【産婦人科医監修】授乳でちくびに傷ができる原因は?対処法や正しい授乳姿勢について解説

ちくびが切れる、水ぶくれができないために

【産婦人科医監修】授乳でちくびに傷ができる原因は?対処法や正しい授乳姿勢について解説

授乳の際にちくびに傷ができてヒリヒリしたり、切れる、水ぶくれができることがあるかもしれません。痛みがある場合は授乳をつらく感じるママもいるでしょう。今回の記事では、授乳でちくびに傷ができる原因や対処方法、正しい授乳姿勢について解説します。

授乳でちくびに傷ができてヒリヒリ痛む

赤ちゃんが生まれると、すぐに始まる授乳。赤ちゃんが生まれて間もない新生児期は、ママも赤ちゃんもお互いに授乳に慣れていないことから、ちくびに痛みを感じたり、傷ができて切れることもあるかもしれません。

一度できてしまった傷は、なかなか治らず、授乳のたびにヒリヒリ痛んだり、切れたりや水ぶくれになる場合もあるでしょう。とはいえ、授乳をやめるわけにいかずに悩むママもいるのではないでしょうか。

今回は、授乳でちくびに傷ができる原因や対処方法のほかに、正しい授乳姿勢について解説します。

授乳でちくびに傷ができる原因

赤ちゃんに授乳する際に、ちくびがヒリヒリ痛かったり、傷ができて切れたりするのはどのような原因が考えられるのでしょう。授乳でちくびに傷ができる原因について解説します。


授乳回数が多い

授乳回数が多い
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生まれて間もない赤ちゃんは、ママのおっぱいを飲む力も弱く、一度に飲める量も少ないです。そのため、新生児期の授乳は、授乳回数が多くなるだけでなく、授乳時間も長くなるでしょう。

1日に何度も授乳をするため、ちくびがヒリヒリと痛んだり、場合によっては傷ができてしまうことがあります。


母乳の分泌量が少ない

赤ちゃんを出産すると、さまざまなホルモンが影響して母乳が作られます。とはいえ、出産後、すぐに出始めるのが当たり前ではありません。

なかには妊娠中からじんわりと母乳が分泌されるママもいますが、出産後に母乳の分泌がはじまるママがほとんどでしょう。母乳の分泌には個人差があり、少ないと授乳に時間がかかることから、ちくびに痛みを感じ、切れる場合もあります。


赤ちゃんの吸う力が強い

赤ちゃんが成長しておっぱいを吸う力が強くなると、母乳の分泌が追いつかず、授乳に痛みを感じたり、ちくびが切れることがあります。

生後5カ月を過ぎると、少しずつ乳歯が生え始める赤ちゃんもいるでしょう。乳歯が生え始める時期は、赤ちゃんによってさまざまですが、授乳の際にちくびを噛まれて傷ができてしまうママもいるかもしれません。


授乳方法や姿勢が悪い

授乳方法や姿勢が原因で、ちくびに傷ができてしまう場合もあります。本来、正しい方法で授乳をすると、授乳の際に痛みをともなうことはありません。

授乳中に痛みを感じる場合は、授乳方法が間違っていたり、姿勢が悪いということが考えられます。痛みを感じたまま授乳を続けていると、傷や水ぶくれができることもあるため注意が必要です。

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授乳でちくびに傷ができたときの対処法

ちくびに傷ができると、ヒリヒリ痛んで授乳がつらくなってしまうママもいるかもしれません。ちくびに傷ができたときは、なるべく早く対処するようにしましょう。傷の対処方法について解説します。


保湿剤や薬をちくびに塗る

授乳時の乳首ケア
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ちくびに傷ができたときは、まず一番に傷を治すことを考えましょう。保湿クリームや薬を患部に塗り、傷が潤った状態にしておくと治りが早くなります。

保湿剤や薬は薬局などでも手に入りますが、赤ちゃんの口に入っても安全な成分を選ぶことが大切です。自分で選ぶのが心配な場合は、医師に相談して処方してもらうとよいでしょう。


乳頭保護機を使う

保湿剤や薬のほかに、ちくびを覆って保護してくれる乳頭保護器というグッズがあります。乳頭保護機は、ニップルシールドと呼ばれることもあり、哺乳瓶やおしゃぶりと同じように赤ちゃんが吸いつきやすいように作られています。

赤ちゃんによっては、ママのちくびの形や硬さとの違いを感じて嫌がったり、混乱してしまう場合もあります。傷の一時的な対処として使うようにしましょう。


ミルクに変える

授乳がどうしてもつらい場合は、ちくびの傷が治るまでミルクに変えるというのも一つの方法です。

哺乳瓶は、さまざまな種類があるため、赤ちゃんの成長にあったちくびや容量を選ぶことが大切です。ミルクは母乳とは違うため、回数や容量、温度などにも気をつけましょう。

正しい授乳姿勢のポイント

授乳に痛みを感じている場合は、授乳姿勢を見直す必要があります。正しい授乳姿勢について解説します。


赤ちゃんの抱き方

赤ちゃんの抱く際は、両手でしっかり支え、おっぱいに対して体の向きが平行になるよう体の向きに気をつけましょう。その際、赤ちゃんの体がねじれてしまわないようにすることが大切です。

抱き方には、ほかにも縦抱きや、フットボール抱きなどさまざまな種類があります。ママや赤ちゃんにとってやりやすい方法を見つけていきましょう。


ちくびの含ませ方

赤ちゃんの口にちくびを含ませるときは、乳輪まで深くくわえさせることが大切です。ちくびの含ませ方が浅いと、授乳に痛みをともなったり、ちくびに負担がかかって傷ができてしまうことがあります。

ちくびの向きや高さを赤ちゃんの鼻先にあわせて、赤ちゃんが口を大きくあけたタイミングを見計らうと、深く吸いつきやすいかもしれません。


ちくびの離し方

赤ちゃんへの授乳では、ちくびの離し方にも注意が必要です。授乳後は、ママの小指を使って、赤ちゃんの口を優しく広げてから離すようにすると、ちくびに負担がかかりにくいでしょう。

授乳に慣れないうちは、ちくびの含ませ方が浅いこともあるかもしれません。一度赤ちゃんの口をちくびから離し、再度ちくびを深く含ませるようにすることが大切です。

ちくびのトラブルは工夫して対応しよう

授乳方法を工夫しよう
iStock.com/monzenmachi

授乳の際に、ちくびがヒリヒリ痛んだり、傷ができたりする原因には、授乳回数や時間、母乳の分泌量などの影響が考えられます。ちくびが切れるなど傷ができた場合は、傷が治るように患部にクリームや薬を塗ったり、乳頭保護機や哺乳瓶を使うなど工夫しながら早めに対処することが大切です。

また、ちくびのトラブルには、ママや赤ちゃんの授乳姿勢が影響する場合もあります。快適に授乳ができるよう、正しい授乳姿勢を身につけましょう。


監修:杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

Profile

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。 患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

2019年10月27日

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