こちらの記事も読まれています
【小児科医監修】プール熱の初期症状と対処法。目やに、鼻水など症状の順番は?
Profile
クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。
初夏から夏にかけて、乳幼児がかかりやすい感染症「プール熱」。プール熱は、さまざまな症状が順番にあらわれるのが特徴の夏風邪のひとつです。のどの痛み、目やにといったプール熱特有の症状やプール熱の感染経路、潜伏期間やプール熱にかかったときの保育園や幼稚園への登園基準などを解説します。
プール熱とは?
咽頭結膜熱(プール熱)とは、アデノウイルスというウイルスが原因の感染症です。
プールの水を通して、人から人に感染することから「プール熱」とも呼ばれています。
かかりやすい時期
プール熱の感染は6月頃に徐々に増加し始めて、7、8月頃にピークを迎えます。近年では冬にプール熱が流行するケースもあり、通年でかかる可能性がある病気です。
かかりやすい年齢
幼児から学童の年齢の子どもがかかることが多く、そのなかでも5歳以下が6割を占めています。
プール熱の症状
プール熱にかかるとどのような症状が現れるのでしょうか。
初期症状
プール熱は、最初に高熱の発熱が見られるケースがほとんどです。
そのあとに、頭痛や食欲不振、軽い風邪のときのような全身の倦怠感とともにのどの炎症や痛みがあらわれます。ほかにも目の充血、涙が多くなったり、まぶしさなど目に不快感がある、目やにが多くなるなどの症状が順番にでて、3~5日続きます。
目の炎症は、片目ずつあらわれ、下まぶたの内側あたりに強く炎症が出るケースが多いようです。
主な症状
プール熱の主な症状は「39℃前後の発熱」で、4~5日続きます。1日の間に熱が40℃になったり、37℃になったりと上がり下がりする状態がみられるのも特徴です。
また、「咽頭炎(のどの痛み)」「結膜炎(目の充血)」が一般的にあらわれる症状といわれていますが、すべての症状があらわれないこともあります。さらに、吐き気や腹痛、下痢を伴う場合もあります。
潜伏期間
プール熱の潜伏期間は5~7日といわれています。症状が出る2日ぐらい前からほかの人へうつります。
感染経路
プール熱のアデノウイルスは咳や鼻水、くしゃみなどの飛沫感染や、感染した子どもの使用したものを触ることで感染する接触感染が知られています。ほかにも感染した子どもの排出した便からウイルスに感染する場合もあるようです。
子どもがかかりやすい病気といわれていますが、プール熱にかかった子どもを看病して大人が感染する危険性も充分にあります。
検査方法
プール熱の検査方法は血液での抗体検査で診断する場合もありますが、喉を綿棒でこすり、20~30分で結果が分かる簡単な検査キットをつかった検査が主流です。
気をつけたい合併症は?
プール熱が合併症を引き起こすことはまれですが、高熱やのどの腫れ、痛みが長く続いたり、咳が出て息苦しそうなときは肺炎や髄膜炎、脳炎の合併症にかかっている可能性があります。すみやかに受診するようにしましょう。
また、生後14日以内の新生児が感染すると全身性感染を起こしやすく、重症化する場合があるので注意が必要です。
かかった場合の登園基準はある?
また、プール熱は厚生労働省の学校安全法で症状がなくなったあと、2日経過するまでは出席停止とされています。多くの場合、治癒して再度登園する際には、医師が記載した登園許可証が必要になります。
プール熱にかかったときの対処法
かかってしまったとき、これ以上感染を広げないために実践しておきたいことを聞いてみました。ぜひ参考にしてください。
手洗い・うがい
感染源のアデノウイルスの感染力はとても強いので、手洗い・うがいをしっかり行い、ウイルスを体内に入れないことが大切です。
衣類やタオルは共有しない
プール熱に感染している子どもと同じタオルや洗面器、食器を共有すると、接触感染で大人も感染する可能性があります。
タオルや食器などは共有せずに衣類は別々に洗濯するようにしましょう。
使用したものは消毒をする
プール熱は接触感染でもうつるので、おもちゃや家の手すりやドアノブなど使ったり触ったところは、酸性アルコール消毒をするようにしましょう。
オムツ交換に注意する
2週間程度は便にもウイルスがいるので、オムツ替えにも注意が必要です。オムツ交換時はできれば手袋を使用し、オムツ替えをしたあとは石けんを使って手をよく洗うことが大切です。
日頃からできる予防を習慣づけよう
プール熱は保育園や幼稚園でも夏場に流行る三大夏風邪の1つです。初期症状は高熱で、そこから目の充血やのどの痛みが現れます。これらの症状がみられたらプール熱の疑いがあるでしょう。まだ免疫力が低い子どもが集団生活を送るなかでかかりやすい病気ですが、手洗い、うがいなど基本的な衛生管理を励行することが、感染を防ぐ有効な手段になります。
万が一感染したときには衣服や食器などを共有しないなどの家庭内でのケアに気をつけ、適切な対応が大切です。
監修:眞々田 容子(クローバーこどもクリニック)
Profile
眞々田容子
台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。
※記事内で使用している参照内容は、2018年4月13日時点で作成した記事になります。