こちらの記事も読まれています
【小児科医監修】これっておむつかぶれ?病院へ行く目安と受診すべきかについて
Profile
クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。
赤ちゃんの肌はデリケートです。毎日のおむつ替えが原因でおむつかぶれになる赤ちゃんも少なくないようです。また、おむつかぶれは小児科、皮膚科、何科の病院に行ったらよいのか、悩むママも多いようです。おむつかぶれの症状と、ホームケア、治療法、病院に行く目安や薬の使い方をあわせてご紹介します。
おむつかぶれの原因
赤ちゃんの肌は大人の肌と比べると、皮膚が薄く外からの刺激に弱いのが特徴です。またおしっこやうんちの成分は肌にとっては刺激になります。
さらに、汗やうんち、おしっこがたまったおむつの中は、高温多湿で蒸れた状態となり、デリケートな肌のバリア機能がさらに弱まった状態になります。肌のバリア機能が低下しているところに、刺激となるおしっこやうんちの成分が、長時間接触することでおむつかぶれが起こります。
このほかにも、サイズの合わないおむつを使うことで、うんちやおしっこが肌の広範囲に広がったり、ゴム部分がきつくて肌が擦れて肌トラブルを起こす場合もあります。一日に何度もある、おむつ替えのときにおしりふきでゴシゴシ強く拭くと、それが肌にダメージを与え、おむつかぶれを引き起こす場合もあります。
おむつかぶれの症状
おむつかぶれの初期症状として、陰部やおしりを中心に、おむつがあたる部分が赤みを帯びることがあげられます。
股や足の付け根、肛門周りに起こりやすく、おむつカバーや紙おむつの、ゴムがあたる太ももや腰にも起こる場合があります。肛門の周りに輪をかいたような赤い部分がみられることもあります。赤い小さな発疹がみられ、悪化すると皮膚がただれ、痛みやかゆみが生じたり出血する赤ちゃんもいるようです。
新生児期やお腹の調子が悪く、下痢やゆるいうんちが続くときには、特に症状がひどくなる傾向があります。
病院へ行く目安
「おしりが赤いだけなんだけど…」と、受診を迷うママも多いでしょう。「肌が赤くなっているだけで機嫌がいい」などの場合は、この記事の最後に記載しているホームケアを行い、様子を見てもいいでしょう。
ただし、おしりまわりの皮膚がただれたりむけている、赤いブツブツや湿疹が広がっている、赤ちゃんがかゆがって機嫌が悪い、痛がって泣くなどの症状がみられたら、カンジダ皮膚炎などになっている場合があります。すぐに病院に行くようにしましょう。
小児科と皮膚科どっちにいけばいいの?
「もしかしてこれおむつかぶれかな?」と思ったときに小児科、皮膚科など何科の病院に行けばよいのか迷うママが多いようです。
小児科でも皮膚科でもどちらの病院でもよいですが、まずはいつも診察してもらっている、かかりつけ医にみてもらいましょう。かかりつけ医が小児科医なら小児科で、すでにかかりつけの皮膚科があるなら皮膚科に直接行くのもよいでしょう。
かかりつけの小児科で診てもらった結果、症状によって皮膚科を紹介される場合もあります。
おむつかぶれで処方される薬
おむつかぶれの症状によって処方される薬は変わってきます。症状によってどのような種類の薬が処方されることが多いかを調べてみました。
いずれの薬の場合も、用法や用量をよく確認して使用してください。また、症状がなかなか改善されない、悪化した場合は、医師に相談しましょう。
症状が軽めのときは「保湿薬」や「非ステロイド外用薬」
おむつ交換の回数が多いと、その分おしりふきなどで清潔にする回数も増えます。清潔にすること自体は肌を健やかに保つために大切なことですが、ふき取りをしたままだと、乾燥して外からの刺激に弱くなってしまい、トラブルを招きやすくなります。
「保湿薬」は、清潔にしたおしりの表面を保護し、おしっこやうんちなどの排泄物の刺激から肌を守ります。
おしりをきれいに洗ったあと水気をよく拭き、保湿薬を塗りましょう。肌をバリアし、外からの刺激をブロックする働きをしてくれます。ほかにも「非ステロイド外用薬」をガーゼにつけて炎症部分に使う場合もあります。
症状が重いときは「ステロイド外用薬」
症状が重いときには、ステロイド外用薬が処方されることが多いでしょう。ひどい部分に塗ると炎症が抑えられますが、やや刺激が強いため、症状があらわれている部分にのみ塗るようにしましょう。基本的に数日間の短期使用です。
おむつかぶれのホームケア
「おむつかぶれになってしまった」場合は、どんなことに気をつけたらいいでしょうか。今すぐできるケア法をレクチャーします。
おむつをこまめに替える
おしっこやうんちのついた、おむつを長い間そのままつけていたり、おむつを交換するタイミングが長時間見つけられないと、おむつの中は汗やおしっこ、うんちによる蒸れや刺激でダメージを受けます。おむつが濡れていないかこまめに確認し、取り替えるようにしましょう。
肌を清潔にしたら忘れずに保湿を
おしりを清潔に保つことがおむつかぶれにならないために重要です。下痢や軟便のときは、できるだけ洗面器にぬるま湯をはり、おしりをつけて脱脂綿などで洗い流すか、シャワーでうんちを洗い流しましょう。
うんちのたびに洗うと回数が多すぎて、逆におしりがかぶれてしまう場合があるので、おしりを洗うのは1日1~2回を目安にしましょう。おしりふきを使う場合は、ゴシゴシこすると肌への刺激になります。汚れにおしりふきをおしつけて密着させて取り除く「押し拭き」をしてください。
清潔にした後は必ずクリームやローション、オイルなどで保湿をしっかり行ってください。
おしりふきは刺激の少ないものを選んで
おしりふきに含まれているアルコールでかぶれてしまう場合もあります。アルコールを使っていないものや低刺激のおしりふきを選んでください。
また、おしりふきの代わりにベビーオイルをコットンに含ませる、ガーゼを濡らして使うなどの方法でもOKです。
おむつ交換のときに、蒸れて肌トラブルを起こしやすい足の付け根なども優しく拭くことでおむつかぶれの予防につながります。
紙おむつのサイズや性能に注意する
おむつのサイズが赤ちゃんの身体に合っていないと、おむつかぶれや、肌とおむつの摩擦で肌のただれが起きたり、排せつ物が漏れることで、おむつの外の肌荒れの原因になります。
赤ちゃんの体系に合ったサイズや素材のおむつを使うことが大切です。
保湿と清潔にすることでおむつかぶれを防ごう
おむつかぶれにならないためには、こまめなおむつ交換と、肌を清潔にしてその後しっかり保湿をすることが大切です。ですが、気をつけていてもおむつかぶれになってしまうこともあるでしょう。
症状が軽い場合は、ホームケアをして様子をみてもいいでしょう。ただし、症状がひどいときや薬を処方しても悪化するようであれば、受診の目安を参考に、早めのタイミングでかかりつけの小児科や皮膚科で診てもらうようにしましょう。
監修:眞々田 容子(クローバーこどもクリニック)
Profile
眞々田容子
台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。