園を出席停止になります。
医師や園によっては大事をとって休み期間を長めにとる場合もあるようなので、医師や通っている園の判断に従うようにしましょう。
インフルエンザの主な症状と潜伏期間を解説します。
症状
・高熱
・関節痛
・のどの痛み
潜伏期間
1日~3日
のどの痛みと赤い発疹が出る「溶連菌感染症」
溶連菌感染症は、急な発熱と強いのどの痛みがあります。のどの痛みから1日~2日後に手足や背中、お腹にかゆみがある赤い発疹が出て、発疹から数日後に手足の皮がむけることもあります。また、のどの痛みから水分や食事をとりづらくなります。
溶連菌にかかると以下のような症状がみられます。
症状
・のどに強い痛み
・38℃~39℃の発熱
・舌に赤いブツブツ
・手足やお腹、背中にかゆみを伴う1~2㎜程度の赤い発疹
潜伏期間
2日~5日
病気にかからないための対処法
流行りの病気にかからないためにはどのようなことに気をつけたらよいのでしょうか。
手洗い・うがい
気管支喘息以外は、ウイルスや細菌によって人から人へ感染する病気です。
くしゃみや咳などの飛沫感染や、病気に感染した人の触れたドアノブやおもちゃなどに触った手で目をこすったり、食事をしたりする接触感染でうつるため、手洗い、うがいをしっかりして体内にウイルスや菌を入れないようにすることが大切です。手洗い後にアルコール消毒をするのもよいでしょう。
規則正しい生活免疫をつける
免疫力が落ちているときには病気にかかりやすくなります。栄養バランスのとれた食事をとり、早寝早起きと十分な睡眠をとり規則正しい生活をして免疫力を高めておくとよいでしょう。
適度な温度と湿度
空気が乾燥している状態はウイルスが活動しやすい環境になります。室温は、20℃~25℃くらい、湿度は50~60%くらいに保つように心がけるとよいでしょう。こまめな換気を行い、加湿器を取り入れるのもよいかもしれません。
秋に子どもがかかる流行りの病気をきちんと知っておこう
夏から秋の季節の変わり目は大人でも体調を崩しやすいですよね。秋に子どもの間で流行る病気は少なくありません。
主な症状や潜伏期間をママやパパがきちんと把握し、免疫を付けたり、日ごろから感染症の予防に気を付けるなどして、子どもが病気にかからないようにしましょう。
監修:眞々田 容子(クローバーこどもクリニック)
Profile
眞々田容子
台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。