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【小児科医監修】おたふく風邪だとみんな腫れる?腫れないケースや腫れる場所やいつまで腫れるかについて
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クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。
「おたふく風邪」と聞くと「お面の『おたふく』のようにほっぺが腫れる病気」と思っているママも多いと思います。そこで、おたふく風邪になると腫れる場所は必ずほっぺなのか、腫れ方や腫れる場合はいつぐらいがピークになるのか、それとも腫れない場合は他にどんな症状が出るのか、家でのホームケアなどを専門家に聞いてみました。
おたふく風邪の代表的な症状
おたふく風邪はムンプスウイルスというウイルスが体内に入ることで発病します。ほっぺ、もっと具体的にいうと耳の下が腫れるというのが特徴的な症状です。
その他、子どもがおたふく風邪にかかったときによく見られるのが発熱です。また、潜伏期間が2週間と長いのも、おたふく風邪の大きな特徴といえます。
おたふく風邪なのに腫れないケースも
おたふく風邪にかかっても耳の下が腫れないなど、特徴的な症状が現れないケースも見られます。それらは「不顕性感染(ふけんせいかんせん)」といわれ、おたふく風邪の場合、かかった人全体の30~35%(※)に当たる人が、該当するといわれています。
微熱やわずかな腫れなど、出てはいるがごく軽症の症状のみの人も不顕性感染に入ります。
症状がはっきりしていなくても、普通に生活をしてしまうとウイルスをまきちらしてしまうことも。「いつもと違う」「なんとなく耳が痛い」などの症状がみられた場合は、念のため医療機関を受診してください。
また、幼児の場合、言葉でうまく症状を伝えられない場合もあります。そんなときは痛い箇所を手で押さえさせると、本当に痛みのある個所や子どもの状態を把握しやすいでしょう。
いつからいつまでが腫れのピーク、その部位と腫れ方は
学校保健法で出席停止の感染症に指定されているおたふく風邪。腫れのピークと腫れ方について専門家に聞いてみました。
腫れ場所と腫れ方
おたふく風邪で腫れ場所は、耳の下にある耳下腺から下あごにかけてです。両側腫れる人もいれば、片側だけの人もいます。腫れ方も個人差があり、ひどいと顎の下の付け根あたりまで腫れるので、「首が急に太くなった」という印象を受けることもあります。
いつからいつまで腫れるか、ピークは
おたふく風邪のとき、発熱と同時、もしくは2~3日後に腫れてきます。腫れのピークは腫れ始めて48時間目頃のことが多く、その後、少しずつ腫れがひいていきます。
腫れ始めて1~3日ぐらいは耳の痛みがあるので、食べ物の飲み込みや悪くなる場合も。一般的には、発症から約1~2週間で自然と軽快します。
おたふく風邪は学校保健法で定められた感染症の1つです。あごの腫れの症状が出始めてから5日経過し、全身の状態がよくなるまでは、出席停止となります。登園、登校には医師の許可が必要なので、覚えておきましょう。
腫れている場合のケアポイント
片側もしくは両側が腫れているとき、どんなケアをしてあげればいいのでしょうか。家でできるケア法を紹介します。
保冷剤や濡れタオルなどで腫れている箇所をクールダウン
耳の下の腫れがひどい場合や痛がるときは、タオルに包んだ保冷剤や濡れタオルで腫れている部分を冷やしてください。痛みが少し緩和することも。
耳など痛みがひどいときは解熱剤を
おたふく風邪で痛みがひどく、なかなか寝付けないようならば、解熱剤を飲ませてあげてください。痛みで飲み込みが悪いときは、スプーンで少量ずつ飲ませましょう。
安静に過ごす
おたふく風邪の原因であるムンプスウイルスに対する特効薬は残念ながら開発されていません。かかったら安静にし、自然に治るのを待ちましょう。
ただし、感染力が非常に強いので、おたふく風邪にかかった子どもが在宅療養しているときは、他の家族も2週間後に発症しないか注意が必要です。症状がでてから隔離をしても、すでに感染している可能性もあります。
食事はのど越しがいいもので刺激物を避けて
普段に比べて食べ物や飲み物の飲み込みが悪くなります。できるだけゼリーやプリン、豆腐などののど越しの良いものを食べさせてあげるとよいでしょう。酸っぱいもの、塩辛いものなど刺激物は、痛みがよりいっそう増す可能性があるので避けてください。
長風呂はNG。熱がないときはシャワーならOK
お風呂に長くつかるのは、体力をかなり消耗するので、発熱中はNGです。熱がなく、機嫌がよさそうならば、シャワーで体をさっぱりさせてあげてください。
1週間経っても腫れがひかない場合は再度受診を
おたふく風邪にかかると心配なのが、髄膜炎の合併症です。髄膜炎とは、おたふく風邪のウイルスが髄膜に入って引き起こされる病気で、発症後12時間以内に発熱や頭痛、嘔吐がみられ、短時間の間に呼吸が苦しくなったり、意識が朦朧とするなどの状態になってしまいます。
1週間以上腫れがひかない、熱が5日以上下がらない、頭を痛がる、嘔吐、腫れている部分が赤くなる、おなかや睾丸を痛がるなどの症状がみられたら、合併症を引きこしている可能性が高いので、すぐに医療機関を受診してください。
腫れていないときは安静にして体力回復を
耳の下が腫れていなくてもおたふく風邪を不顕性感染しているケースがあります。おたふく風邪だと分からずに、風邪のような症状だけで終わることもあります。耳の下を痛がるけど腫れていない時は、食事や水分を摂り、安静にして、経過をみていきましょう。
予防接種をし、手洗いとマスクで対策を
おたふく風邪には予防接種があるので、予防する方法もあります。自費で接種をする「任意接種」ですが、自治体によっては接種費の助成を受けられる場合もあります。詳しくは居住地域の保健センターに確認をしましょう。ワクチンをしたから、絶対にかからないわけではありません。
さらに、感染した人のくしゃみや咳の飛沫を浴びたり(飛沫感染)、ウイルスが付着したものを手で触れる(接触感染)ことで感染してしまう可能性があるので、近くに感染者がいる場合は、手洗いをしっかり行い、マスクを着用するようにしましょう。
おたふく風邪の腫れ方、腫れないケースも知って適切なケアを
発熱とともに耳の下が腫れる、痛くなるという特徴的な症状が現れやすいおたふく風邪。ですが、耳の腫れが現れない不顕性感染というケースもあります。また、腫れが認められるケースの中でも、腫れ場所や、両側が腫れる、片側だけ腫れるなど、腫れ方にも個人差があります。
おたふく風邪のときにいつからいつまで腫れるかですが、発熱と同時、もしくは2~3日後に腫れることが多いようです。ピークは腫れ始めて48時間目頃のことが多く、その後、少しずつ軽快していきます。
特効薬はないので、自宅での安静が治るための近道といえます。痛みがひどい場合は、保冷剤で冷やす、鎮痛剤を飲ませるなどの対応をしてあげましょう。そんなに怖い病気ではないですが、合併症として髄膜炎を引き起こす可能性があるので、発熱が5日以上続く、呼吸が苦しそうなどの症状がみられたら、速やかに医療機関を受診してください。
「いつもと様子が違うな」「耳のあたりをやたらと触っている」など、ママが異変を感じたら、こまめに子どもの様子を確認しあげることも大切なポイントの1つです。
監修:眞々田 容子(クローバーこどもクリニック)
Profile
眞々田容子
台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。
信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。
症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。
お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。