【産婦人科医監修】2018年風疹が流行!赤ちゃんを望むならママもパパも風疹予防接種ワクチンを。

【産婦人科医監修】2018年風疹が流行!赤ちゃんを望むならママもパパも風疹予防接種ワクチンを。

2018年の風疹は大人の男性を中心に流行しています。風疹は、妊婦さんに感染するとお腹のなかの赤ちゃんが先天性風疹症候群にかかる可能性があります。妊婦さんは接種できないワクチンなので妊娠を望む女性とパパも風疹抗体をつけるため予防接種を受けることが大切です。風疹ワクチンや費用について解説します。

2018年風疹が大流行

風疹は、春から夏にかけて特に流行する感染症です。しかし今年は1月から残暑が厳しい9月現在まで流行が続き、感染が拡大しています。


そもそも風疹とは?

風疹は3日ばしかともよばれます。風疹にかかると、「発疹」や「発熱」「リンパ節の腫れ」「目の充血」が主な症状として現れます。感染経路は、風疹にかかっている人の咳やくしゃみに含まれるウイルスを吸い込むことで感染する「飛沫感染」と、ウイルスがついた手や物に触れる「接触感染」があります。


風疹は子どもの病気?

風疹の子ども
iStock.com/Mikumi

風疹は子どもがかかりやすい病気というイメージがあるかもしれませんが、大人もかかることがあり、大人になってからかかると症状が長引いたり、関節痛が重いなど症状が重症化することが多いようです。

国立感染症研究所によると、特に今年は、成人男性の感染が増えています。大人の感染が増えている背景として、風疹ワクチンを2回接種していれば予防効果が高まり感染を防げることがほとんどですが、年齢によっては予防接種を全くうけていなかったり、1回しか接種していない人がいます。

これが、ちょうど30代や40代の働き盛りのパパ世代が該当し、その年代で感染が拡大しているようです。ちょうどパートナーが妊娠している可能性が高い年代のため、ワクチン接種が呼びかけられています。

出典:風疹Q&A/国立感染症研究所
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風疹の怖いところとは?

風疹のワクチン接種が近年、強く呼びかけられているのはなぜでしょうか。


潜伏期間が長い

風疹の潜伏期間は、2~3週間と他の感染症に比べて長期間です。

発疹の出る2~3日前から発疹が出たあと5日間程度は感染力があるといわれています。風疹は潜伏期間が長いため、知らない間にウイルスをまき散らしている可能性があります。


感染力が強い

風疹は感染力が強く、保育園や幼稚園で誰かがかかると、集団感染する場合もあり、学校保健法で「発疹が消失するまで」登園を控えるように定められている病気です。家族や友だちなど身近な人がかかると、自分が感染する確率はぐんと上がるので、注意が必要です。


感染に気づけない場合も

風疹の症状は「発熱」し、風邪のような症状がでたり、「発疹」「耳の後ろや後頭部などのリンパ節の腫れ」がでることで異常に気づいて分かることがほとんどです。しかし、「不顕性感染」といって症状は出ていないけれど、感染力を持つ場合があり、この場合、誰からうつったのかが分からないこともあります。


胎児の先天性異常を引き起こす

妊婦さんと子ども
iStock.com/monzenmachi

妊娠初期の妊婦さんが風疹に感染すると胎児に影響がでることがあります。妊娠初期にママが風疹にかかると、ママから胎盤を介して赤ちゃんに感染し、「先天性風疹症候群」になることがあります。

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風疹の予防接種

風疹の予防接種は、妊娠の可能性がある人や妊婦さんは接種できません。これからママやパパになる人で、風疹にかかったことがない人や以前に予防接種を受けていない人、または予防接種歴が不明な人は、積極的に風疹の抗体検査、予防接種を受けましょう。

風疹の予防接種にかかる費用は、一定の条件を満たしていれば自治体より助成があり、抗体検査・予防接種に補助がでます。自治体によっては、パートナーの妊娠を望む男性も風疹の予防接種費用に助成が受けられます。

風疹抗体検査、予防接種費用の助成対象者や、実施期間、詳しい条件は各自治体のホームページなどで確認できます。

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妊娠を望む女性が風疹ワクチンを打つタイミング

妊娠20週頃までの妊婦さんが風疹にかかると、お腹のなかの赤ちゃんが風疹ウイルスに感染し、難聴や心疾患、白内障にかかったり、身体や精神の発達に遅れが出るなど「先天性風疹症候群」になる可能性があります。

2012年~2013年に風疹が大流行したときには、胎内感染した赤ちゃんの45人中11人が亡くなりました。「先天性風疹症候群」が起こる可能性は、妊娠時期によって違いがありますが、初めての妊娠の場合は、妊娠12週までに起こる可能性が高いといわれています。

風疹予防には妊娠前に幼少期も含めて2回の予防接種が効果的です。ワクチンの効果は個人差もあり、完全とはいえませんが、しっかりと2回予防接種を受けることで風疹にかかる確率は低くなり、より高い効果が得られるでしょう。

風疹のワクチン接種は、発熱時や病気にかかってるときは避けましょう。妊娠中や妊娠の可能性がある人は、風疹の予防接種は受けられないため、現時点で妊娠の可能性がない生理中や生理の終わった直後に予防接種を受けるようにしましょう。

ママや子どもだけでなく、パパも風疹予防を

妊娠カップル
iStock.com/Yagi-Studio

風疹は子どもの病気ではなく、大人もかかる病気で、最近は、大人の感染率も増えています。なかでも幼少期に風疹ワクチンの接種の規定が現在とは異なっていた、30代、40代のパパ世代の男性に感染が広まっています。大人が感染すると、子どもより完治まで長引いたり、症状が重症化するケースが目立ちます。

妊婦さんが風疹に感染するとお腹のなかの赤ちゃんが「先天性風疹症候群」になる恐れがあります。

風疹の予防接種は、幼少期も含め2回ワクチンを接種することで効果が高まります。しかし妊婦さんは風疹のワクチンは接種できないので、妊娠前に予防接種を受けておく必要があります。予防接種にかかる費用も補助がある自治体が多いので、それぞれの自治体のホームページや風疹のお知らせを確認してみましょう。

風疹は感染力が強いので、パパがかかるとママに感染して、お腹のなかの赤ちゃんに影響を及ぼす可能性も十分にあります。妊娠を望んでいるカップルは前もって予防接種を受け、風疹の抗体をつけておくことが重要です。


監修:杉山 太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

Profile

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。 患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

※記事内で使用している参照内容は、記事作成の2018年9月6日時点のものになります。

2018.09.06

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