重いチェーン入りブランケットで精神疾患を抱える方の不眠が78%改善
不眠に対して効果的かつ安全であり、また日中の症状や活動レベルも改善
カロリンスカ医科大学附属病院の感情障害外来クリニックのエークホルム・ボーディル作業療法士と、臨床神経科学を専門とするマッツ・アドラー医師らの研究グループによって、重り付きの「チェーンブランケット」が重度のうつや双極性障害、全般性不安障(GAD)、注意欠如・多動症(AD/HD)のある患者の不眠に対して効果的かつ安全であり、また日中の症状や活動レベルも改善することが発表された。
この研究は9月15日発行の「the Journal of Clinical Sleep Medicine」にも掲載されている。
多くの精神疾患は不眠症を伴い、双極性障害では70%、うつや不安を抱える成人の60%が不眠症を認め、AD/HDの患者では、不眠症の有病率は6%から80%と推定。認知機能障害や倦怠感、感情面の症状の一因となっている。
全般性不安障害の主症状として不眠症は存在し、患者の60%から70%にみられる。現在の不眠症の主な治療は認知行動療法と薬物治療であるが、約40%の不眠症患者には十分効果がみられていない。
そのことから、不眠症に対する追加の治療として、作業療法士によりチェーンブランケットは使われてきたが、効果的であるという科学的根拠はこれまでほとんどなかった。
そこで今回、チェーンブランケットの不眠症への効果を科学的に証明するため、研究が行われた。
対象者は、重度のうつや双極性障害、全般性不安障害(GAD)、注意欠如・多動症(AD/HD)の診断(複数の診断を含む)を受け、不眠症状がある18歳から77歳までの男女120人。
金属製チェーンが入ったブランケット(重量8kgまたは6kg)を利用したグループと、プラスチック製チェーンが入ったブランケット(重量1,535g)を利用したグループにランダムに分け、4週間の比較研究を行った。
主要評価項目はInsomnia Severity Index:ISI(不眠重症度指数:不眠の治療反応を評価するための精神測定指標)とされ、そのほかにもFatigue Symptom Inventory(倦怠感の評価指標)やHospital Anxiety and Depression Scale(不安とうつ病のレベルを決定するため尺度)を評価。
金属製チェーンが入ったブランケットを使用したグループ(64人)は、第1週目に統計的に有意なISIの改善を示し(4週間でISIの中央値は21.7点→9.2点)、比較研究後の1年間を通じて改善を示した。
プラスチック製チェーンが入ったブランケットを使用したグループ(56人)は、最初の2週間はわずかにISIの改善がみられたが、3週から4週の間にISIの点数が低下(4週間でISIの中央値は21.2点→18.8点)。4週間後、比較研究が終了し、このグループも重いチェーンブランケットに切り替えたところ、ISIの改善がみられた。
12カ月間の非比較段階では、ほとんど全ての被験者で有意にISIの改善を認め、最終的な被験者(112人)の78%で、ISIの点数が睡眠障害として分類されない段階(8点未満)まで低下を認める結果となった。
「チェーンブランケット」は、「ラーゴム・ジャパン」が2016年より正式に輸入、インターネット販売を行っている。4kg・6kg・8kg・10kg・12kg・14kgの中から重さを選ぶことができ、自宅で洗濯が可能。
宅配レンタルにて2週間試した後、新品を購入するか検討でき、全国の精神科病院や療育センター、放課後等デイ、学校の特別支援教育、歯科治療などでも導入が進んでいる。
不眠を改善することが研究によって明らかとなった「チェーンブランケット」を、ぜひチェックしてみては。
問い合わせ先/ラーゴム・ジャパン