子どもの「混浴年齢」引き下げの動き。保護者はどう思う?【調査】

子どもの「混浴年齢」引き下げの動き。保護者はどう思う?【調査】

2022年元日から、栃木県をはじめとする全国の多くの自治体で、銭湯での子どもの混浴可能な年齢がこれまでの10歳から7歳に引き下げられた。子どもが混浴を恥ずかしいと感じた年齢の調査で、最も多い回答が「6歳~7歳」であったことなどを受け、厚生労働省が指針を改正し全国に通知した背景によるものだ。この改正に対する子育て世代の反応を知るべく、KIDSNAでは未就学児から小学生を育てる保護者を対象に、子どもの混浴に関するアンケートを行った。

子どもに混浴をさせたことがある保護者は約半数

まずは、公衆浴場で子どもを混浴させたことがあるかを尋ねた。はいと答えた方が21名、いいえと答えた方が30名(未回答11名)で、約半数が公衆浴場で異性の子どもと一緒に入浴しているという結果となった。

子どもの混浴を経験している保護者が、入浴時に気にかけることについて尋ねた。

男児の母
男児の母

子どもが女性の体を見つめることが気になります。私と夫以外の裸姿を見る機会がないので珍しいのかもしれませんが、そろそろ公衆浴場での混浴は厳しいなと感じました

男児の父
男児の父

ほかの方にご迷惑が掛かっていないかは気になります

とくに女湯で男児を混浴させることによって、他の利用客に対して不快な思いをさせていないかを気にかけているようだ。

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混浴を避ける主な心配は「子どもの性被害」

一方で子どもに混浴をさせたことのない保護者に対し、その理由を聞いた。

女児の父
女児の父

娘をもつ親ですが、心理的抵抗感がぬぐえず男湯に連れて行ったことは一度もありません

女児・男児の母
女児・男児の母

事故や性犯罪を防ぎきれないと考えるため。家族風呂が増えて欲しいなと思います

女児の母
女児の母

13才の娘とスーパー銭湯に行った際に、未就学児くらいの男児が女湯にいて、娘は不愉快に感じていました。今後は混浴がなくなって欲しいと思います

男児の母
男児の母

男児母視点です。低年齢でも異性は異性。早熟な子もいるし、そうでなくても興味本位で他人をじっと見てしまうこともある。家族以外の人がいる浴場に、そんな異性の子を立ち入らせるのは失礼だと思うので、混浴はさせていません。幼児以降はずっと夫と入っています。

もし女児であれば、たとえ1歳でも男湯には入れません。どんなに小さな子でも性的にみる男性がいるので怖いです。

自身も男湯に連れられた記憶がありますが居心地が悪く、嫌な記憶だけが残っています

子どもが他の利用客に向ける視線に加え、わが子に向けられる大人の視線について、強い不安を感じ、混浴を避けている家庭が多数だった。

子どもの混浴可能年齢で最も多い意見は「就学前後まで」

今回の混浴可能年齢の引き下げを受け、実際に保護者は何歳までが妥当と感じているのだろうか。望ましいと思う年齢を聞いてみたところ、寄せられた意見の中では「未就学児まで」が多かった。理由としては以下となる。

女児の母
女児の母

娘4歳でもだいぶ体が大きくなり他人に見せたくない

男児の母
男児の母

子どもも大人も(お互い)嫌だなと思う気持ちが出てくる年齢だから

男児の母
男児の母

うちは男の子なのでもし銭湯に同じくらいの女の子がいたらその女の子が嫌がるかなと思う

また、性教育の開始年齢と関連させた意見も見受けられた。

女児の母
女児の母

幼稚園くらいから混浴は避けるべき。性教育は言葉が理解できるようになったら早い段階から行うべきと考えます

男児の母
男児の母

男女ともに7歳でも大きい気がしますが、一人で入らせることを考えると、7歳という設定がギリギリな気もします。

子どもがひとりで男湯に入ると想像すると、それまでに公衆浴場のルールを教えておかなければということと、改めて性教育(他の人に触らせないなど)をしておかないとと思いました

厚生労働省の指針改定の資料のうち、「 園児や児童の性に関する意識や実態に関する調査」でも、以下引用のような記述がある。

4~5歳児に男女の体の違いの意識が明確になり、小学2~3年生で性の興味関心から知識を得ようとする行動がみられた。そのため、早ければ4~5歳から男女別の着替えや性教育が必要であることが示唆された。

出典: 子どもの発育発達と公衆浴場における混浴年齢に関する研究(2021.2)

混浴の機会は、幼児への性教育の重要性やタイミングを考えるひとつのきっかけになりそうだ。

一方で、比較的高い年齢をあげた保護者の意見からは、混浴可能年齢が下がることで起こる問題がわかる。

男児の父
男児の父

まだまだ一人で入るには手間がかかったり、誘拐のリスクもありそうで、7歳は小さすぎる気がします

以上のように、混浴が不可になることで、一人で入浴することになる子どもの安全を危惧する保護者の声もあり、一元的に考えることは難しい問題であるとうかがえる。

ひとり親家庭の公衆浴場利用について、

「母子父子家庭の方は入浴の制限がかかるので旅行などが大変そう」

「ひとり親家庭は困るだろうとは思います。貸切風呂など活用するしかないかと」

といった、家庭環境による制限に対する心配の声もある。

とはいえ、子ども自身や他の利用者の尊厳を守る視点、そして性被害からの保護を考えると、今回の改定が重要なものであることに変わりはない。

「温泉大国」日本において、混浴のありかたはこれからも議論される必要があるだろう。子どもの安全を守るために、国や自治体の認識がどのようにアップデートされていくかにも注目していきたい。

【調査概要】

・対象:KIDSNA読者を対象にアンケート調査を実施

・調査期間:2022年1月7日~2022年1月11日

・回答数:62人

<執筆:KIDSNA編集部>

2022.01.13

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