妊娠中や産後の痔はなかなか相談しづらく受診が遅れがちですが、実は多くの女性が妊娠・出産による痔に悩んでいます。今回は妊娠・出産でなぜ痔になりやすいのか、原因と対策、治療法について解説します。
一言で痔といっても種類は実にさまざま。実は日本人の3人に1人は痔といわれるほどポピュラーな病気ですが、自覚していない、または積極的に治療をしていない場合もあるのではないでしょうか。
妊娠中は、女性ホルモンの関係で腸の働きが弱まったり、大きくなった子宮が肛門を圧迫して便秘や痔になりやすいです。また、分娩時のいきみで肛門に更に負担がかかり、痔が悪化するケースはよくあります。
そもそも痔になるメカニズムは、
痔にもいくつかの種類があります。妊娠中や産後になりやすい痔についてご紹介します。
いきみや血行不良などにより、肛門にいぼができる症状で、痔核(じかく)ともいいます。痔全体の約50%がいぼ痔といわれ、肛門の外側にできる場合は痛みを伴います。
一方、肛門の内側にできた場合は痛みがなく、気が付きにくいことも特徴のひとつ。排便の際に、痔が肛門の外に飛び出す、出血などの症状があります。
妊産婦が患う痔の95%はいぼ痔といわれており、痔が悪化し、肥大した場合は手術が必要になることもあります。
痔ろうは、下痢などの際に肛門のまわりにばい菌が入ることで炎症を起こし、膿を出すおできができます。悪化すると、直腸と皮膚がつながるトンネルができ、排便のたびにそのトンネルに細菌が入り炎症を起こします。
薬では治療できないため、早期での受診と手術が必要です。
「痔になったなんて誰にも言えない」とひとり悩んでいる方もいるかもしれませんが、妊娠中、とくに妊娠中期と妊娠後期に痔を発症する女性の割合は全体の85%を占めています。
妊娠や出産により痔になってしまうのは不可抗力ですが、少しでも痔になりにくい生活習慣を取り入れることは重要です。
とくに妊娠後期は、ホルモンバランスの変化により便秘と下痢になりやすく、これらが刺激となり、痔を引き起こしてしまいがちなので、まずは便秘と下痢にならないよう以下のことを心がけましょう。
妊娠、出産による痔は一時的なもので、基本的には産褥期を経て、2か月前後で自然治癒していきます。
とはいえ、トイレに行くたびに出血したり痛みを感じたりする場合は、悪化する前に、生活習慣の改善にプラスして、薬を使って早めに治療をおこなうことをおすすめします。
痔があるのかどうかは自分では確かめづらいものですが、目安として、
妊娠中・産後のマイナートラブルの中でもなかなか人に相談しづらく、つらい痔ですが、85%以上の妊婦が経験していることからも、多くの女性が悩んでいることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
妊娠中はホルモンバランスの変化による便秘と下痢や、うっ血などが原因でいぼ痔になりやすくなりますが、生活習慣の改善で自然治癒が期待できます。
ただし、ひどい痛みや出血が続く場合は産婦人科を受診しましょう。痔は決して恥ずかしい病気ではありせんし、妊娠・出産による痔が多いことは医師が誰より分かっているため、受診を躊躇する必要はありません。
杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
信州大学卒医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。
患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
2021年04月21日
Twitterフォロワー10.8万人!漫画『コウノドリ』医療監修&今橋先生の中の人としておなじみの新生児科医・今西洋介先生に、乳児を育てるママや妊婦さんがいだきがちな不安をテーマにさまざまなお悩みに回答していただきます。
ふらいと先生(今西洋介)
子どもの成長は、たとえわずかでも嬉しいもの。しかし、我が子が順調に成長しているかどうか気になる保護者の方もいるのではないでしょうか。そこで、年齢別の平均身長や成長曲線などのデータを始め、身長が伸びるメカニズム、伸びやすい時期、低身長の基準などを上高田ちば整形外科・小児科 院長の千葉直樹先生に監修していただきました。
千葉直樹(上高田ちば整形外科・小児科)
子どもの足の裏に魚の目? もしかするとそれは魚の目ではなく、ミルメシアと呼ばれる感染症かもしれません。耳なじみの薄いミルメシアとは一体どんな病気なのでしょうか。魚の目とミルメシアの見分け方、対処法や治療法と一緒にご紹介します。
小西真絢(巣鴨千石皮ふ科)
出産後に食欲がなくなるママもいるようです。今回の記事ではその原因と対処法について考えました。また、食欲がなくなることで注意したいことや、実際のママたちの体験談も合わせてお伝えします。
笠井靖代(日本赤十字社医療センター)
もし赤ちゃんが蚊に刺されてしまったらどう対処したらいいのでしょうか。蚊に刺されたときの注意点や気になる症状についてお伝えします。また、赤ちゃんが蚊に刺されないようにするための予防法やママたちの体験談も合わせてご紹介します。
保科しほ(医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック)
読者からお悩みを募集し、子育て、教育、健康など各分野の専門家にご回答いただく人生相談コーナー。今回は丸の内の森レディースクリニック院長の宋美玄先生が、生理中の不調に対するお悩みに答えます。お悩みはオンラインで随時受付中!
宋美玄(ソンミヒョン)
授乳中、食べるものに気を付けている方は多いのではないでしょうか。母乳の質は、食事内容の影響を受けるとも言われています。今回は、授乳中の食事の母乳への影響や注意点について知識を得られる、医師監修記事をまとめました。
大人と比べてとてもデリケートな子どもの肌。保護者は、さまざまな肌トラブルの症状や予防について知る必要があるかもしれません。今回は、夏頃にかけて多い子どもの肌トラブルについて知識を得られる、医師監修記事をまとめました。
男の子を持つママにとって子どもの「おちんちん」の悩みはなかなか相談しづらいもの。しかしネットでは「ムキムキ体操」というキーワードが話題となるなど、多くの方が真剣に考え、悩んでいる問題といえるでしょう。今回は「子どもの包茎」の症状と、治療法について解説します。
山高篤行(順天堂大学医学部付属順天堂医院 )
子どもの急な発熱やのどの痛み、もしかしたら「溶連菌感染症」かもしれません。実際に自分の子どもがかかった経験がなければ、詳しい症状などを知らない人も多いのではないでしょうか。「猩紅熱(しょうこうねつ)」ともよばれる、溶連菌感染症の原因と症状、特に流行しやすい時期、検査方法、注意したい合併症、治療方法や家庭でできる対応、登園目安や予防法などを医師に伺いました。
眞々田容子(クローバーこどもクリニック)
保育園や幼稚園で冬場に集団流行しやすい病気のひとつ「おたふく風邪」は就学前の子どもがかかりやすい病気のひとつ。今回はおたふく風邪の流行時期や症状、そしてワクチンの重要性とホームケアや登園許可、予防法などについてご紹介します。
金髙太一(おひさまクリニック)
非常に強い感染力を持ち、空気、飛沫、接触など、人から人へとうつっていく麻疹(はしか)ウイルス。免疫を持っていなければ発症率はほぼ100%といわれています。今回は麻疹(はしか)と、混同されがちな風疹の症状や原因、感染経路や予防方法などについて解説します。
金髙太一(おひさまクリニック)