ゲームもテレビも“勉強”!?  灘中高→東大芸人の机に向かわない勉強法

ゲームもテレビも“勉強”!? 灘中高→東大芸人の机に向かわない勉強法

将来のことを考え、勉強を好きになってほしいと願う保護者も多いでしょう。しかし「勉強しなさい」と言うだけで、子どもは勉強に向かうようになるのでしょうか。灘中・灘高から東大を卒業したお笑い芸人「あかもん」の澤井俊幸さんに、親が子どもの勉強について抱える悩みや疑問を聞いてみました。

ゲームや漫画、動画など、子どもが遊んでばかりいると不安になってしまうのが親心というもの。しかし、遊びをやめさせて「勉強しなさい」と嫌々やらせるよりも、自分から机に向かって楽しく勉強してもらうには、親はどのような接し方をすべきなのでしょうか?

今回は、読者から寄せられた子どもの勉強に関する数々の疑問やお悩みを、関西の名門である灘中学を受験し、灘高・東大を卒業したお笑い芸人、澤井俊幸さんに実体験とともに答えてもらいました。

勉強と遊びに“境界線”を引いているから勉強嫌いになる

  
子どもが勉強を好きになれず、宿題しなさいと言っても聞かずにゲームや動画ばかり見ています。そもそも、どういう部分におもしろさを感じて勉強を好きになれるのでしょうか

まず僕が伝えたいことは、「勉強をしなさい」と言っても子どもが勉強しない理由は、親御さんたちは「勉強」を真面目に捉えすぎているからなのではないかということです。

「勉強=机に向かい、ノートを開いて問題を解くこと」と認識していると、勉強のハードルがどんどん上がり、子どもも勉強嫌いになっていってしまいます。僕の経験から言えば、「勉強と遊びに境界線を作らない」ことが大切だと思います。

僕が最初に勉強におもしろみを感じたのは、自分の好きなまんがやドラマにリンクする部分を見つけられたからです。普段の生活でただ楽しくてやってることが勉強につながるのがいちばんいいですよね。

たとえば、僕の母はドラマが好きでよく一緒に観ていたのですが、ストーリーを楽しんでいるうちに自然と言葉のボキャブラリーが増えていきました。塾に通い始めて国語の問題を解くときも、ドラマで語彙力がついていたおかげで、ほとんど苦労はしなかったですね。
 
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母の趣味の影響はほかにもあります。お絵かきロジックやクロスワードなどのパズル雑誌が好きで、僕も横で一緒に解いていたのが、問題を解くことへの抵抗感がなくなった理由のひとつだと思います。

あとは、ゲームもずっと好きで、「スーパーマリオブラザーズ」や「星のカービィ」のようなアクションもよくやっていましたが、いちばん好きだったのが「ドラゴンクエスト」。

RPGゲームは、ラスボスやゴールにたどりつくまでのヒントを登場人物からもらって進んでいきます。実はたくさんの文章を読まないと前に進めないし、謎解き要素もありますよね。これによって読解力も身に付き、問題を解くときにもすんなりと始めることができました。

ほかにも、親戚からのおさがりでもらった電卓の形をした計算機のおもちゃでよく遊んでいて、結果的にそのおかげで計算力が身に付きました。

そんなふうに、遊びの中で楽しくてやってきたことが、気づけば勉強につながるパターンがすごく多かったですね。「問題が分かる」ということが自信につながり、勉強が好きになっていきました。
 
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暗記に苦手意識のある方も多いと思いますが、自分の好きなものなら自然と覚えていることはよくありますよね。

僕は「ポケモン世代」ですが、この世代の子どもの多くは、歌と一緒に、最初のポケモン151種類をすべて覚えていました。この151種類という数は、元素記号の118個、県庁所在地の47個よりも多いんです(笑)。だから、「覚えるのが苦手」という方でも、好きなものは自然と覚られるんです。

「じゃあ興味がないものの場合は?」と思いますよね。

僕の場合は、計算機の形をした電卓のおもちゃで「いかに心を無にして正確さと速さを求めて計算を解けるか」ということに夢中になっていたことが大きかったと思います。それが集中力につながったし、受験勉強がしんどいときでも「これはもう淡々とやるものなんだ」と思ってやることへの心持ちにつながったかと思います。

同時に、テストで点数を稼ぐ達成感はモチベーションにもなりました。これも見方を変えると、ゲーム感覚だったと思います。
 
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机に向かう両親の習慣が子どもの勉強への抵抗をなくす

   
子どもに勉強を自主的にやってもらえるようになるにはどうすればよいのでしょうか。子どもの集中力が続かなかったり、飽きてやめたがっていたりするときにどう声をかけていいのか困っています

両親は僕に一度も「勉強しろ」と言ったことがありません。いわゆる早期教育も受けていませんでした。電車に興味を持って運転席の後ろに張り付いたり、テレビやゲームに夢中になったり、本当にのびのびとした幼少期を送っていましたね。

特にテレビは大好きになり、当時夢中で観ていたバラエティ番組の『めちゃ×2イケてるッ!』のプロデューサーが灘中出身と知り、灘中学への受験を決めました。東大を目指したのも、テレビ局員になりたかったからです(笑)。

こうした遊びの毎日の中でも、僕が自主的に机に向かって勉強をするようになった理由の一つには、両親が、日常的に興味のあることを学んだり本を読んだりしていたことがまず大きいかと思います。

机に向かう親の背中を毎日のように見ていたおかげで、何かを学ぶことへの抵抗感は最初からありませんでしたし、「これがふつう」という環境ができていたのが大きかったですね。
 
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そう聞くと、「親も東大なんでしょう」なんて思われそうですが、そんなことはなく、大学には進学してません。だけど、僕が興味を持ったことについては、どんなにくだらないことでもいっさい否定せずにやらせてくれました。

