「置き配は無料、対面手渡しは有料」に不満爆発…それでも配達員が「置き配は助かります」と感謝する事情

「置き配は無料、対面手渡しは有料」に不満爆発…それでも配達員が「置き配は助かります」と感謝する事情

1件10分以上かかるタワマンへの配達でも対価は同じ

物流業界のドライバー不足によって、これまでの宅配サービスが維持できなくなっている。物流ジャーナリストの坂田良平さんは「離島に住む人がより高い宅配料金を負担するように、消費者の都合によって生じる追加コストは、消費者自身が負担すべき時代になりつつある」という――。

「置き配を標準化」ニュースは正確ではない

「置き配が標準化される」「対面手渡しを指定すると、追加料金を取られるようになる」との報道が過熱している。

「『置き配』が標準、手渡しは追加料金」と報じた朝日新聞記事に対しては、Yahoo!ニュースで7000件を超えるコメントが付いた。

これらの報道には誤解も含まれているのだが、一方で宅配便の再配達問題を含む物流クライシスがついに国民に対して「痛みの負担」を求める段階に至ったというマイルストーン(転機)とも捉えられる。

2025年6月26日に開催された「第1回 ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」では、ドローンおよび自動配送ロボットのような先進的な配送テクノロジーの社会実装状況、過疎化が進む農村部における物流網の維持、特に都市部における貨物集配車両に対する駐車許可の見直しなどが議題に挙がった。

このときどのような説明や問題提起が行われたのか、検討会に参加していない筆者には分からないが、少なくとも該当する資料の中には「手渡しを有料化する」という記述はない。

ただ、議題の1つとして再配達問題が挙がり、さらにそのポイントとして、宅配便の基本ルールを定めた「標準宅配便運送約款」(※)に置き配の規定がない旨が指摘された。

どうやらこのやりとりが誇張され、「今後、宅配手渡しには追加料金が発生する」という報道につながったようだ。

※宅配便事業者と利用者の間で交わされる運送契約の雛形であり、政府が定めたもの。なお強制力はなく、例えばヤマト運輸の宅配便運送約款では、既に置き配に関する記述がある。

国交相が釈明するも、報道は収まらず

実際、検討会翌日に行われた中野洋昌国土交通大臣の会見では、「置き配の位置づけを検討するものであって、すぐに『宅配の手渡しに追加料金が発生する』という議論ではない」という趣旨の説明が行われている。

TVやラジオといった一般メディアでは、消費者に痛みを強いるニュースを好む傾向がある。

本件に関しても、検討会で取り上げられた他の議題についてはほぼ報じられず、「置き配の標準化と対面手渡しの追加料金化」という誇張報道が大勢を占めていることは残念である。

あくまで筆者の推測だが、宅配において置き配を標準とする方針は実現すると考える。ただ、対面手渡しを指定すると追加料金が取られるというところまで踏み込むかどうかは不透明だ。

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https://kidsna.com/magazine/article/entertainment-report-250707-29537303

2025.07.16

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