羊水検査とは。受ける際に理解しておくべき知識やリスクなど

羊水検査とは。受ける際に理解しておくべき知識やリスクなど

出生前診断のひとつである羊水検査。実際にどのような検査なのか、痛みはあるのか気になる妊婦の方は多いかもしれません。今回は、羊水検査でわかることや方法、リスクについて詳しく解説します。

笠井靖代(日本赤十字社医療センター)

染色体疾患の可能性がわかる羊水検査

羊水検査とは、出生前診断の一つ。妊婦さんのお腹から子宮の中まで細い針を刺して、赤ちゃんの細胞が含まれる羊水を採取し、赤ちゃんの染色体を調べる検査。ダウン症候群(21トリソミー)や18トリソミー、13トリソミーなどの染色体疾患があるかどうかがわかります。また、ある特定の遺伝子疾患の有無を調べることも可能です。

現在は、妊婦さんの血液で赤ちゃんにダウン症候群、18トリソミー、13トリソミーがあるかどうかがわかる「新型出生前診断(NIPT)」があり、厚生労働省は、「新型出生前診断」の実施体制や妊婦さんへの情報提供のあり方について専門委員会を開いて検討を重ねています。国の検討会が行われるのは20年ぶりとなっています。

出生前診断を受けるにあたり問題となっているのは、検査結果について十分な情報が得られず、妊婦さんが混乱したり、中絶を決めたりするという点です。未認可施設で検査を受けた方でこのような問題が深刻となっています。

NIPTと羊水検査は異なる方法の検査です。NIPTは染色体を直接確認せずに行う非確定検査ですが、血液検査であり流産のリスクはなく非侵襲検査です。一方、羊水染色体検査は全ての染色体を確認し、正常であれば「正常核型」と診断されますし、ダウン症候群であれば「ダウン症候群」と確定診断されますが、流産リスクがある侵襲検査です。

羊水検査で行われる3種類の検査

羊水染色体検査の基本は染色体分染法で、補助診断としてFISH法、また特殊な状況に限定して行われるのが、マイクロアレイ法です。

染色体分染法は、G分染法とも呼ばれ、分裂中の細胞を前処理してバラバラになった染色体を特殊な薬液で染色します。1本の染色体には、濃く染まるバンドと薄く染まるバンドがあり、顕微鏡下で全ての染色体の縞模様のバンドを観察します。染色体の数、構造上の変化、部分的な過不足の有無が明らかとなります。そして正常であれば、「染色体 正常核型」と診断されます。

一方FISH法は、特定の染色体上に蛍光色素のついた抗体を結合させて、その発色の有無で判断する検査です。例えば21番染色体上の特定の領域に結合する蛍光色素を反応させると、正常細胞では2箇所、21トリソミーでは3箇所のシグナルを認めます。分裂中の細胞でなくても判断できるため、数日で結果を出すことができます。染色体の最終診断は、G分染法の結果を待つ必要があります。

マイクロアレイ法は、全く別の方法で染色体の過不足をDNAレベルで詳細に判断する検査です。特殊な先天性疾患の原因を調べる目的で行うことがありますが、一般の出生前診断として行う検査ではありません。
iStock.com/Motortion
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羊水検査の対象となる方は、病院や医師の判断にもよりますが、以下のようになります。

・夫婦のどちらかが染色体異常の保因者
・染色体疾患のお子さんを出産したことがある
・35歳以上の高年齢の妊娠である
・NIPTや母体血清マーカー検査で陽性
・胎児エコーで何らかの染色体疾患が疑われる場合

羊水検査を行う時期は、妊娠15週~17週、遅くとも18週です。費用は15〜20万円。自費診療で、全額自己負担となります。

採取する羊水はおよそ20ml

羊水検査では、まず、エコーで胎児の心拍や位置、胎盤の位置、羊水量、腹壁から羊水腔までの距離などを確認します。穿刺(せんし)する位置を決めて、細い針をエコーガイド下に羊水腔まで進めます。羊水採取はおよそ20ml程度です。

