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2017年06月19日

子どもの教育資金。専門家に聞く「教育費の目安や比較、学資保険の特徴」

子どもの教育資金。専門家に聞く「教育費の目安や比較、学資保険の特徴」

ファイナンシャルプランナー伊達有希子さんの連載5回目です。今回は、教育費の目安や、学資保険の特徴や活用方法を知り、子どもの教育資金をどのような方法で準備していくのが良いか教えていただきます。

伊達有希子(ファイナンシャルプランナー)

なぜ学資保険に入るのか?

妊娠すると、これからの生活を想像して雑誌やインターネットで情報を探す方は多いのではないでしょうか。

そんな私も第一子妊娠中に、雑誌を読んだり、子どものグッズを扱うお店でフリーペーパーをもらった経験があります。もちろんインターネットで役立つ記事を探すのは日常でした。

そんなとき、ファイナンシャルプランナーになってから疑問だったことの1つに「子どもが生まれると、なぜみなさん学資保険に入るのか」というものがあるのですが、その答えが少しわかった気がします。

妊娠中や子育中に目にする情報には、実に多くの学資保険の広告があるのです。

主に「子どもにかかる教育費を“お得”に貯めよう」という内容が書かれていて、なかには相談すると商品券がもらえるというものも……。

子どもが生まれるタイミングで保険を考え直す、教育費について考え始めるのはとても良いことだと思います。

でも「なんとなくお得そうだから」「みんなが入っているから」という理由で、学資保険への加入を決めることには疑問が生じます。

学資保険の特徴を知った上で、ご自身の生活に合うかどうか見極めてから1つの選択肢として「学資保険」について改めて考えてみましょう。

学資保険の特徴とは

学資保険とは、子どもの教育資金の準備を目的とした保険です。夫(もしくは妻)を契約者、子どもを被保険者として加入し、夫(もしくは妻)に万が一のことがあった場合、以後の保険料は支払う必要がなくなりますが、

満期保険金は予定通り受取ることが出来るというものです。

もちろん、契約中に何事もなかったとしても支払った保険料は、教育資金として満期日に予定していた金額を受取ることができます。

子どもが18歳(場合によっては17歳)になるタイミングで満期になり、一括で満期保険金を受取るように契約することが多いようですが、中には小・中・高・大、と子どもの成長に合わせて小分けにお祝い金が出るものもあります。

また、契約者が同一などの条件を満たせば二人目の加入は割引になる“兄弟割引”という制度もあるようです。

学資保険を考える際には、「利率」や「返戻率」というキーワードがよく出てきますので、今一度その意味を確認しておきましょう。

予定利率

保険には「予定利率」というものが決められていて、保険の加入時にある一定の運用利回りを契約者に約束します。

保険会社は運用利回りを見込んで、その分を保険料から割り引いているのですが、

現在の予定利率は最低水準となっています。

つまり同じ保険に加入する場合、予定利率が高ければ安い保険料で済むところ、これから加入する場合は予定利率が低いことが予想されるので割高な保険料になる可能性が高いということです。

返戻率

もう1つ知っておいていただきたいのが「返戻率」という言葉です。

将来受取れる満期金を、払い込む保険料総額で割って、100を掛けたものを返戻率といいます。

返戻率が100%を超えていれば、払い込んだ保険料総額よりも将来受取れる満期金が多いということになります。そのため「お得」という言い方も出来なくはないのでしょう。

ただし、返戻率は保険料の払込期間などで「お得」に見せることが出来ます。一見魅力的ではありますが、注意が必要です。

学資保険があれば十分なのか?

少し話が逸れますが、子どもが生まれると現行の制度では0歳から中学校卒業まで児童手当(こども手当)が受取れます。

【対象年齢 毎月の支給額】

・0歳〜3歳未満   15,000円
・3歳〜小学生   10,000円
(第3子以降は15,000円)
・中学生〜中学校卒業まで 10,000円

この児童手当を利用すると仮定して学資保険の保険料を10,000円〜15,000円とする場合が多いようですが、それでは本末転倒です。

学資保険は、本来子どもの教育資金の準備を目的に加入するのですから、

教育費がいくらかかるのかを把握する方が先ではないでしょうか。

学資保険に加入していても、必要な教育費の額と現在貯めている額にかなりの差があり、実際の教育資金が全然足りていない方がいらっしゃいます。

このような場合、「学資保険に入っているから教育資金は安心」とは言えないでしょう。

子どもの教育資金はいくらかかるのか

2015年12月に文部科学省が公表した『結果の概要ー平成26年度子供の学習費調査』を元に、おおまかな費用だけ下記にまとめてみました。

結果の概要ー平成26年度子供の学習費調査

【学習費総額】

・幼稚園
公立  222,264円
私立  498,008円

・小学校
公立  321,708円
私立 1,535,789円

・中学校
公立  481,841円
私立 1,338,623円

・高等学校(全日制)
公立  409,979円
私立  995,295円

大学の費用については、公益財団法人 生命保険文化センターが公表している『大学生にかかる費用はどれくらい?』を元に、まとめてあります。詳しい情報が必要な方は、情報元を参照して下さい。

公益財団法人 生命保険文化センター

【学習費総額】

・国立大学 5,390,000円

・私立文系大学 6,920,000円

・私立理系大学 8,220,000円

・私立家政、芸術、体育科大学 7,930,000円

・私立医歯系大学 25,400,000円

・私立短期大学  3,740,000円

ライフプランに合わせた保険活用を

保険を検討する場合、まずは将来のライフプランのシミュレーションが不可欠です。

この先、どのタイミングでどのくらいの資金がかかるのかを知らずに商品の善し悪しで加入してしまうと、加入した保険を途中で解約せざるを得なくなるかもしれません。

学資保険は短期で解約の場合、ペナルティがあり、解約返戻金が保険料払込総額を下回る可能性もあります。「お得」と思って加入したのに、かえって損をしてしまうかもしれないのです。

また、先ほど触れたように保険の予定利率は現在最低水準です。将来、景気がよくなった場合、他の金融商品の方が有利なこともあるでしょう。

学資保険は子どもが小さいうちから大学までの費用を見据えて、長期で保険会社にお金を預けることになりますが、ときにそれはリスクにもなります。

目先の損得勘定に振り回されず、子供の教育資金をどのような方法で準備していくのがよいか、改めて考えてみてほしいと思います。

執筆:伊達有希子

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1982年茅ヶ崎生まれ。2004年専修大学英米文学科卒業後、呉服屋に入社。AFP取得をきっかけに、2009年企業系FPとして保険会社に転職のち、2013年にyou&me partners(ユメパートナーズ)設立。2016年には起業家サポートとしてFPコモンズのサイトを立ち上げる。資格:CFP・1級FP技能士 趣味:旅行・食べ歩き

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