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【小児科医監修】赤ちゃん、子どもの窒息事故。シーン別の注意点、症状や応急処置など
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赤ちゃんや子どもに起こりやすい事故として、ワースト上位に窒息事故があげられています。今回は、年齢別の窒息事故の事例、シーン別の窒息事故防止のポイント、救急車を呼んだとき、症状、対処法や応急処置の注意点などを解説します。
赤ちゃん、子どもの窒息事故
例年、赤ちゃんや小さな子どもの窒息事故はあとを絶ちません。我が子の身に悲しい事故が起こらないようにどういった点に気を付ければよいのでしょうか。
0歳
・寝具や家族の身体などで顔や口がふさがれる
・ベッドからの転落やベッドと壁の隙間などに挟まれる
・石やボタンなど異物を口にいれてしまう
・吐いた母乳やミルクをのどに詰まられる
寝返り前の赤ちゃんは、寝具や大人の身体が障害となり、窒息を起こす可能性があります。 ミルクや母乳の吐き戻しも注意が必要です。0歳の赤ちゃんは何かのどに詰まっても自分でうまく吐き出せないことがあります。げっぷや吐き戻しの有無を見守ってください。
また、はいはいや、あんよを始めたばかりの赤ちゃんは、床や地面に落ちているものに興味を持つものです。さらに歯の生えてくる時期に差し掛かると口の中に異物感があったり、よだれが増えたりするため、なんでも口に入れたがります。成長とともに高いところにも手が届くようになり、自分でとって口に入れたりすることもあります。赤ちゃんの周りにあるものや、床、地面に落ちているものを、口に入れないように口に入ると困るものは置かないようにしましょう。
1歳
・ベビー用のおやつをのどに詰まらせる
・食事をのどに詰まらせる
ベビー用のおやつは、対象年齢(月齢)が明記されている商品も多いのですが、赤ちゃんが上手く飲み込めず窒息トラブルになる場合もあります。また食事中にものを口に詰め込みすぎたり、歩き回ったりすることで、のどに食べ物を詰まらせる子どももいます。
2~3歳
食品では、ピーナッツや枝豆などの豆類が窒息の原因になることが多いようです。そのほかに
・アメやプチトマト、ブドウなど、子どもののどのサイズに近い大きさの滑りやすい食品
・こんにゃくゼリーなどの噛み切れないもの
・パンやちくわなどの粘着質で水分を取られてしまいがちな食品
は実際に窒息トラブルの事例があるため、注意してください。
また、2,3歳児向けのおもちゃでは、窒息トラブルは起こりにくいかもしれません。しかし、きょうだいがいたり、児童館などもう少し上の世代向けのおもちゃに触れる機会では、小さいおもちゃを口に入れないよう気をつけましょう。
0歳、1歳、2~3歳と年齢別に多い事例を紹介しましたが、いつまで、どういった窒息事故に注意するかの目安ではありません。乳幼児のいる家庭では、子どもが未就学児のうちは窒息事故に気をつけましょう。
さらに窒息事故を防ぐためのシーン別の注意点をご紹介します。
睡眠中
寝具に注意する
掛け布団などの寝具が鼻や口を塞ぎ、窒息につながる場合があります。掛け布団をママやパパと共用していることもあるでしょう。しかし、万一、重い布団が赤ちゃんの顔にかかった場合、赤ちゃんの力では払いのけられないこともあります。
また子ども用の敷布団やマットは固めに作られています。それは、ふわふわの柔らかい布団だと、赤ちゃんや小さい子どもが寝返りをうった際に、自力で仰向けに戻るのが難しいためです。
昼寝の際や一人で寝ているときには、できれば赤ちゃん、子ども用の布団を使い、こまめに寝姿をチェックしましょう。
家具と壁のすき間をなくす
0歳の窒息原因に「ベッドと壁のすき間などに挟まれる」ことがあります。ベビー ベッドの場合は、柵とマットレスや敷き布団の隙間をなくし、子どもの頭や顔が挟まらないように注意しましょう。
ベッドやソファといった赤ちゃんや子どもが寝転がる可能性がある家具は、子どもの頭や首が挟まれないような配置にしましょう。
