【耳鼻科医監修】子どものアレルギー性鼻炎の検査と費用

何科に行くべき?検査項目や検査方法について

【耳鼻科医監修】子どものアレルギー性鼻炎の検査と費用

子どもの鼻水や鼻づまりが続いているのは、もしかしたらアレルギー性鼻炎かもしれません。アレルギー性鼻炎の原因と症状、何科を受診するのかをご紹介します。また、子どものアレルギー性鼻炎の検査方法や費用、検査項目、検査結果の見方についても詳しく解説します。

アレルギー性鼻炎とは

アレルギー性鼻炎は、年間を通して症状が出る「通年性アレルギー性鼻炎」と一定の季節になると症状が出る「季節性アレルギー性鼻炎」があります。アレルギー性鼻炎の原因や症状を詳しく見ていきましょう。


原因

子どもの鼻水とハウスダストや花粉
© studiolaut – Fotolia

アレルギー性鼻炎は、ハウスダストダニ花粉などが原因となっていることがほとんどです。

また、交通量の多い道路沿いや工場などが近くにある場所は空気が汚れていることがあり、子どものアレルギー性鼻炎の原因ともなりえるようです。アレルギー性鼻炎が遺伝するかは明確に立証されてはいないものの、ママやパパ、きょうだいにアレルギーを持っている人がいると、子どもがアレルギー性鼻炎になりやすいといわれています。


症状

アレルギー性鼻炎ではアレルギー物質に反応して鼻水くしゃみ鼻づまりなどを起こします。何度も繰り返す、くしゃみと水っぽい鼻水が特徴です。

なかでも「季節性アレルギー性鼻炎」の場合は、鼻水や鼻づまりの症状のほかに目の充血や目のかゆみ、咳、頭重感などの症状が出ることがあります。鼻づまりの症状が重症化すると、においが感じられなくなったり、口呼吸になる場合もあります。

アレルギー性鼻炎は、症状のうちのひとつだけが現れる場合もあれば、すべての症状が一気に出る人もいて症状の重さは個人差があります。

アレルギー性鼻炎が悪化すると

子どものアレルギー性鼻炎が悪化すると鼻づまりが苦しく、睡眠不足になることがあります。睡眠不足になると、集中力の低下にもつながります。また、気管支炎や副鼻腔炎、中耳炎などを合併することも少なくありません。症状が治まるまで時間がかかるケースが多いので、早めの治療が大切です。

アレルギー性鼻炎は何科を受診する?

耳鼻咽喉科の器具
© Hassyoudo – Fotolia

子どもにアレルギー性鼻炎かもしれないと思う症状が見られたら、小児科や耳鼻咽喉科、アレルギー科など何科を受診したらよいのでしょうか。まずはかかりつけの小児科もしくは耳鼻咽喉科を受診しましょう。

くしゃみや鼻水、鼻づまりなど鼻の症状が強く出ているときには、耳鼻咽喉科科を受診するのもよいでしょう。何科を受診するのがベストか迷ったら、小児科を受診してから症状に応じて耳鼻咽喉科やアレルギー科を紹介してもらうのもひとつの手です。

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子どものアレルギー性鼻炎検査

アレルギー性鼻炎の検査には、「問診」「鼻鏡検査」「鼻汁好酸球検査」「血液検査」などで検査します。


問診

「問診」では、年齢、性別、症状が始まった時期、症状の種類と程度、過去に喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性の病気にかかったことがあるかや、家族にアレルギーの病気を持ってる人がいるかなどを詳しく聞きます。


鼻鏡検査

「鼻鏡検査」は、鼻をみる機械を使って鼻の粘膜の状態を直接見ます。子どもが怖がらないように、なぜこの検査をするのかを説明したり、すぐ終わることを声かけしてあげるとよいでしょう。

