子どもの喘息。原因や症状、発作時の対応について

子どもの喘息。原因や症状、発作時の対応について

2018.03.31

Profile

眞々田容子

眞々田容子

クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医

台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。

【小児科医監修】子どもの咳が続いていると、喘息を疑うママもいるのではないでしょうか。そこで子どもの喘息の原因や、症状、喘息かどうかの見極め方、どんな薬を服用するかなどの治療法、入院が必要な場合などの疑問について詳しく解説します。

喘息とはどんな病気?

咳をする子ども
MIA Studio/Shutterstock.com

喘息とは、いろいろな刺激により気管支が急激に収縮することで咳やぜーぜーなど喘鳴を繰り返す病気です。

また季節や天候などによっても喘息症状が出やすいこともあるようです。

子どもの喘息によくみられる症状

喘息の症状にはどのようなものがあるのでしょうか。多くみられる症状を聞いてみました。


胸からぜーぜー聞こえる

息を吐くときに、ぜーぜーやヒューヒューといったような音が胸のあたりから聞こえます。喘息の代表的な症状を喘鳴と言います。この症状が長く続くことで喘息と診断されることがあるようです。


呼吸困難

喘息は気管支に炎症が起きている状態です。

その炎症のせいで気道が狭くなり、血液中の酸素濃度が低下。なんとか酸素を取り込もうと呼吸が浅くなることで、呼吸困難になってしまうことあるようです。


夜中なら朝方にかけて咳が出やすくなります。

気管の粘膜が敏感で少しの刺激で咳が出始め、一度咳が出始めると止まりにくいケースも。子どもの場合、咳のし過ぎで嘔吐する場合もあるようです。


気管の中に痰が増え、胸のあたりで「ぜこぜこ」と音がなります。子どもだと痰を自力で出すのが難しく呼吸困難になる要因の一つになります。

「風邪かな?」と思う症状が多いですが、喘鳴が確認できると喘息の可能性があるかもしれません。

喘息の原因となるもの

喘息の原因となるものにはどのようなものがあるのでしょうか。


アレルゲンによる喘息

床のほこり
7th Son Studio/Shutterstock.com

ほこりやダニ、特定の食べ物などアレルゲンと接触したことにより短時間で喘息を引き起こす子どもがいます。

アレルギー検査を受けてアレルゲンとなる物質を特定することで喘息発作の予防にもつながります。


感染症から喘息に

細菌やウイルス感染の病気にかかった後、喘息を引き起こすこともあります。マイコプラズマ肺炎やRSウイルスなどにかかった時は、喘鳴が誘発されることもあるので注意が必要です。

喘息になる原因は一つだけとは限りません。さまざまな理由が重なり合って喘息になることもあります。

専門家も

喘息はアレルギーや受動喫煙、風邪などの感染症などをきっかけとして発症する疾患です。 慢性的な気道の炎症によりおこる疾患ですので、吸入ステロイド薬などでしっかりコントロールする必要があります

出典: AskDoctors

喘息か見極めるポイントとは?

上記のように、喘息の症状は風邪の症状に似ているものが多いです。

喘息と診断するには、喘息の特徴的な症状の所見がみられ、アレルギー検査の結果、家族の既往歴などを問診、などから総合的に診断します。

発作の程度と入院の必要性

小発作

日常生活には支障がないが、喘鳴があれば小発作です。子どもは息苦しさを感じているようですが、夜は比較的に眠れるのが小発作の特徴です。


中発作

中発作は息苦しさがあり、横になることができない状態です。横になるのもつらいことが多いので、座って眠るなど日常生活にも支障が出てきてしまうようです。


大発作

大発作になると、入院が必要になります。もちろん横になれず座っていても息苦しく、少しの動作でも苦しくなってしまう状態です。睡眠がとれなかったり、話せなかったりと日常生活にも支障をきたします。意識がなくなったり、朦朧としている場合にはすぐに救急車を呼びましょう。


呼吸不全

呼吸不全になると、呼吸が増加または減少して、チアノーゼの状態に。歩けなくなり、興奮したり、意識がもうろうとして会話もできなくなります。救急車で一刻も早く病院へ行きましょう。

一般的に小発作から中発作へとなるようですが、喘息が慢性化すると急に中発作から始まる場合もあるようです。

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発作の緊急度のポイント

すぐに受診したほうがよい場合はどのようなときなのでしょうか。緊急性の高さを判断するポイントを調べてみました。

・鎖骨の上や胸骨などに陥没呼吸が見られる

・会話ができない、ぐったりしている

・顔色や唇などチアノーゼが出ている

・喘鳴がいつもより強い

・処方されている薬が効かない

・咳き込み過ぎて嘔吐している

などの症状があった場合は時間にかかわらず、早急に受診しましょう。状態によっては入院して治療が必要になることもあるようです。

発作時のホームケア

子どもの抱きかかえるママ
Studio concept/Shutterstock.com

発作が起きたとき、家でどのように過ごしたらよいのでしょうか。小児科医に聞いてみました。


薬をきちんと服用する

処方されたお薬をきちんと使用することで、喘息発作が楽になったり、発作の予防になる場合もあるのできちんと医師の指示を聞き服用するようにしましょう。


身体を起こすなど楽な姿勢を取る

横になっていると咳が出やすくなるため、上体を起こすなどして楽にしてあげるとよいでしょう。赤ちゃんの場合は、抱っこしてあげるのもよいかもしれません。ただし、上体を起こさないと苦しそうならば、受診は必要です。

喘息の発作が出たら、かかりつけの小児科や救急へ行くのが基本です。喘息は夜中に重症化することが多いので、呼吸するのが苦しそう、呼吸が著しく浅いなどの場合は時間外でも迷わず病院へ受診しましょう。

薬の種類

喘息にはどのような薬が使われるのでしょうか。よく処方される薬をタイプ別で紹介します。


吸入薬

手のひらサイズの小さなボンベ内の薬剤を噴射させ吸入するエアゾールと粉末の薬剤を勢いよく吸い込むドライパウダータイプ、ネプライザーと呼ばれるもので霧状にして吸入するタイプのものがあるようです。


内服薬

大きく分けて発作を予防する薬と、発作が起きてしまったときに服用する薬があります。

薬の種類によって飲み方が変わりますので、医師の指示通り内服しましょう。


貼り薬

気管支を広げる薬として使用される貼り薬です。胸や背中などに1日1回貼り、24時間かけて皮膚からゆっくりとお薬を吸収していきます。

これらの薬を組み合わせて使用しますが、年齢や症状の度合によっても使用する薬が変わってくるようなので、かかりつけ医と相談してその子どもに合う薬を探してみてはいかがでしょうか。

子どもの喘息の症状と原因を知って、発作時に適切なケアを

親子
Shinya nakamura/Shutterstock.com

喘息とは、慢性的な気管支の炎症で「ぜーぜー」「ヒューヒュー」といったような胸から音が聞こえる(喘鳴)などの症状があります。

発作には3段階あり、発作により緊急度や治療法が変わってきます。場合によっては入院になることもあります。

また咳は夜間にひどくなることが多く、呼吸が著しく浅いなど苦しそうな症状があれば迷わず受診しましょう。また家では、なるべく換気をすることを心がけ楽な姿勢でゆっくりと過ごすとよいでしょう。

薬にも吸入、内服、貼薬などいろいろなタイプがあります。かかりつけの主治医と相談し、子どもに合ったものを服用し、喘息とうまく付き合っていきましょう。


監修:眞々田 容子(クローバーこどもクリニック)

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眞々田 容子

信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。

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