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子どもの自由と親の安心は両立可能?家族のコミュニケーションを変えるコクヨに迫る
小学校入学と共に直面するといわれているのが「小1の壁」。放課後は学童、習い事、それとも留守番……? この春、見守りIoT事業へ新たに参入したコクヨ株式会社 経営企画部の山本容子さんに、ブランドコンセプトや開発への思いを伺いました。
全ての保護者に共通する子どもへの心配事
ーーまずは、日本の子育てにおいて課題に感じていることを教えてください。
共働き世帯が半数以上を占める今、親子のコミュニケーションをとる時間がとれなかったり、すれ違いが生じたりしている家族は少なくありません。
ただ、この子どもに対する心配事は、ワークスタイルやライフスタイルが多様化しても、きっと全ての親が共通して持っているのではないでしょうか。
私自身、小学校6年生と2年生の双子の母親でもあるのですが、子どもが保育園に通っていた頃は、送迎が大変ではあるものの「預けてしまえば安心」と感じていました。ところが小学校に入学すると、放課後、鍵を持たずに遊びに行ってしまったり、子どもと連絡がつかなくなってしまったり……すごく心配事が増えましたし、周りの保護者からもそういった不安の声を聞くようになったのです。
しかし、そうした心配事に対するソリューションは意外と少ないと感じていました。
ーー課題解決のために、コクヨとしてどのようなアプローチを行っているのですか?
そもそもコクヨは、親の「はたらく」をサポートすると共に、子どもの「まなぶ」、家族の「くらす」をサポートする企業です。
しかし、ステーショナリーひとつ、家具ひとつがどんなに優れていても、それだけで人は幸せになれません。課題解決のためには「点ではなく面で」取り組むことが大切です。
そうした意味において、家族の暮らしを“面”でサポートできるソリューションを開発する必要性を感じたのです。
家族のコミュニケーションを変える
ーーそれが新ブランド「Hello! Family.」誕生につながるのですね。
離れていても家族を身近に感じ、日常の小さなアクションを励まし合ったり感じ取ったりと、4種のIoTデバイスとアプリによって、ポジティブなコミュニケーションを活性化させることを目指しました。
ブランドコンセプトは「家族の“いま”は、もっとつながる」。「ハロー」と気軽に挨拶するように、家族同士の接点を生み出し、“いま”をつなぐ商品群です。
子どもの位置情報をリアルタイムで確認する“点”の見守りに留まらず、スマホを持たないお留守番中の子どもとコミュニケーションがとれたり、親が家にいなくても子どもの「できた!」の瞬間を可視化できたりと、“面”で課題解決に臨んでいます。
ーー商品設計における工夫を教えてください。
成長に応じて子どもの好みは変わっていくため、年齢幅を持たせ、長く使えるような設計にすることを意識しました。既に発売している2商品は、「色合いやシンプルなデザインがよい」と反響をいただいています。
ーーどの家庭にも馴染み、飽きのこないデザインが素敵です。大人も子どもも使いたくなりますね。
また、4商品とそれぞれをつなぐ役割を持つ「ハロファミアプリ」は、基本的に大人が見るものではあるのですが、子どもとのコミュニケーションツールに役立ててほしいという思いもあり、デザインにこだわりました。キャラクターに見立てた頭文字がかわいいと好評です。
“放課後”の概念を変え、子どもの安心と自由を尊重する
ーー「Hello! Family.」の商品群は、相互にコミュニケーションがとれるため、親からの一方的な監視という印象がありません。
家族のコミュニケーションが軸としてあり、子どもの“いま”を知ることで親の心配を払拭したいという思いと同じくらいに、子どもの自由を尊重したいという思いがあります。
「自分の好きなことをやりなさい」と子どもに言う一方で、共働きで保護者が家にいられないからと、学童や習い事で平日の時間を埋める……私も働く親だからこそ「そうせざるを得ない」という気持ちと現状はとてもわかります。しかし、それは同時に、子どもの自由を奪っているのではないかとも思っていて。
子どもが本当にやりたいことを自由に選択できる放課後を与えたい。この思いが根幹にあり、それを実現させるサービスやプロダクトを作っています。私たちは、子どもの放課後の過ごし方そのものを提案したいのです。
ーー多くの保護者が、子どもの自由を尊重したいという思いと、心配する親心のジレンマを抱えているため「Hello! Family.」のコンセプトに共感するKIDSNA STYLEの読者は多いと思います。
子どもは、親が思っている以上に柔軟です。親の価値観を押し付けることなく、子どもの可能性を見守り、家族の“いま”をつなげるサービスを今後も展開していきます。
<取材・執筆>KIDSNA STYLE編集部