穿刺して羊水採取を行う時間は15~20秒程度。羊水採取後は十分に消毒し、穿刺部にテープを貼り、翌日にはテープを剥がすことが可能です。羊水が採取できない場合には、複数回穿刺を行う場合と、翌週に延期する場合があります。

穿刺後は、エコーで胎児に問題がないことを確認し、1時間程度安静をとり、問題なければ帰宅となります。病院によっては1泊入院を行う場合があります。
iStock.com//DjelicS
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採取した羊水を培養し、分裂中の細胞が得られたら先に説明した染色体分染法を行います。羊水穿刺から最終結果が得られるまでにおよそ2週間かかります。

羊水検査を受ける際に理解しておきたいこと

羊水検査は、染色体疾患がわかる一方で、流産のリスクがあることも忘れてはいけません。そのため、検査を希望する際は、リスクについてもしっかり理解しておくことが大切です。

100%の正常を保障する検査ではない

羊水検査は、100%の正常を保障する検査ではありません。

羊水検査で染色体が「正常核型」となった場合でも、染色体上の微細な構造上の変化はわかりません。また、染色体以外の原因で先天性疾患が見つかることがあります。そのため、羊水検査にも限界があるのです。

検査では採取する羊水中の胎児細胞を培養して数を増やしますが、通常1~2週間かかる培養がうまくいかない場合は結果が出ないケースもあります。

また、万が一、染色体疾患がわかったとしても根本的な治療は行えません。心臓の疾患など染色体異常に伴う合併症をもって生まれた赤ちゃんを出産直後から治療開始できるなど、命を救うことができる可能性や選択肢を広げることもあります。

羊水検査の結果は、妊娠を継続するか、諦めるかという問題にも関わることになるため、検査に伴う全体像をよく理解しておく必要があるでしょう。
iStock.com/Adene Sanchez
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痛みや流産などのリスク

お腹への穿刺は、エコーを使って注意深く観察しながら行います。穿刺によって、出血や破水、子宮内感染により、流産が起こる可能性がおよそ3%あります。

また、ごく稀にですが、微量の羊水が母体の血液中に流れ込んで母体に重篤な反応を引き起こす羊水塞栓症が起こる場合があります。

羊水穿刺の際には少し痛みを感じることがありますが、穿刺に使う針は採血で使う針よりも細い針を使用しています。

羊水検査の選択は慎重な判断を

非確定検査には、エコー検査、母体血清マーカー検査、NIPT(新型出生前診断)や母体血清マーカー検査とエコー検査を合わせたコンバインド検査があります。

これらの検査で陽性、あるいは最初から確定検査を希望する場合に羊水検査を行います。

検査を受ける際は、内容をよく理解し、夫婦で十分に話し合って、夫婦で決定する必要があります。
iStock.com/staticnak1983
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そのため、羊水検査を受ける際は、リスクがあることを踏まえたうえでパートナーや医師とよく話し合い、検査を受けるか否か慎重に判断しましょう。

検査結果をどのように受け止め応じていくのか、夫婦で率直な意見を話し合っておくことも重要。病院の遺伝カウンセリングなども利用し、正しい情報提供を得たうえで判断することが大切です。

監修:笠井靖代(日本赤十字社医療センター)

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笠井靖代(日本赤十字社医療センター)

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日本赤十字社医療センター第二産婦人科部長。 医学博士、産婦人科専門医、臨床遺伝専門医。 日本周産期メンタルヘルス学会理事。1988年、東京医科歯科大学医学部卒業。東京大学大学院医学系研究科修了。米国留学を経て、現職。専門は周産期、出生前相談。専門医としてだけでなく、自ら40歳で出産した経験から、多くの妊婦さんに妊娠・出産への不安や悩みに応えている。NHKの子育て情報番組『すくすく子育て』コメンテーター。著書に『35歳からのはじめての妊娠・出産・育児』(家の光協会)など。

2021年01月07日

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