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【小児科医監修】小児気管支喘息の症状や原因、風邪と見分けるためのチェックリスト
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クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。
熱のない子どもの咳が長引いていたり、激しい咳で眠れない夜が続いたりすると、なにかの病気かと心配するママやパパもいるでしょう。もしかするとその咳は気管支喘息によるものかもしれません。今回は気管支喘息の症状と原因、気管支喘息と風邪を見分けるチェックリスト、症状を緩和させるための方法について解説します。
気管支喘息の症状
気管支喘息は、風邪やアレルギー物質が原因で発症します。症状が続いたり、繰り返し発症するやっかいな病気です。
主な症状として、乾いた咳が続くことがあげられます。さらにゼイゼイ、ヒューヒューなどの音(喘鳴)がする呼吸も大きな特徴のひとつです。咳込んだり、呼吸するたびに息苦しさを感じるのも、気管支喘息を見分ける大きなポイントといえます。
気管支喘息は、軽度のときは呼吸音も小さく、食事や睡眠に問題がありません。
しかし、発作が出る可能性があり、ひどくなると激しい咳で眠れなかったり、食事もとれなくなる場合もあります。呼吸のたびに胸がへこむなどの陥没呼吸や呼吸困難、声が震える、血液中の酸素が不足して皮膚や唇が青黒くなるチアノーゼなどの症状が見られる場合もあります。
気管支喘息の原因
子どもの気管支喘息の原因の多くは、ダニやホコリ、カビ、花粉などのアレルギーを起こす物質です。風邪をひいた時やアレルギー物質を吸い込んだときに気管支が過敏に反応して、咳を引き起こし、息苦しくなります。
ちなみに大人でも気管支喘息になりますが、大人の場合、アレルギー物質以外にも、生活習慣やストレスなどが原因で起こる可能性が高いです。
気管支喘息と間違えやすい気管支炎
気管支喘息と、ママが混同しやすい病気に気管支炎があります。では、気管支炎とはどんな病気なのでしょうか。
気管支炎は、症状が一時的な病気です。咳などの症状は気管支喘息と似ていますが、気管支炎はゼイゼイ、ヒューヒューという喘鳴を伴う呼吸はなく、呼吸困難になるほどの息苦しさはありません。
専門家はこのように述べています。
“
気管支炎はウイルスや細菌などの感染により一時的に咳などの症状が出て落ち着く疾患です。 喘息は慢性的な気道の炎症によりおこる疾患ですので、症状が続くか、あるいは繰り返すことを特徴とします。 小さなお子様の場合は気管支がまだ脆弱な状態ですので本当に喘息かどうかの見極めはもう少し大きくなるまで経過をみないと判断が難しいです。 必要に応じてかかりつけ医で治療を受けていただいてよろしいかと思います
出典: AskDoctors
気管支喘息を見極めるためのチェックリスト
「ひどい咳をしていたけれど、ここ2~3日間はおさまっているから…」と、受診のきっかけがつかめないケースもあるでしょう。
そこでお家でできるセルフチェックリストを作ってみました。医師にかかる際、症状を説明する参考にもなるので、活用してください。
【セルフチェックリスト】
・急に息苦しくなり、ヒューヒュー、ゼイゼイとした呼吸音(喘鳴)がなる
・乾いた咳が出て呼吸が苦しくなることがある
・ペットやほこり、冷たい空気に触れると呼吸が苦しそうな激しい咳が出ることがある
・夜寝るときや早朝に睡眠が十分にとれないほど咳が出る
・風邪をひくとすぐに咳が出る
・泣いた後、走った後にむせるような咳が出る
何科を受診したらよい?
チェックリストによって子どもが気管支喘息かもしれないと思ったら、病院でしっかり診てもらうことが大切です。小児の気管支喘息は何科を受診したらよいのか迷うママもいるかもしれません。基本はかかりつけ医の小児科で大丈夫です。診察の結果、より専門的な検査などが必要な場合は、小児アレルギー科もしくはアレルギー科の受診を促されるケースもあります。
かかったときの症状を緩和させるポイント
喘息の症状を緩和させる方法や日常生活での注意点をご紹介します。
アレルギー物質を取り除く
子どもの気管支喘息の原因は、ダニやハウスダストなどのアレルギー物質の影響が大きいといわれています。日常的に布団やクッションなどに掃除機を掛けて清潔に保ち、ぬいぐるみは丸洗いするなど、アレルギー物質を寄せつけないことが大切です。
また、動物の毛はダニの栄養になるので、ペットを室内で飼うときは、さらに掃除機をこまめに掛けるようましょう。動物に触ったあとは手洗い、うがいをしっかりするようにしましょう。
水分を十分とる
咳をたくさんするとエネルギーを使い、体の水分が失われて脱水状態になりやすくなります。気管支喘息には、こまめな水分補給が大切です。糖分が多い飲み物は、水分もいっしょに代謝されて、かえって水分不足を招きます。なるべくジュースは控え、水や麦茶を選ぶようにしましょう。
室内環境を整える
気管支喘息の原因となるアレルギー物質のダニやカビの発生をなるべく増やさないよう、室内環境を整えることが必要です。
夏は外の気温より4~5℃低い温度、冬は20℃前後を目安にしてください。湿度は50%前後を保てるとよいでしょう。温度や湿度はあくまでも目安なので、赤ちゃんをはじめ、家族が快適な部屋を心掛けるのがよいでしょう。
体を冷やさない
冷気が気管支に反応して発作が起こるため、気管支喘息は身体を冷やさないことも大切です。冷たい飲み物は気管が収縮して喘息が悪化する場合があるので、冷たい飲み物よりもあたたかい飲み物がよいでしょう。
気管支喘息の症状を見極めて正しい判断を
子どもがヒューヒューやゼーゼーといった喘鳴のなる咳を繰り返している場合は、小児気管支喘息かもしれません。気管支喘息のセルフチェックをした上で「小児気管支喘息かも」と思ったら、早めにかかりつけ医を受診し、適切な治療をすることが、症状の緩和のカギとなります。
監修:眞々田 容子(クローバーこどもクリニック)
Profile
眞々田容子
台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。
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