息子に投じた教育費2000万円ローンが終わらない…年金生活67歳父が朝から晩まで働き毎月返し続ける残酷な額
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シニアの過労者が増えているのはなぜか。『ルポ 過労シニア 「高齢労働者」はなぜ激増したのか』(朝日新書)を出したジャーナリストの若月澪子さんは「子どもの教育費が、親の老後の負担になっているケースをしばしば耳にする」という――。
ゴールの見えない教育ローンの返済
今、大学生の二人に一人は、何かしらの借金を背負って大学に進学している。そのうち、学生が背負う借金は「奨学金」、親が背負う借金は「教育ローン」と呼ばれている。こうした子どもの教育費が、親の老後の負担になっているケースをしばしば耳にする。
「長男は中学校から私立に入れました。それも全寮制の中高一貫校に6年間通ったんです。その後、2年浪人して県外の私立大学に進学しましたので、相当お金がかかりました」
こう語るのは東海地方在住のAさん(67歳)。障害者施設の支援員としてフルタイムで働くシニアだ。
Aさんは30歳になる長男のために、今もローンの返済を続けている。借入総額は1600万円。残債は1000万円近くあり、月々の返済額は総額15万円以上になるという。そもそも住宅ローンではなく、教育費だけで1600万円もの借金をしていることに驚かされる。
「最初からこれだけの額を借りたわけではないのです。足りない分を借り入れるうちに、借金が増えていきました。身の丈に合わないことをしたと言われればそれまでですが、妻の希望もあって、小学生の頃からたくさんの習い事をさせてきた。公文くもん、書道、プール、ピアノ、空手……。6つ7つの習い事を掛け持ちしていました」
借入総額や金利の把握はできていない
長年、中小の自動車部品メーカーの技術者として勤めてきたAさんは、丸い眼鏡をかけ優しい目をしている。素朴なエンジニアという印象のシニアだ。
今回の取材で教育ローンについて尋ねた時、Aさんは最初、非常に口が重かった。教育ローンの返済が息子の負担になることだけは避けたいと、気に病んでいる様子だった。
「最初にお金を借りたのは、長男が小学生の頃です。習い事の費用がかさんだため、生活費が不足し、地銀のカードローンを利用するようになった。中学に上がる頃には、教育ローンを利用して、100万〜200万円のまとまった額を借りるようになりました。私は仕事で忙しかったので、家計は妻に任せきりでしたが」
Aさんは借入時期、借入総額、金利などを、今でもはっきりとは把握していないようだった。
「息子が中学に通っていた時は、私立ですから年間100万円以上は払っていたんじゃないかな。寮費なども含めて何だかんだと、当時から年収の半分くらいは学校に持っていかれていた気がします」





