「通年性アレルギー鼻炎」の場合は、鼻の粘膜が白っぽく、全体的に腫れていることが多いため、鼻の粘膜の状態をみて判断します。


鼻汁好酸球検査(びじゅうこうさんきゅうけんさ)

アレルギー性鼻炎の人は、好酸球が増える傾向があるため「鼻汁好酸球検査」では、検査項目として白血球の一種の好酸球という細胞の数が鼻水のなかに増加しているかを調べます。


血液検査

「血液検査」で、アレルギーの原因物質を特定します。検査結果が出るまでに1週間程度かかります。

検査結果は、アレルギー反応が出た検査項目の欄に、アレルギー反応の強いもののラインが長く引かれていたり、反応の強さに応じた数のマークが並んでいるなどの形式で表示されます。検査結果が一目でわかりやすいため、子どもにアレルギーの原因物質について説明するときにも便利です。

血液検査では注射を使うため痛みも生じることもあり、怖がる子どもが少なくありません。しかし、検査できる項目が多く、また検査結果がわかりやすいという利点があります。アレルギー物質を調べる血液検査の検査結果は、手元にあると、鼻炎の症状が出たときに風邪か、アレルギー性鼻炎かを見分ける目安ともなります。

また、イムノキャップ検査といって8項目(ダニ・猫・犬・ゴキブリ・スギ・カモガヤ・ブタクサ・ヨモギ)であれば20分で調べることができる検査もあります。指先で針をさし少量の血液で調べることができます。

幼稚園や保育園の入園や進級時に、このアレルギー血液検査の検査結果を求められることや、かかりつけ医以外の医療機関を受診するときにも子どもの体質を説明するのに役に立ちます。子ども本人と相談をして一度は受けておくとよいでしょう。


そのほか

ほかにも、可能性のあるアレルギー物質を検査項目とした「皮膚テスト」などを行う場合もありますが、皮膚テストで可能な検査項目の種類が少なく、行っている医療機関は多くありません。どちらかというと子どもより、赤ちゃんに適した検査です。

アレルギー性鼻炎の費用

アレルギー性鼻炎の検査にかかる費用は、病院によっても異なり、検査方法や検査項目の数によって費用が変わってきます。一般的にアレルギーの血液検査は、5000円前後で行っている病院が多いようです。

しかし子どもや赤ちゃんが検査を受ける場合、健康保険証があれば、乳児医療証が発行されています。保険適用内であれば子どもは費用負担なしで検査ができます。

アレルギー性鼻炎は早期受診と検査をしよう

赤ちゃんの鼻
kai keisuke/Shutterstock.com

アレルギー性鼻炎は、「通年性アレルギー性鼻炎」と「季節性アレルギー性鼻炎」と種類があり、ハウスダスト、ダニ、花粉などさまざまな物質が原因となっています。アレルギー性鼻炎の症状や程度には個人差があります。

子どもの鼻水や鼻づまりが少し続いているだけとそのままにしておくと、症状が悪化して副鼻腔炎や中耳炎などの合併症を引き起こしたり、睡眠不足や集中力の低下につながるなど、子どもの生活に支障がでてくるかもしれません。

子どもがアレルギー性鼻炎かもしれないと思っても、何科を受診したらよいのか迷うときはまずはかかりつけの小児科を受診し、症状に応じて耳鼻咽喉科やアレルギー科などの専門家を紹介や受診するとよいでしょう。

アレルギー性鼻炎は、いくつかの検査を経て原因の特定や診断がされます。また、アレルギー性鼻炎は、治療に時間がかかる場合が多く、重症化させないためにも子どもに疑わしい症状が見られたら、早めの受診、検査がおすすめです。


監修:三塚沙希(エムズクリニック白金 院長)

Profile

三塚沙希(エムズクリニック白金)

三塚沙希(エムズクリニック白金)

エムズクリニック白金 院長。 わかりやすく、丁寧な診察を心がけ、お子様からお年寄りまで安心してかかれるクリニックを目指している。

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