消える「町中華」生き残る「町中華」の差はここにある…店主の高齢化、材料・家賃の高騰だけではない意外な理由
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「消えゆく食文化を記録しておこう」。2014年に「町中華探検隊」を作って初代隊長に就任し、仲間とともに活動しているノンフィクション作家の北尾トロさんは「最近、歴史を閉じる名店が増えているが、その一方で、しぶとく生き残る店や新規出店して繁盛している店もある」という。両者の差はどこにあるのか――。
店主の高齢化、材料・家賃の高騰以外の理由
町中華のことが心配だ。ここ数年は落ち着いていた中華料理店の倒産件数が、2025年1~10月は20件になり、過去10年間で最多だった2016年の27件に迫っているのである(東京商工リサーチ調べ)。
これに閉店となった個人店を加えると、かなりの数が町の風景から消えていったと考えられる。東京では長年愛されてきた「ぶん華」(神保町)、「福々亭」(葛西)などの老舗がこの秋に店の歴史を閉じてしまった。
コロナ禍をなんとか耐え抜いたと思ったら、米を筆頭とする食材の値上げラッシュ。それに加えてコロナ禍にできた借金の返済。町中華に限った話ではないけれど、飲食店にとってきびしい状況が続き、やむなく終焉を迎えたケースが多いだろう。また、個人店にはもともと抱えていた高齢化や後継者不足の問題もあった。
もっとも、個人店の事情は今に始まったことではない。筆者が2014年に「町中華探検隊」を作って活動を始めたときの合言葉は、“消えゆく食文化を記録しておこう”。その後、町中華という言葉が普及したことで人気を盛り返したが、いくら店主たちが元気でも限界がある。当時、店主の多くが「(2021年開催の)東京オリンピックまではがんばるよ」と言っていたものだが、それが終わってからは目標となる大イベントも見当たらないから、「そろそろいいか」となるのも無理はないのかもしれない。
つい暗い話になってしまった。たしかに町中華を取り巻く状況は厳しいが、すべての店が苦戦しているかといえばそうではない。ここでは、ピンチから脱出するための方法を考えてみたい。





























