【産婦人科医監修】妊娠38週の体とおなかの赤ちゃんについて

【産婦人科医監修】妊娠38週の体とおなかの赤ちゃんについて

体調の変化やママの過ごし方

2019.10.09

Profile

杉山太朗

杉山太朗

田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

臨月である妊娠38週は、いつ出産の兆候がきて出産になるかわからない時期です。妊娠38週の妊婦さんの体調の変化や、ママの過ごし方、赤ちゃんの様子を医学博士で産婦人科医、田園調布オリーブレディースクリニック院長の杉山太朗先生監修のもと解説します。

妊娠週数38週目とはどんな時期?

妊娠38週目は、妊娠10ヶ月の3週目です。

妊娠38週目の妊婦さんの特徴

臨月である妊娠38週目の妊婦さんについて詳しく見ていきましょう。


お腹の大きさ

妊婦さんのおなかとエコー
iStock.com/NataliaDeriabina

妊娠38週ころの妊婦さんのお腹の大きさは、みぞおちまで達していた子宮がだんだんと下がってきて、スイカ1個分くらいまで成長します。


妊娠38週目の妊婦さんの身体

妊娠38週目になると、子宮がさらに大きくなるため、子宮周囲の圧迫が強まり、足の付け根や恥骨に痛みが出てくる場合があります。赤ちゃんが下に下がってきたことで坐骨神経が圧迫されてお尻や太ももに痛みを感じたり、足がつることが増える人もいます。

みぞおちくらいまできていた子宮が下がってくるので、心臓や肺の圧迫がなくなり、胃がすっきりしたように感じて食欲が戻る人も多いようです。

心臓や肺の圧迫がなくなり、動悸や息切れの症状も落ち着いてきますが、食欲が戻ってくるため、急激な体重の増加には注意が必要です。

子宮が下に下がってくることで、膀胱の圧迫は強まり、尿漏れや頻尿の症状をより感じやすくなります。

妊娠38週の赤ちゃん

赤ちゃんの身体

妊娠38週の赤ちゃんの身長は、49~50㎝程度です。赤ちゃんの体重は、2500gから3500g程度と個人差があります。

皮下脂肪もついて、ピンク色の肌でふっくらした体つきになってきます。体外に出ても自分で一定の体温を保てる状態です。今まで羊水から皮膚を守るために生えていた体毛が出産準備に備えて抜けていきます。

まつ毛や眉毛、爪など細かい部分も完成しています。



胎内での様子

妊娠38週の赤ちゃんは、産道を通り抜けられるように身体を小さく丸めて、生まれてくる準備をしています

超音波(エコー)で指しゃぶりをしている姿が見えるかもしれませんが、指しゃぶりはママのおっぱいを飲む練習をしているようです。

お腹のなかの赤ちゃんの消化器官は完成し、胎便が溜まっている状態です。役割を終えた細胞や老廃物が身体のなかで剥がれ落ちて胎便となり、生まれてきたときに初めてのうんちとして排出されます。

臨月である妊娠38週目の赤ちゃんは、臓器や身体の細かい機能までいつ生まれてもよい状態に育っています。

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妊娠38週目のうちにやっておきたいこと

週1回妊婦健診を受ける

妊婦検診
iStock.com/7postman

臨月を迎えると出産準備ができているため、母体の状態を確認する妊婦健診が週1回になります。

子宮口が開き始める人も多いようですが、開き具合はまだ弱く、子宮口の開き具合を実感できるまでではないです。

ほかにも、ノンストレステスト(NST)という、妊婦さんのお腹に器具をつけて赤ちゃんの心拍数や胎動、子宮収縮などを確認する検査を行います。赤ちゃんはお腹のなかで、寝たり起きたりを繰り返しているため、心拍数を測るのに時間がかかる場合があります。


自然分娩が難しい場合は帝王切開の日時を決める

妊娠38週で逆子や自然分娩が難しいと判断されたときは、ほとんどの場合帝王切開で出産することになります。

帝王切開は、陣痛が始まってしまうと緊急で手術をしなければならなくなる為、妊娠38週頃には最も安全な日で手術予定日を決定して、赤ちゃんとママの身体の状態を見て手術を行います。


入院準備をする

妊娠38週は、いつ入院、出産になるか分かりません。

陣痛がきてから荷物をまとめることは難しいです。

おしるしや陣痛がきたときに、いつでも病院にいけるように入院、出産の準備をしておくことが大切です。

妊娠38週目の妊婦さんが注意すること

体重管理

妊娠38週になり、子宮が下がってくると心臓や肺の圧迫がなくなり、食欲が増します。今まで食べられなかった分、おいしく食べられるようになると食べすぎてしまう人が多いようです。

和食中心の食事にしたり、1度に食べる量を少なめにして食事の回数を増やすなど食事内容や1回の食事の量を工夫して、食べすぎや急激な体重増加を防ぎましょう。


前駆陣痛と陣痛を見分ける

妊娠後期になると、前駆陣痛が起こりやすくなります。前駆陣痛は生理痛のような鈍痛で、本陣痛と違い、痛みの間隔が不規則で痛みに強弱があるのが特徴です。なかには腰痛や下腹部痛などの症状が出る人もいます。

前駆陣痛がきても、すぐに出産になるわけではないので慌てずに、楽な姿勢で休みましょう。前駆陣痛は、本陣痛と違って休むと落ち着いてきます。不規則だった痛みが規則正しく、痛みの間隔が一定になってきたら本陣痛になります。痛みと痛みの間隔が10分を切ったときが病院に連絡をする目安です。


出産時の交通手段を決めておく

妊娠38週は、おしるしや破水などがいつ起こってもおかしくない時期です。

出産の兆候が見られたら、すぐに病院に向かうことになります。日中、1人でいるときにおしるしや破水することもあります。

タクシーの電話番号や病院の住所をメモしておくと、陣痛がきて焦っているときにも安心です。

陣痛が起こったときにどのようにして病院に向かうか交通手段や対策を決めておくといざというときに役立つでしょう。


外出時の持ち物

妊娠38週は、突然破水して出産になる場合もあります。

外出するときは、いつ破水が起きて出産になっても対応できるようにバスタオルや大きめの生理用ナプキンを用意しておくことが重要です。

赤ちゃんを迎える準備をしっかり整えよう

出産準備
iStock.com/Dmytro Varavin

臨月である妊娠38週は、いつおしるしや破水がきて出産になってもおかしくない時期です。

胎内の赤ちゃんは、皮膚の色がピンク色になり、体毛が抜けて臓器や身体の細かい機能まで成長しているため、いつでも生まれてこられる状態です。

妊娠38週になると、子宮口も少し開き、出産の準備が始まっています。

前駆陣痛と本陣痛を見分けることが難しく、病院に連絡してよいのか迷う妊婦さんは少なくないようです。痛みの強さや間隔が規則的になってきたら本陣痛の始まりです。痛みの間隔が10分を切ったら病院に連絡しましょう。

この時期の妊婦さんは、出産時の交通手段を具体的に決めてタクシーや病院の電話番号と住所をメモしておいたり、入院道具を揃えておく必要があります。

臨月に入ると、いきなりおしるしや破水が起こって出産になるか分からない不安や緊張が常にあると思いますが、赤ちゃんが生まれてくる日を楽しみにして、赤ちゃんを迎える準備をしっかり整えておきましょう。


監修:杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

Profile

杉山太朗

杉山太朗

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

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