そんな理解のある両親ですが、始めたことを途中で放りだしたときだけは僕を叱りました。それこそ、夕食で出されたおかずを全部食べない、といった小さなことから。

小2から仲のいい友だちの影響で塾に通い始めたのですが、高学年になると宿題の量が増えて難易度も上がり、正直辛い思いをすることも増えました。

でも、その辛さ自体よりも、途中であきらめることのほうがしんどいと思ってがんばれたのは、親が途中で放り出すことを叱ってくれた影響だと思います。
 
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家と塾は“分業制”。遊びと勉強をシームレスに過ごす

  
中学受験は親の管理が重要と聞きますが、どこまで干渉していいのか悩みます。スケジュール管理や宿題を細かくチェックするなど、親がやることで子どもの負担にならないでしょうか

僕の場合は、塾と家庭が完全に「分業制」でした。

親は勉強についていっさい口出しせず、家では漫画やドラマ、ゲームなどを制限されたことはありません。一方で塾は厳しく、毎日やる勉強のスケジュールや宿題の管理はすべて塾がやってくれていました。家でも厳しくされたらたぶん無理だったと思いますね。

塾に通い出した子どもは、そこでついていけなかったり、成績が下の方になったりするとまた勉強に対してネガティブなイメージがついてしまうと思います。

でも僕の場合、勉強と遊びに境界線を引かず、家で「遊び」としてやっていたゲームやテレビ、おもちゃなどで国語と算数が自然と身に付いたおかげで、小学校の最初で勉強につまづかなかった。

そのおかげで塾では最初からトップの成績をとることができていたので、「ここが自分が輝ける場所だ」と思ったのも、勉強を続けていくモチベーションにつながったと思います。
 
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また、勉強は塾に任せる代わりに、両親は勉強以外の面でしっかりとサポートしてくれました。塾の送り迎えはもちろん、どれだけ遅く帰宅しても、あったかいご飯を用意して待ってくれたり、塾の宿題をするときは隣で見守ってくれたりして、とてもありがたかったです。

合格判定が志望校に届いていなくても、「受かりそうな学校に変えなさい」などの指図はせず、「好きなところ受けなさい」と、とにかく僕に任せてくれて。

なので、「落ちると誰かに怒られる」という不要なプレッシャーはなく、落ちたとしてもただただ自分がくやしいという状況だったので、余計なことを考えず受験に取り組めました。

九九や漢字を丸暗記しない“考える力”が東大合格のカギ

  
東大合格に向けての勉強はいわゆる暗記型ではなく本質理解と聞きますが本当ですか。本質的に理解できるようになるためにどんなトレーニングができるのでしょうか

それは本当だと思います。

ほかの大学の入試問題に詳しいわけではないのですが、それでも私大と比べると東大は暗記問題が少ない傾向であるのはたしかです。

たとえば、世界史の問題でも年号を聞くような問題は出ません。暗記よりも考えることが求められていると僕自身も感じました。

東大の入試は科目数が多く、とにかく勉強する量が多いんです。そのときに、いちいち暗記していたら追いつかないので、効率を求めなければならず、そうなると本質を見極める必要が出てきます。

たとえば、小学校で習う九九は、完全暗記型の勉強スタイルだと九九の81個すべてを覚えますよね。でもよく考えると、1の段は覚える必要がありません。それぞれの段の「×1」も覚えなくていい。あと、「5×7」と「7×5」のように数字が逆になっているものも、どちらか片方を覚えていれば大丈夫です。
iStock.com/audriusmerfeldas
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漢字についても同じことが言えます。中学受験で漢字をたくさん覚えるのは大変ですが、よく見ると、部首の部分は「意味のジャンル」を表していて、旁(つくり)の部分は「読み方」を表していることがわかります。

たとえば、境界線の「境」という字を思い出せないとしましょうか。そのときに「ほかの『キョウ』って漢字はどんなんがあるかな?」と考えて、「鏡」という漢字を思い出せたとします。その次に、「じゃあその漢字はどんな意味やったかな?」と考えていって、境い目ということは地面だから、部首は土辺なのかも、と言った具合に導き出すことができます。

このように、本質を理解すれば覚える量を減らせるし、困ったときに答えを導き出すことも可能です。

本質を理解するために、何か特別なトレーニングをしたというわけではなく、普段身の回りにあるものに対する疑問について考えることが活きたと思います。

たとえば、「駐車場に必ず自販機が設置されているのはなんでだろう?」と疑問に思って、「車を駐車場から出すときに小銭が必要になるから、ここで飲み物を買ってくれるってことで設置されてるのかな」とか。
 
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これは僕がYouTubeで勉強や受験のことを発信している理由でもあるのですが、「勉強がまじめなもの」というイメージを変えたいんです。

ここまでお話してきたように、僕はドラマやゲームなど、身近にあった「遊び」がすべて勉強につながっています。

親御さんには、「勉強をする=机に座って問題を解く」という意識をいったん脇に置いてもらって、お子さんが興味を持つものを遮断せず、応援する立場にまわることが、自然に勉強を好きになる、勉強に向かう姿勢につながるんじゃないかなと思います。
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澤井俊幸

兵庫県出身のお笑い芸人。灘中学校、灘高校を経て、東京大学へ。同じく東大出身の山口おべんと「あかもん」というコンビで活動中。YouTubeの「灘・東大卒芸人あかもん澤井 いっちゃん楽して受かるTV『勉強はゲームや!』」チャンネルにて、勉強法について発信している。

灘・東大卒芸人あかもん澤井 いっちゃん楽して受かるTV「勉強はゲームや!」

<取材・執筆>KIDSNA編集部

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2021年06月06日

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