仰向けに寝かせる
寝がえりの打てない赤ちゃんは、うつぶせ寝だと窒息の可能性があります。1歳になるまでは仰向けで寝かせるようにしましょう。
赤ちゃんの寝返り防止用クッションなども購入できます。活用するのもひとつの方法ですが、一番大切なのは保護者が様子をこまめに確認することです。
ごはん、おやつのとき
食事やおやつタイム、授乳の前後の時間は、保護者が付き添って危険がないか見届けるようにしてください。
食品の形状に注意
食事の進みには個人差があるため、おやつの対象年齢だけで、安全だと判断するのは危険です。
また幼児でも、大きな食べ物を無理に口に入れたり、かまずに丸飲みして窒息することもあります。食べ物を小さく切って渡す、つぶすなどして年齢や子どもの口の大きさに応じた大きさや形状に工夫しましょう。
どういった大きさ、硬さ、形だったら飲み込みやすいか、見極めてあげることが大切です。
食事のマナーを教える
口にものを詰め込まない、必ず座った状態で食べさせる、食事中立ち歩かない、適度に水分をとるなど、を教えていくことも、子どもを窒息事故から守るために重要なことです。言葉が少しわかるようになったら、安全な食事の姿勢として子どもに言い聞かせるようにしましょう。
水分補給は十分に
パサついた触感や飲みこみにくい粘着質の食べ物を飲み込むためには、十分な水分が必要です。食事の際は、子どもが手に取りやすい場所に水分を用意しましょう。
日々の生活
口に入るサイズのものは手の届かない場所へ
東京消防庁によると、トイレットペーパーの芯の穴(直径39mmに相当)を通るものは、乳幼児がのどに詰まらせてしまう可能性があります。子どもの手の届く範囲にそのサイズのものは置かないようにしましょう。
また、ビニール袋や、電気コード、ひもなども窒息の原因になります。赤ちゃんや小さい子どもはビニール袋やひもが大好きなものです。保管場所に注意したり、子どもの周囲に放置しないようにしましょう。
1人きりで遊ばせない
小さな子どもが1人で熱中して遊んでいるとき、無理に親が介入する必要はありませんが、全く視界に入らないのはNG。窒息のトラブルを防ぐために、ママやパパの目の届く範囲で遊ばせることが大切です。
窒息の症状
首をおさえて苦しそうにしている、突然声が出ない、唇が紫色になっているなどの症状が見られたら窒息を疑って下記の対処法を行ってください。
窒息事故の対処法
対処法1:救急車を呼ぶ
窒息の症状が出ているときは、迷わず、すぐに救急車を呼びましょう。
対処法2:異物を取り除く
救急車が到着するまで異物を取り除くために対処法として応急処置をします。
背部叩打法といわれる背中、肩甲骨と肩甲骨の間をたたく方法です。1歳未満と1歳以上の子どもでは姿勢が異なります。また腹部突き上げ法も1歳以上の子どもに有効な対処法です。
対処法3:心肺蘇生術
背部叩打法や腹部突き上げ法を行っても、異物が出ない、意識がなくなるなどの症状があるときは心肺蘇生法を行いましょう。窒息事故だけでなく、おぼれたり、意識を失ったりしたときのためにも、事故が起きてからではなく、普段から蘇生術の方法をしっておくことが重要です。
窒息事故が起きる前に、詳しい処置法、蘇生術の方法を、母子手帳や東京消防庁 STOP!子どもの「窒息・誤飲」で確認しましょう。
絶対NGの対処法
異物をのどに詰まらせたときは、口の中に指を入れて異物をとりだそうとしてはいけません。無理に取ろうとすればするほど異物をのどの奥に押し込む恐れがあります。
窒息によるトラブルを起こさないために
好奇心旺盛な赤ちゃんや子どもは、さまざまなシーンで窒息事故を起こす可能性があります。まだ身体も知識も成長中で、あらゆる場面でママやパパの手助け、配慮を必要としています。子どもの年齢が小さいうちは、窒息の原因となるような物を近くに置かない、思わぬトラブルにつながるような寝具は使わないなど、大人の意識が重要です。
日々ので生活で窒息トラブルが起こらないように環境を整えたり、窒息の症状が見られたら、焦らず適切な対処法を行えるよう方法を確認しておく、などして窒息事故から子どもたちを守りましょう。