子育て世帯には嬉しい「幼児教育・保育の無償化」。しかし「無償化」とは言っても、実際には通園にかかる費用全てが無料になるわけではありません。また、兄弟の有無や施設形態などによって、かかる金額や利用条件が異なるケースもあります。今回は幼児教育・保育の無償化と保育料について詳しく説明します。
「幼児教育・保育の無償化(以下、幼保無償化)」は子育て世代への負担軽減を目的に、2019年10月より実施されています。2015年にスタートした「子ども・子育て支援新制度」において教育・保育の場として定義している認可保育園、認定こども園、地域型保育、幼稚園に加え、企業主導型保育を対象に利用費を無償としています。
原則3歳から5歳児を対象としていますが、住民税非課税世帯の場合は0歳から2歳児でも一部の施設を無償で利用できます。上記5つの施設以外にも、認可外保育施設、市区町村が運営している一時預かり業や病児保育などの事業・サービスにおいて、上限額の範囲内で給付金が支給されることが多いです。
幼保無償化は施設ごと事業ごとに細かな利用条件が設定されているため、少々複雑です。子どもがどこに当てはまるのか、上記の図を参考にしてみてください。
幼保無償化を利用するためには、保育の必要性の認定(以下、保育認定)を受けている必要があります。保育認定とは、自治体が必要に応じた保育・教育サービスを提供していくために、保育の必要性や必要量を判定するための制度です。保護者の就労形態、妊娠・出産、疾病、親族の介護状況や、保育の必要な時間などから判定をして、1号・2号・3号のいずれかに区分し、利用できる施設と利用時間を決定します。
満3歳以上で教育を希望する場合は1号認定、保育を必要とする事由(保護者の就労・疾病・妊娠など)がある場合は2号認定となります。満3歳未満で保育を必要とする事由がある場合は3号認定を受けます。保育を必要とする事由があっても、幼稚園の教育を希望される場合は、1号認定を受けることになります。
本来であれば、認可外保育施設などを利用する場合は保育認定を受ける必要はありませんが、幼保無償化の制度を利用する場合は認定を受けなければいけません。
幼保無償化は、対象となる施設・事業によって利用条件などが細かく設定されています。
保育園は、共働き世帯や妊娠、介護などを理由に家庭で保育ができない保護者に代わり子どもを保育する施設です。各自治体で保育認定を受けた0歳から5歳児までの子どもを預かります。
認可保育園の場合は利用費に関しては完全に無償となりますが、認可外保育園の場合は月額3.7万円の上限が設けられています。また、延長保育を実施している認可保育園もありますが、延長保育は無償化制度の対象ではないため、利用費は実費負担となります。
認定こども園とは0歳から5歳児までの子どもを預かり、幼稚園と保育園の機能や特徴を一体化した施設です。保護者は就労の有無にかかわらず、子どもを預けることが可能です。
保育園と同じように0歳から2歳児も利用ができ、3歳から5歳児は幼稚園と同じように昼過ぎころまでを教育時間として、必要な場合は夕方までの時間は保育を実施します。園によっては延長保育も実施していますが、保育園同様に無償化制度の対象外で実費負担となります。
地域型保育事業とは、都市部で問題となっている待機児童問題の対策として、子ども・子育て支援新制度の中で始まった制度です。保育園よりも少人数で、原則0歳から2歳児を対象としています。地域型保育には下記4種類の事業形態があります。
地域型保育は原則0歳から2歳児が対象ですので、無償化となるケースは住民税非課税世帯のみとなります。
企業主導型保育施設とは、企業が従業員の子どもを預かるために設置した保育施設のことを指します。定員の半数までであれば、従業員以外の子どもを受け入れることができます。保護者にとっては、遅い時間や夜勤がある場合でも勤務形態に合わせた保育を受けることが可能であったり、週に数回のみの利用など柔軟に利用することができることが特徴です。
企業主導型保育には従業員の子どもが入る「従業員枠」と、それ以外の地域の子どもが入ることのできる「地域枠」があります。どちらの枠かによって必要な手続きが違いますので、保育園や自治体に確認が必要です。
幼稚園は、保育ではなく教育を目的とした場です。お昼までの教育時間に加え、午後や土曜日、長期休業中の預かり保育などを実施している幼稚園もあります。幼保無償化では、「子ども・子育て支援新制度」の対象・対象外の幼稚園で、利用条件が異なります。
子ども・子育て支援新制度の対象幼稚園であれば、月額上限を2.57万円に利用料は無償となります。新制度に移行しない幼稚園を希望する場合は、保育認定を受ける必要はありません。しかし、必要な手続きや無償化となるための認定が自治体毎に異なりますので注意が必要です。
幼保無償化といっても、全ての費用がかからないわけではありません。自治体や各施設によって違いはありますが、概ね通園送迎費、給食費、行事費などは実費での負担となるようです。また、ここまでにも触れてきましたが、0歳から2歳児クラスに関しては住民税非課税世帯以外は無償化の対象ではありません。
幼保無償化の対象にならないサービスもあります。全国に数多くある「森のようちえん」もそのひとつです。「森のようちえん」とは、自然の中での体験活動を中心にした子育て・保育・幼少期教育の総称で、実際には幼稚園だけでなく、保育園、託児所、学童保育、自主保育、自然学校など活動形態は様々です。
また、認可外保育の届け出がされていない施設や、外国人学校なども無償化の対象にはなりません。
子ども・子育て支援新制度の対象である幼稚園や認可保育園、認定こども園、地域型保育を利用する場合には、特に手続きの必要はありません。保育認定を受け利用契約を各施設と結ぶことで、各自治体から施設へと直接利用費が支払われます。
認可外保育所、一時預かり事業、ファミリー・サポート・サービス事業、ベビーシッター、病児保育などの場合は、保育認定を受けることが無償で利用することの前提条件となります。これらのサービスの利用費は一度保護者が支払い、後で各自治体に請求するようになっています。
0歳から2歳児が原則として無償化制度の対象外となるのは、第2子以降の子どもあっても同様です。しかし認可保育園、認定こども園などを利用する子どもが家族に2人以上いる人は、第2子は半額、第3子以降は無償となります。
自治体によっては第1子が保育園を卒園している年齢でも、小学6年生までは在園児と同等にみなす場合もありあすので、一度確認してみるとよいでしょう。また、年収が360万円未満相当世帯の場合も、第1子の年齢に上限を設けておりません。
子どもを保育園や幼稚園に預ける保護者は、保育料とどのように向き合っていたのでしょうか。
家計の負担を考えると、保育料がどのくらいかかるのか気になりますよね。幼保無償化は、自治体によって制度の詳細がかなり異なるようです。子どもを保育園や幼稚園に通わせたい保護者は、お住いの地域の制度や実際どのくらいのお金がかかることになるのか、詳しく調べてみてはいかがでしょうか。
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