妊娠36週は臨月です。いよいよ出産が近づいてきています。この時期の出血はおしるしで出産の兆候かもしれません。妊娠36週の妊婦さんの体調の変化や、ママの過ごし方、赤ちゃんの様子を医学博士で産婦人科医、田園調布オリーブレディースクリニック院長の杉山太朗先生監修のもと解説します。
臨月に入った妊娠36週目の妊婦さんについて詳しく見ていきましょう。
臨月を迎えると、いつ出産のときを迎えてもおかしくありません。そのため母体の状態を確認する妊婦健診が週1回になります。まだ子宮口が開いている人は少ないようですが、妊娠36週になると子宮口が開き始める人もいるため、健診では子宮口の確認をすることがあります。
ほかにも、ノンストレステスト(NST)という検査で、妊婦さんのお腹に器具をつけて赤ちゃんの心拍数や胎動、子宮収縮などを確認します。赤ちゃんはお腹のなかで、寝たり起きたりを繰り返しているため、心拍数を測るのに時間がかかる場合があります。
血圧、尿蛋白検査を行い、妊娠高血圧症候群にかかっていないかの兆候を知ることもこの時期大切です。
産後に母乳が出なくて悩むママも多いようですが、母乳マッサージをしておくと産後の母乳育児がスムーズに進むかもしれません。
乳頭や乳輪がかたいと赤ちゃんが吸いづらいのでおっぱいマッサージで柔らかくしておきます。強い力ではなく、優しくマッサージすることがポイントです。しかし、乳頭を刺激すると子宮の収縮が促されるため、お腹の張りを感じている場合は無理に母乳マッサージをせず、かかりつけ医に相談しながら行うようにしましょう。
妊娠36週はまだ正産期ではないため、この時期に産むことになると早産になります。しかし、出産は着々と近づいています。臨月に入ったら、すぐに病院に行けるようにタクシーの予約をしたり、どのように病院に行くか複数方法を考えておくとよいでしょう。
また前駆陣痛やおしるしの出血など出産が近づいている兆候がいつ表れるかわからないため、外出時は母子手帳を必ず持参し、破水をしたとき用にバスタオルを携帯しておくと安心です。
また、妊娠36週は入院、退院のときに必要な育児グッズを揃えて、新生児のベビー服を水通しをしておくとよい時期です。水通しとは、赤ちゃんが洋服を着る前に1度洗濯をしておくことです。水通しをすることで、洋服の表面ののりが取れて生地が柔らかくなって着せやすくなったり、赤ちゃんへの刺激が軽減される効果があります。
妊娠後期になると、前駆陣痛が起こりやすくなります。前駆陣痛は生理痛のような鈍痛で、痛みの間隔が不規則で、痛みに強弱があるのが特徴です。腰痛や下腹部痛など症状は人それぞれです。
前駆陣痛がきても、すぐに出産になるわけではないので焦らずに、横になったり楽な姿勢で休みましょう。前駆陣痛は、本陣痛と違って休むと落ち着いてきます。不規則だった痛みが規則正しくなり、痛みの間隔がそろってきたら本陣痛になります。痛みと痛みの間が10分を切ったら病院に連絡をしましょう。
妊娠36週をすぎて出血があるときはおしるしかもしれません。
妊娠10ヶ月になると、前駆陣痛や破水、おしるしがきてもおかしくない時期になります。おしるしは、血の混じったおりもののことで、赤ちゃんに会える時が近いという合図です。
おしるしの出血の量は、下着に少量つく人や少量すぎて気づかない人など人それぞれ個人差があります。人によって茶色っぽく見える場合もありますが、おしるしかもしれないと思う出血があっときには病院でみてもらうようにしましょう。
あとつわりが軽減され、食欲が戻ることで食べ過ぎて体重増加につながる妊婦さんも多いようです。妊娠36週のときは、1週間で0.5㎏以下の体重増加が目安です。
食べ物は、大根やごぼう、キノコ類やバナナなどの食物繊維の多い食べ物や、チーズや小松菜、卵や大豆などの鉄分やカルシウムを積極的にとるとよいでしょう。食べ過ぎに注意し、食べ物の質や量を考えて体重管理をすることが大切です。
妊娠36週目は臨月に入り、健診の回数や検査の種類が増え、いよいよ出産が近づいていると感じるママが多いでしょう。妊娠36週、赤ちゃんに会える日は着実に近づいていて、赤ちゃんはお腹の外でも生きていけるくらい内臓機能などが発達したり、皮下脂肪がついてきています。
胎動の感じ方が変わったり、おなかが大きくなり以前より少し下がった、と感じる人も少なくありません。後つわりの症状がおさまって食欲が増す人も増えます。この時期は食べ物の質や摂取量に注意をして体重をコントロールすることが大事です。
臨月に入ると、子宮口が開いてくる人もいたり、前駆陣痛やおしるしの出血など出産が近づいている兆候がいつ表れてもおかしくありません。前駆陣痛と本陣痛の違いやおしるしの症状を知っておくと落ち着いて対応できるかもしれません。
おっぱいマッサージをしたり、生まれてから赤ちゃんが着る洋服の準備などをしながら赤ちゃんに会える日を待ちましょう。
気になることは週に一度になった健診のときに医師や助産師に相談し、安心して出産に望めるとよいですね。
杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
信州大学卒医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。
患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
2019年09月23日
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