【高尾美穂先生に聞く】不妊治療の前に知っておきたい身体と生活のコト
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産婦人科専門医/医学博士/婦人科スポーツドクター
産婦人科専門医/医学博士/婦人科スポーツドクター
愛知医科大学医学部卒。 東京慈恵会医科大学大学院修了。 同大学附属病院産婦人科助教、東京労災病院女性総合外来などを経て、女性のための統合ヘルスクリニック イーク表参道の副院長。 医学博士・産婦人科専門医。
世界で初めて体外受精による赤ちゃんが誕生したのが1978年。日本においても不妊治療を受ける方が増え、体外受精による出生児数も増えている。一方で「不妊治療を始める前に知っていただきたいことがある」と話すのは産婦人科医の高尾美穂先生。多忙な現代を生きるわたしたちは妊娠そのものをどう考えたらよいのだろうか
子どもの出生率が減少傾向のなか、不妊治療を受ける人は年々増加し、2017年に生まれた子どもの14.3%は体外受精による妊娠。保険適用の範囲も拡大され、以前に比べると不妊治療に踏み出すハードルが下がっている現状も。
一方で、不妊治療を受ける人たちにとって仕事と治療の両立が難しいと感じる場面があることも事実としてあるようだ。
さらに20~30代は仕事が波に乗っていることも多く、忙しい毎日の中では時間的・精神的に余裕が持てないかもしれない。また、パートナーとの間に気持ちやタイミングのずれが生じることも度々あるだろう。そこで今回は、産婦人科医である高尾美穂先生に妊娠や不妊治療との向き合い方について話を聞いた。
高尾先生はそう語る。また、性交渉の頻度が少ないことだけではなく、生活そのものが妊娠を成立させるため、望ましい環境になっていないことも多いと言う。
夫婦がふたりで同じ方向を見て、子どもを持つために頑張っていきたいという想いを社会はサポートする必要があり、不妊治療の保険適用拡大はひとつの形ではあるが……。
もちろんせっかくの制度ですから、利用することはいいと思います。ただ、不妊治療に進む前に、自然妊娠のために自分自身の身体のサイクルをよく知ること。これが本当はとても大切。
心も身体もゆとりがあるときに、女性の身体は妊娠をしやすいといえます。副交感神経が働きリラックス状態だと、ホルモンは弛緩した血管の中をしっかりと流れていきますから。
しかし、現代の私たちは交感神経が優位な時間がとても長く、副交感神経が優位の時間はわずかしかありません。だから、妊娠を成立させるためには、生活そのものが望ましい環境になっているかどうかを、まずは考えなくてはいけません。
不妊治療へ取り組む際に知っていただきたいこと、妊娠そのものに対する考え方について、高尾先生の考えを動画にまとめた。
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多くの場合は、女性側のほうが早く妊娠を希望します。卵巣は10~50歳までの40年間の期間限定で働く臓器です。女性の生殖能力にはタイムリミットがあり、女性のほうが早く子どもを持ちたいと焦るのは、動物学的に自然なことなのです。